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千葉真一に海外のセレブやファンから追悼メッセージ

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
タランティーノは長年の千葉真一のファン(写真: ロイター/アフロ)

 千葉真一氏の訃報が、海外の映画ファンにも大きなショックを与えている。

 千葉氏がコロナでお亡くなりになられたニュースは、日本で報道されてすぐ、「Variety」「Deadline」などハリウッド業界サイトや、「New York Post」などの新聞サイト、CNNをはじめとするテレビによって、アメリカでも報道された。一般のアメリカ人がわかりやすいように、それらの記事は「キル・ビル」や「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」を出演作として一番に挙げてはいるものの、千葉氏はほかにもさまざまな作品に出演し、長く尊敬されるキャリアを築いてきた俳優であることは、しっかり述べられている。

 ツイッターにも、多くの追悼コメントが寄せられた。「ピラニア」「グレムリン」のジョー・ダンテ監督は、「RIP、サニー千葉」とツイート。インディーズ映画の監督テッド・ゲイガンは、4枚のスチール写真と共に、「偉大なるサニー千葉が、今日、82歳で亡くなった。コロナの新たな被害者だ。6つの黒帯を保持するマーシャルアーツの伝説。特撮テレビで始まり、120本以上の東映の映画に出た彼は、ここ何十年も、日本で最も人気のあるアクションスターだ。今日、彼の映画を1本見てほしい」というメッセージを投稿した。

 今年公開された「モータルコンバット」に主演したルイス・タンは、2枚の写真と共に、「真のアクションの伝説。あなたの映画は永遠。あなたのエネルギーはインスピレーション」とツイート。英語吹き替え版の「ウルトラマン」で声を担当している俳優ダニエル・ヴァン・トーマスは、「サニー千葉は、ティーンエイジャーだった僕に新たな道を示してくれた。映画の可能性や、かっこいいとはどんなことなのかを見せてくれたのだ」と感謝の言葉を述べている。長年の千葉氏のファンであるクエンティン・タランティーノからのコメントは今のところないが、彼が所有するL.A.の映画館ニュー・ビバリー・シネマは、タランティーノと千葉氏が一緒にいる「キル・ビル」撮影中の写真をツイートでシェアした。

 タランティーノは、脚本を務めた1993年の「トゥルー・ロマンス」のセリフに千葉氏の名前を出している。そのため、一般人のコメントの中には、「『トゥルー・ロマンス』で最高のマーシャルアーツ俳優として名前が出てきて、初めて知った。それでブロックバスター(ビデオ)に行って、彼のビデオをたくさん借りたんだ」「彼の名前を聞くといつも『トゥルー・ロマンス』を思い出す」などのコメントも見られた。キアヌ・リーヴスも千葉氏の大ファンであることから、リーヴスが来日し、テレビ出演した時に千葉氏がサプライズで登場した映像も投稿されている。また、「キル・ビル」のキャラクターの名前を出して、「服部半蔵の刀でコロナを斬ってやってほしかった」というコメントも見られた。

 死因がコロナであったことには、ほかにも何人かが触れている。「すでに長くすばらしいキャリアを築いてこられたが、コロナがなければもっと長くなったのに」「コロナは我々を悲しませ続ける。僕は『キル・ビル』で彼のファンになり、その前の作品を見た」などというものだ。アメリカでは千葉氏がワクチン未接種だったことは報道されていないが、「御愁傷様です。だからマスクを着用し、ワクチンを接種して、ソーシャルディスタンスを保たないといけないのです」「コロナはサニー千葉をも殺した。サニー千葉を殺せるものなどないと思っていたのに。ワクチンを受けなさい。マスクをしなさい。自分や他人を守ろうとしている人を臆病者のように呼ぶのはやめなさい」など、まだワクチンに抵抗を持つ少数派の人に接種を呼びかけるものもあった。

 ほかにも、「R.I.P.」「ありがとうございました」「伝説の人」など、ひとことだけの投稿は、数え切れないほどある。それだけ千葉氏が世界中の人々に愛されていたということだ。このうちどれだけの人が、今夜、あるいはこの週末、あらためて千葉氏の作品を見るのだろうか。

 長い間、私たちを楽しませてくれてありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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