「自分らしく生きるには、どうすればいい?」大人にも発達段階がある!?
大人にも子どもと同じように「発達段階」が存在することをご存知でしょうか。
今回は、大人の発達段階と発達課題、発達段階に見られる傾向についてご紹介したいと思います。
子どもが少しずつ自立し、「これから自分らしく、どのように生きればいい?」と悩んでいる親御さんにとって役立つ情報かもしれませんよ。
心の発達は大人になっても続く
発達心理学とは、もともとは主に児童を対象としたものでした。
しかし、エリック・エリクソンの「ライフサイクル論」をきっかけに、発達心理学は大人や老後も含めたすべての年齢段階を扱う分野へと発展してきました。
人は年齢とともに変わりゆく自分の体とうまく付き合い、まわりの環境に適応して心を変化させながら生きていきます。
そして、それまでの経験を生かしながら、新たな人生を切り開いていくのです。
大人の発達課題は、「どう生きるか?」と向き合うことが大切になっていきます。
大人の発達過程で苦しみを抱えている人はたくさんいると思います。
各発達段階の傾向を知ることで、その苦しみが少し軽減できるかもしれません。
成人期(20代〜30代)の特徴
成人期は、自分の幸せの基盤を見つけて安定を求める時期です。
結婚を意識し始める時期とも言われるように、この年代の人々が親密な関係を求める傾向は多いです。
親密な関係を求めそれが成功すると、相手のことを深く理解でき、共感性を高め、自己開示性が獲得できます。
安心できる環境・安心できる自分の居場所を自分で努力して作ることが、成人期の最も大きな課題といえるでしょう。
壮年期(40代〜50代)の特徴
壮年期は、親密な関係だけでなく、社会の中に自分の安心できる居場所を見つけることが可能になる時期です。
未来の世代への関心も高まり、充実した時期ではありますが、自分の将来への可能性と夢を描いてきた不安定な時期を乗り越え、急に自分の将来が見え、不安になる時期でもあります。
子どもがある程度大きくなり、手から離れ、自分がこれまで歩んできた道のりを、ふと振り返ることも多いでしょう。
この不安を乗り切るには、これまでの人生を振り返った後、また新たな一歩を踏み出す気持ちを抱くことが重要と考えられています。
老年期(60代以降)の特徴
老年期は、仕事を引退し、子育てからも解放され、自分だけのために生きようとする時期です。
現代は高齢化社会により、定年後も仕事を続けたり、子育てをサポートしたりする人が増えていますが、「最期」という人生の重大なテーマからは逃れることはできません。
このときに重要なのが、これまで歩んできた自分の人生を肯定的に捉えることができるかどうかがカギと言われています。
身体的な衰えから気持ちも弱気になりがちですが、幸せだった昔の記憶や、自分が生き生きと過ごしていた記憶を思い出すことが役立ちます。
さいごに
私たちは、生まれた瞬間から人生の終わりに向かって生きています。
この事実を受け止め、自分の人生をどのように生きるかを考えなければなりません。
なりたい自分になるためには、ときに自分の将来を真剣に考える必要があるでしょう。
成人期は、傷つくリスクを恐れない勇気が必要かもしれません。
壮年期は、不安を1人で抱え込まないことが大切といえるでしょう。
老年期は、自分の人生に肯定的な意味を見出すことがカギとなるでしょう。
参考文献:
『よくわかる発達心理学』著:無藤隆、大坪治彦、岡本祐子、ミネルヴァ書房(2009年)
『絵と図でよくわかる心理学』ニュートン編集部編著、株式会社ニュートンプレス(2023年)