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NY金14日:ドル反落も、戻り売り継続

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比6.70ドル安

始値 1,198.80ドル

高値 1,201.30ドル

安値 1,183.50ドル

終値 1,192.60ドル

為替相場はドル安方向に振れたが、前日の軟調地合を引き継ぐ形で続落した。

アジアタイム終盤から売り圧力が強まり、1,200ドルの節目から完全に下放れしている。特に何か大きなネガティブ材料が浮上した訳ではないが、引き続き早期の米利上げに対する警戒感が強く、戻り売り優勢の展開になっている。1,200ドルの節目での防衛に失敗したことで、テクニカル主導の売り圧力も強く、一時は1,183.50ドルまで急落している。その後は3月米小売売上高が市場予測を下回ったことで急反発する場面もみられたが、1,200ドル台を回復するまでの勢いはなく、引けにかけてはドル安圧力に逆行する形で改めて売り込まれている。

3月米小売売上高は前月比+0.9%となった。前月の-0.6%からはプラスに転じているが、市場予測+1.1%を下回ったことで、マーケットでは米個人消費環境の減速に対する警戒感が浮上している。為替市場では、利上げ先送り観測からドルが下落に転じるなど、金価格に対してはポジティブな結果になった。

ただ、これによって米金融政策環境が大きく変わったとみる向きは少なく、金価格の押し上げ効果は一時的なものに留まった。本日はドル相場が軟化したものの、米国とその他の国の金融政策環境の違いを考慮すれば、ドル高基調が修正を迫られるような環境にはなく、「ドル安→金相場高」のトレンド確立には懐疑的な向きが多い。国際通貨基金(IMF)は2015年の米成長率見通しを従来の+3.6%から+3.1%まで下方修正したが、こちらも特に材料視されなかった。

今週は15日に3月鉱工業生産と米地区連銀経済報告、16日に3月住宅着工件数、17日に3月消費者物価指数(CPI)など、重要指標の発表が続く。これらが利上げ議論に本格的にブレーキを掛けるような事態にならなければ、戻り売り基調に変化はないだろう。ただ、米長期金利は低迷状態が続いており、これを改めて押し上げる力が働かない限りは、緩やかなダウントレンドを形成する動きに留まることになる。引き続き、経済指標や要人発言などから、利上げ着手の流れを織り込んでいくのかが問われることになろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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