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ガンバ大阪がACLラウンド16のアウェイ戦を1-3で勝利! ホームでの2ndレグに弾み!

高村美砂フリーランス・スポーツライター

ガンバ大阪にとって、2011年以来、4年ぶりとなるAFCチャンピオンズリーグ・決勝トーナメントの舞台。その初戦、ラウンド16のFCソウル戦が20日に行われ、アウェイの地に乗り込んだG大阪は、前半を0−0で折り返すと、後半は、途中出場でピッチに立ったMF倉田秋を中心に攻撃が躍動。FW宇佐美貴史のゴールを皮切りに3得点を奪うゴールラッシュ。試合終盤にはFCソウルに得点を許したものの、ホームでの2ndレグに大きなアドバンテージとなる『アウェイゴール』を奪って、1−3で戦いを終えた。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●ガンバ大阪/長谷川健太監督

大阪から、日本からたくさんのサポーターがきていただいて、そのサポーターに勝利をプレゼントできたのは本当に良かった。選手が最後の最後まで集中力を切らさずに戦ってくれた結果だったと思っています。今日のFCソウルの試合は、何試合かみましたが、非常にタフですし、鹿島のホームで勝っているということで、フィジカル面、セットプレーで非常に警戒していました。何度かカウンターから危ない場面もありましたが、後半しっかりとリズムを取り戻して、我々の目指していサッカーで得点をとれたのは良かったと思っています。ただ、まだファーストレグが終わっただけ。しっかりと準備をしてまたホームでしっかりと勝利をおさめられるようにトレーニングをしていきたいと思っています。

ー前後半で違うサッカーになりました。後半から投入した倉田選手を含め、攻撃陣の評価を聞かせてください。

前半は身体も重そうでなかなかガンバのサッカーができていないということで、倉田を入れてもう少しリズムを作りたい、と。前半はソウルのブロックも堅くてなかなか崩せなかったので、ハーフタイムには、ボールを動かしながらチャンスを伺おう、という話をしました。倉田はそういう意味ではほんとうに後半リズムを作ってくれたんじゃないかと思っています。

ー宇佐美選手は2得点と素晴らしい活躍でした。直近の試合でアクシデントがあった中で、多少は不安もあったのか、今日の彼のプレーへの評価を聞かせてください。

後半は、特に点を獲ってからは、素晴らしいプレーをしてくれていた。前半を見ていたら正直かえようかなと思うくらいミスも多く、身体も切れていない感じがしていました。ただコンディションが万全ではない中で結果を出せるというのは貴史も少したくましくなってきたのかも知れない。今日彼が2得点とってくれて、非常に大きなアドバンテージをとれたと思っています。

ー3月に城南と戦った時と結果も大きく違う。何かかえた部分はあるのか。それとも純粋にコンディションがあがってきたのか。

ACLに向けて特別な事は何もしていません。あの頃に比べたらチームのコンディション、コンビネーションはあがってきたと思います。ただ、ACLで苦い思いをして、選手がそこから学んだことは非常に大きかったし、今日も、ざっくり言うとアジアの厳しさを胸に秘めて覚悟を持ってそれぞれの選手が試合に臨んでくれた。そういう意味では痛い経験をしたことがあの頃と大きな違いじゃないかなと思っています。

ー左サイドバックの藤春選手がFCソウルのDF車ドゥリ選手にもしっかり対応しながら点にも絡み、右サイドバックの米倉選手もゴールを獲った。今日の両サイドバックの活躍についての評価を。

中3日という中で、米倉も膝の痛みから復帰して、1試合は戦っていましたが、万全ではない状態でしたし、藤春もずっと出続けて非常に疲労もたまっている中で、今日の試合にかける思いという部分で、気持ちの部分で絶対に負けたくないというのがプレーにも出たと思っています。また藤春は、車ドゥリとやれるということで非常に燃えた部分もあったはず。そういう思いが今日のプレーにも繋がったんじゃないかと思っています。

ー韓国のチームと戦う際に、よく日本のチームは「韓国はフィジカル的にタフだ」ということを言う。日本のサッカーは韓国のサッカーに対してフィジカル面でどう対応していこうと考えますか?

フィジカル的な部分というか…やはり韓国のチームと戦う時には、球際の強さやスプリントの回数、強さというようなベーシックな部分でしっかり戦えないと試合にならないとは思います。それもあって、どうしてもそういう表現になるのは仕方がないのかな、と。もちろん、Jリーグも激しいサッカーをしていますが、韓国のサッカーのように身体を張って、粘り強く、どの選手もフィジカル的にたくましい、ということより、どちらかというと、Jリーグはでは、指導者はそういう部分も突き詰めて強くしていこうとしているとはいえ、技術的な部分が日本のストロングですからね。そこを前面に押し出したサッカーとどうマッチアップするのか、というところで、まずはそうしたベーシックな部分で、いい準備ができていないと対等に試合をさせてもらえないという思いから、日本の指導者はそういう表現が多くなるんじゃないかと思っています。

