Yahoo!ニュース

コロナ禍で新入社員が抱える苦悩。新社会人として今、本当に必要なコトとは。

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
コロナ禍で新入社員が抱える苦悩、今すべきコトとは。(写真:アフロ)

4月1日、コロナ禍であっても全国で多くの新社会人が門出の春を迎えた。ところが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入社式の中止・延期・分散開催・オンライン化と大きく形を変えた。

そして日本の文化でもある新入社員向けの手厚い研修が在宅に切り替わり、研修をオンラインで実施した企業がほとんどだった。また新入社員が出社する環境が整っていないという判断で「自宅待機」させるも全額4月に給与を支払ったり、同期との関係構築のために企業が動画配信をしたりと各企業は新入社員に対して様々な対応に追われた。

同期や配属先の先輩の顔と名前が一致しない

実際に4月入社の社員に話を聞いてみると、コロナ禍ならではのリアルな声があった。

『入社式がオンラインだったので緊張感がなく社会人になった、入社した、という感情になっていない』

『会社に用意されたマンスリーマンションで日々オンライン研修だったので周囲と比べて自分がどの位置にいるのかわからなくなり不安になった』

『同期との繋がりが弱く、イメージしていた社会人スタートとはかけ離れている』

『配属先の先輩とはオンライン上でしたか会っていないので、人間関係に不安がある』

本来であれば入社前研修から同期間の絆ができ始め、入社してからの本格的な研修の中で同期の関係構築が仕上がる。そして、配属先の上司、先輩達とも徐々に関係を築くのが新入社員の通例だったが、コロナ禍ではすべてがリアルからオンラインに切り替わってしまったことが多く人間関係構築が悩みの種になってしまっているようだ。

そして、新入社員の苦悩で大きいのは「自分の成長レベルが見えない」ということ。周囲がどれほど成長しているのかが把握できずに、自己認知レベルをあげることに苦戦をしているのだ。

【参考】『新入社員リアルトーク!コロナ禍&配属現場で感じる、現在の悩みとは?』

コロナ禍の新人にはメンタルケアが重要になる

新入社員を受け入れる人事も過去にない対応や急な計画変更など苦労が多かった。中にはほぼ1日でリアルからオンラインの研修に切り替えた人事もいるようだ。それは決して大手企業だから出来た話ではなく、社内システム環境、人事担当者の柔軟さなどいくつかの条件が揃った企業がコロナ禍で大きな変革を実現した。

実際に300人以上の新人を受け入れた大手企業の人事は、

『非常事態宣言の直前に、急遽リアルな集合型研修から在宅型のオンライン研修にプログラムを変更しました。ほぼ寝ずに強引にカタチを作りました。本来リアルで実施したかったインプットの半分にも満たないレベルですが、何もないよりは新人の基礎研修としては有効だったと思う』

確かに、昨年までは戦力化のためにマインド、知識、能力を短期集中で鍛え上げて、OJTなどで実践を繰り返す中で社会人に転換させていたがオンラインではできることに限界がある。結果、実践デビューが遅れていたり、リアルな営業経験がない中でオンライン営業からスタートしている新人が多いようだ。

さらに他の人事研修担当者からは在宅型オンライン研修で一番ケアしたのは「新人のメンタルケア」という話が出てきたが、新人たちからも「不安が募った」という発言も多く例年以上に新人の心のケアが必要になっていると言える。

コロナ禍で新社会人がやるべきこと

そんな中でも新社会人として輝く為に、今必要な意識や行動について整理してみる。

1、これまで描いていた社会、ビジネス、企業のイメージとのギャップを埋める

今の日本の就職活動ではどうしても「リアル」が見れない、且つリアリティ・ショックが起こるので、早期に社会、ビジネス、企業のリアル情報を手にして、イメージしていた世界観をアップデートすることがポイントだ。イメージが強すぎて、理想が出来あがっている状態だと現実とのギャップで心が折れたり、間違った判断をして結果的には若くして「はたらく」を諦めてしまう。

2、同期ではなくマネジメント経験を持つ社員との交流

新人は同期との交流でお互いの悩みなどを共有して辛い時期を乗り越えるのが当たり前になっているが、新人ながら活躍をして圧倒的な成長を遂げる人の共通点は、意図的に目上の社員との交流をすることだ。特にマネジメント経験を積んでいるレベルの社会人と一緒にいることで、社会人が使う言葉や間の取り方などを肌で感じながら適応していくことになるので、いわゆる社会人基礎力の成長が早くなる。また、同期同士だと傷のなめ合になったり、愚痴をこぼす時間になりがちだが、マネジメント経験を積む先輩であれば視点の高い話が中心になるため、自分の精神的な安定、強化にもつながる。

3、未来志向を持つこと

どうしても新人は目先のことを気にしてしまうが、afterコロナも含めてこの先社会、ビジネス全般がどうなっていくのかを自分なりに予測をして、今「すべき」ことを見極めて自分の仕事の範囲で出来ることを模索する。これが出来るとビジネスが広がり、若くして幅広い経験が出来る。顧客にも好かれるようになる。

実は、コロナ禍だから必要という視点ではなく、どんな環境でも適応して変化、進化して成長するという意識がこれからの社会で最も重要になってくるのだ。在宅勤務・オンライン化への適応を見ても適応できている企業、社会人は分かれておりビジネスにおいて圧倒的な差が生まれている。

新人でまだ研修中のため売り上げがない、成果を出していなくても給与は振り込まれている。つまり、プロとしての責任がすでにあるということを自覚してほしい。新人が持つ今の最大ミッションは「早く成長」すること。

リーマンショックや震災の時に社会人になった層が今、活躍しているという話は良く耳にするが、厳しい環境の時に如何に思考して、多くの挑戦・失敗・成功を繰り返すかが後の成長、柔軟性、適応力に繋がるということだ。

はたらくを楽しもう。

【参考】

パーソルグループが実施した『新入社員リアルトーク!コロナ禍&配属現場で感じる、現在の悩みとは?』

就活情報、社会人接点ポイントはTwitterで発信中(ご相談はDMにて受け付けています)

・15万人に学生に出会って見えた真実:『新しい就活』

・就活のリアルを公開:YouTubeチャンネルはこちら

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

佐藤裕の最近の記事