Yahoo!ニュース

【情報カード】希代の才人・橋本治は、桃尻語訳枕草子の訳語の整理に情報カードを利用してたって知ってた?

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手
神奈川近代文学館「帰って来た橋本治展」会期中の入り口の様子

 橋本治を知っていますか。

 橋本治は、作家にしてイラストレーター。また、'80年代にはフジテレビのイメージキャラクターになっていたことでも知られています。さらに、東大駒場祭の「とめてくれるなおっかさん背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く」と書かれたポスターも有名です。

 こんにちは。デジアナリスト・手帳評論家・歌手の舘神龍彦(たてがみたつひこ)です。先日、横浜の神奈川近代文学館に「帰って来た橋本治展」を見に行ってきました。

 そこで、発見したのが表題のものです。

 橋本治は情報カードを使っていたのです。

 橋本治については、Web上にもいろいろ情報があります。なので詳しい説明は割愛します。平成31年になくなったのは知っていました。

よい読者ではなかった自分

 そもそも私は、橋本治が活躍した時代に青年期でした。ですが、橋本治のよい読者ではありませんでした。

 ただ昔の友人がものすごく推していました。そのおかげで、『桃尻娘』をはじめとする同氏の作品をいくつかは読んでいました。その中には、『秘宝世界生玉子』などもありました。ですが、きちんと理解していたとは言いがたい。

 その橋本治の仕事をたどる展覧会です。

きっかけは「橋本治「再読」ノート」

仲俣暁生『橋本治「再読」ノート』(破船房)
仲俣暁生『橋本治「再読」ノート』(破船房)

 そして最近、編集者の仲俣暁生氏による『橋本治「再読」ノート』を文学フリマで購入したのです。橋本治をふたたびよく知りたいという気持ちが芽生えていました。

 その矢先の「帰って来た橋本治展」だったのです。会場に行ったのは会期最終日の6月2日。横浜市営地下鉄の駅から港の見える丘公園まで歩きました。そして神奈川近代文学館へ。ここに来るのはおぼえている範囲では、2回目でした(前回はたしか佐藤さとる展)。

桃尻語訳枕草子の訳語が情報カードに

 桃尻娘と言えば、「桃尻語訳枕草子」も有名です。

 その桃尻語訳枕草子のコーナーに、情報カードがありました。見たところいわゆる京大カードのサイズ(B6)ではなくもう少し小さい判でした。残念ながら写真撮影は禁止だったので撮影はできませんでした。 
 そのカードには、原典ことばとその桃尻語訳をカードに書いてありました。

6×4判の情報カード。これはコレクトのもの。
6×4判の情報カード。これはコレクトのもの。

 いきなり原稿用紙にすらすらと書くのではなく、まずこのように情報を整理し、この場合は単語に1つの物理的な単位を与えて整理をしている。そのことがわかる情報カードでした。ちなみに横罫のタイプでした。

 また、これ以外にも執筆に使われたワープロなどもありました。あまりハードに使ったのでキーボードが壊れたそうです。また、「ワープロは文体が攻撃的になる」として、途中から手書きに戻ったそうです。

 だからというべきか、その結果としての肉筆の原稿用紙もありました。大著の原稿用紙は高さが数十センチほどもあったでしょうか。それが何種類も展示され、また形になった単行本もこれまたたくさん展示されていました。

 これらは、撮影は禁止されていましたが、図録には写真が掲載されています。

 神奈川近代文学館での公開は終わっりましたが、これ以外の地方の美術館などへの巡回の可能性もあります。

 もし機会があれば見に行きましょう。

ほとんど唯一撮影が許可されていた橋本治の等身大とおぼしきボード
ほとんど唯一撮影が許可されていた橋本治の等身大とおぼしきボード

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は週刊誌の書評欄総ナメ。日経新聞「あとがきのあと」登場ほか大学受験の問題に2回出題。『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。認知症対策プロダクト「おぼえている手帳」は経産省オレンジイノベーションプロジェクト事業採択。

舘神龍彦の最近の記事