成人男性29.0%・女性8.1%…喫煙率の実情をさぐる(2020年公開版)
喫煙率は男性29.0%、女性8.1%
禁煙啓蒙活動や健康意識の高まりからたばこの喫煙率は減少傾向にある。しかし今なお多くの人にはたばこは重要な嗜好品に違いなく、喫煙者も多い。喫煙率の事情を厚生労働省から2020年1月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2018年分における概要報告書から確認する。
今調査によれば直近2018年において成人男性の喫煙率は29.0%、成人女性の喫煙率は8.1%となった。男性よりも女性の方が喫煙率は相当低めとなっている。
男性は20代で低めだが30代で大きく跳ね上がり、40代はほぼ同率、50代以降は減っていく。しかし女性は40代をピークとするものの、30代から60代までは(40代を除けば)大きな違いは無く、70歳以上で明らかな減少を示す。男女で年齢階層別の喫煙率に係わる変化に違いが生じているのは興味深い。主な生活時間を職場で過ごすか、自宅で過ごすかの違い、ストレスの感じ方も多分に影響しているのだろう。一方で70歳以上でも男性では15.8%、女性では3.1%が、なお喫煙を続けている。
これを男女別に経年変化で動向を確認すると、おおよそ漸減しているのが分かる。
特に男性はこの15年で18%ポイント近い下げ幅を示している。他方女性は元々値が低いのも一因だが、あまり変化が見られない。
「国民健康・栄養調査」において年齢階層で大きな違いが生じる項目では、経年の結果の推移において年齢階層別構成比の変化が全体平均値に大きな影響を生じさせるため、2014年分のデータ公開から年齢調整が行われたものも併記される形となった。こちらの値であれば、経年における高齢者の比率増加に伴う、平均値のゆがみを考えなくても済む。
男性は漸減中だが2010年の大きな下げを除けば減り方は緩やか、女性もほぼ似たような動きであるのが分かる。
なお2010年に生じている、特に男性における有意な値の減少だが、2010年10月に実施されたたばこ税・たばこ価格の大幅な引き上げが原因と考えれば道理は通る。
受動喫煙の実情
喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙を吸ってしまう機会がある。これを受動喫煙と呼んでいるが、今調査では不定期で調査を実施している。
現在習慣的に喫煙している人「以外」で、過去一か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。空欄の部分はその年において、調査項目そのものが無かったことを意味する。
調査実施年にすき間があるのも合わせ、いくぶんのぶれはあるが、家庭や職場など繰り返して同じ場所に足を運ぶ場所を中心に、おおよそ減少する傾向にある。また各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難い実態も見えてくる。少なくとも嫌煙家にはそのように見える値ではある。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素などの摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査。2018年調査分における調査時期は2018年11月中、調査実施世帯数は3268世帯で、調査方法は調査票方式。
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