Yahoo!ニュース

伊達&ヨネックスJrプロジェクト3期生が始動!「覚悟を決めて取り組んでやりきれば、遠い話ではない」

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
伊達氏とジュニアプロジェクトの3期生とスタッフメンバー(写真すべて/神 仁司)

 元プロテニスプレーヤーの伊達公子氏が、生涯契約を締結しているヨネックス株式会社と組み、2019年1月に発足させた、日本女子ジュニア選手を対象とした育成プロジェクト「伊達公子×ヨネックスプロジェクト~Go for the GRAND SLAM~」は、2023年12月より3期生を迎えて、第1回キャンプ(2023年12月25~26日、東京・有明テニスの森公園インドアテニスコート)が開催された。

 2期生では対象年齢が15歳から17歳以下だったが、3期生からは12歳から15歳以下(小学6年生から中学3年生)に変更された。この変更の理由を、伊達氏は次のように説明する。

「1期生や2期生で、高校生がいた時は、もうちょっと国際大会に積極的に出るはずだったんですけど、ふたを開けてみたら、『世界を目指す』と口では言うんですけども、行動では部活動が中心にならざるを得なかったというのが反省点でした。そこで高校進学とかぶらない年齢に絞りました」

 プロジェクト参加人数は最大8名としていたが、応募者104名から書類選考で24名に絞られ、オーディションでは、実技やフィジカル測定などを行い、最終的に、上村睦美(うえむらむつみ)、北岡美空(きたおかみく)、藤井小夏(ふじいこなつ)が選ばれた。なお、2期生であった石井心菜(いしいここな)は、引き続きプロジェクトメンバーに選ばれ、3期生として参加していく。

「心菜ちゃんは、順調に成長していますし、本人の意志としても継続ということで合致しました。目指しているところが世界、と明確であるというのもポイントでした」(伊達氏)

 今後、約2年間で8回のキャンプを行い、ジュニア選手をグランドスラム・ジュニアの部に出場させることを目標としていく。

 2期生の活動中には、プロジェクトとして初めて目標を達成する選手が出現した。

 木下晴結(はゆ)が、2022年と2023年にグランドスラム4大会すべてのジュニアの部に出場した。特に、2023年オーストラリアンオープンのジュニアの部では、齋藤咲良と組んだダブルスで準優勝を成し遂げた。

 また、添田栞奈(かんな)は、2023年オーストラリアンオープンのジュニアの部で初めて予選に出場した。

「もちろん二人が、メンバーの中から実現してくれたということは、今回の3期もそうですけど、今後プロジェクトに興味を持つ子供たちにとっても、指標になることは間違いない。そういう意味でも、3期生には、4人全員が予選にでも出れるレベルに引き上げられるようにしたい理想を思い描いていますけども、そう簡単にいくことでもないです。みんなが辿って来た道が明確になっているので、その明確な道を、覚悟を決めて取り組んでやりきれば、そんなに遠い話ではないと私は思っている。スケジューリングと目指すところを、本人のこととして落とし込めれば、可能になるんじゃないかと私は期待しています」(伊達氏)

 世界のトップで活躍した伊達氏からの直接助言を受け、世界屈指のリターナーと言われた伊達氏のリターンのお手本を目の前で見られる。こんな恵まれた環境はなかなかない。

 加えて、伊達氏だけでなく、同じく世界のツアーレベルで活躍した浅越しのぶ氏や、現役のコーチや一流のトレーナーたちが、時間をかけてマンツーマンのように接してアドバイスをしてくれる。ジュニア選手たちが、こんな貴重な時間を経験できることはなかなかないことだ。アドバイスを守りながら練習していけば、技術的にも体力的にもテニスを進化させることは必ずできるはずだ。ただし、伊達氏が指摘したように、やはり一番肝心なのは、ジュニア選手本人の自覚だ。そして、子供をサポートする親御さんや各プライベートコーチの理解も当然必要になる。

 約2年間という限られた時間の中で、ジュニア選手たちが、どれだけ成長できるのか見守りたい。

伊達氏(左から3番目)や浅越氏(左から2番目)からマンツーマンのように時間をかけてアドバイスがもらえる。ジュニア選手たちにとっては、恵まれた時間であり、この貴重な経験を成長につなげていってほしい
伊達氏(左から3番目)や浅越氏(左から2番目)からマンツーマンのように時間をかけてアドバイスがもらえる。ジュニア選手たちにとっては、恵まれた時間であり、この貴重な経験を成長につなげていってほしい

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事