●DF藤春廣輝

2アシストとも狙い通りでした。前半はなかなか攻め上がっていくタイミングがなくて点シュートもゼロでしたしね。でも後半は左サイドでいいリズムができていた。秋(倉田)もいいところでボールをくれましたしね。今日は2アシストとも、中がスローモーションに見えました。普段はパスがめっちゃ速くて、全力で追いかけることに必死で中がスローにみえるということもないんですが、今日はパスもゆっくりだったし、中もちゃんと見えました。2つ目のアシストはファーサイドを狙っていて、ボールを持った瞬間ヨネと目があったので。ヨネからも「目があったよね?」って言われました。今日の勝ちは大きいと思います。連戦の最後を勝って締めくくる事ができたのも良かった。

ー相手の車ドゥリとのマッチアップについて。

負けたくないというのはありました。代表でやっていた選手ですしね。

ー藤春選手も代表に選ばれたことが刺激になっているのでしょうか。

それはあります。ハリル監督からも練習から細かいところを言われましたし、代表から帰ってからもそれを意識してやってきた。自分自身でも変わったな、と思っています。このレベルでやっていければ代表でもやっていけると思うので続けていきたいと思っています。

●FW宇佐美貴史

(ゴールについて)1点目はいいボールがきたのでしっかりと足にあてて決めるだけでした。あのまま中にいくよりは少しマイナス気味でいた方がサポートが受けやすいかな、と。フィニッシュは見たままです。2点目もほぼ1:1の状況だったのでいくしかないな、と。いい形でフィニッシュまでいけました。(1点目はコースを意識したんですか?)そうですね。

ーアウェイで3ゴールは大きいですね。

90%勝ちを決めたようなものだとは思いますが、ラストに1点を獲られてしまったので。0−3ならほぼ終わらせることができたはずですが、最後に1点獲られてしまったので。点を獲られる度に、パーセンテージは落ちていくので、100%で終わらせるためにも、次の試合が大事だと思っています。油断せずに次も戦ってきっちり戦って終わらせる事が大事だと思います。

ーFCソウルは、宇佐美選手が09年の5月にプロ初ゴールを決めた相手ですが。

思い出深い相手と、今日こうして戦えて、個人としても思い出深いスタジアムでやれて、結果も残せたので、まだもう1試合ありますが、気持ちよく帰られるかなとは思います。

ーセカンドレグの戦いに向けて。

次も守りに入らずに、しっかりとゼロでおさえながら攻撃的に戦いたい。1点を先に取ればほぼ試合を終わらせられると思うので、そこはしっかり意識して戦いたい。

ー前半はあまりいい流れではなかったですが。

そうですね。ボールはまわっていても、いいところでボールを受ける選手が少なかったし、僕自身、前でボールを受けることも少なかったけど、秋くん(MF倉田)が入ってからは、ボールを受ける作業を秋くんがしてくれたことで流れが変わったと思います。

ー城南戦のアウェイでの試合からかなりチームは変わりましたね。

あの時はまだ序盤で個人としても、チームとしてもコンディションがあがっていなかった。あの時とはチームのクオリティも違う。やれるのは当然だと思う。もちろんあの試合も経験値としては大きかったですが、力負けをしている感じはなかったし、プレッシャーはきていましたけど、相手のクオリティが高いという風にも感じなかったので。

●DF米倉恒貴

普段から、チャンスだと思ったら上がっていっていい、ということは言われていたので。クロスが流れてきたらチャンスだなと思いながら上がっていました。追加点は大事だと思っていたので良かったです。(5月17日の誕生日からは少し遅れましたが、バースデーゴールですね?)川崎戦で決めたかったんですけどね。試合に出れる事が幸せなので良かったです。

ー足の状態は?

だまし、だましでやっているところはありますが、試合に出ればコンディションが上がって行くので。試合を重ねてやっていけば自然と良くなっていくと思っています。

●MF遠藤保仁

いい結果だったと思います。ただまだ半分しか終わっていないので。次の試合をいい状態で戦いながら試合を終わらせられるようにしたい。このリードを活かしてやれればと思います。

ー前半はあまりよくなかったですね。

ボールはキープしていましたし、セットプレーとカウンターだけ気をつけながらやっていて、攻撃は単調になっていましたが決して悪くはなかったと思うし、落ち着いてやれていたと思います。

ーこのスタジアムは代表の100試合目を戦った思い出の場所という話をされていましたが。

勝てた事が何よりですし、この勝利を次に繋げられたら。まあ、また1ついい思い出ができたかな、とは思います。

ー優勝も見えて来たのでは?

まだ先ですけど、まずはベスト8に進出できるように次のホームでいい試合をしたい。少しずつ前進できている。常にいい状態で臨むのは難しいと思いますが、より高いところを目指してやっていきたい。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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