複数企業で内定承諾をする学生が急増しているワケ。コロナ禍の就活にある落とし穴とは。

コロナ禍の就活で複数企業で内定承諾をする学生が急増している。実態に迫る。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

6月15日に発表されたディスコ社の「就職活動調査」によると6月1日時点での内定状況は64.0%と前年比較で7.1ポイント下回ったものの21卒向け就活は佳境だ。

既に就職活動を終了、内定を保持しながら就職活動は継続、内定を獲得できずに奮闘中と3極化がしっかり出ているのがコロナ禍の就職活動で、昨年夏からインターンシップや就活イベントで企業との接点がどれだけあったのか、または企業が求める能力開発、価値観の多様化が進んでいるかが今の状態に大きく影響している。

そんな中、内定を獲得している就活生から驚きの発言があった。

“内定承諾は2社以上しようと思っている”

実はこのように考える就活生は珍しくないようで、全国で同じような考えを持っている学生が普通に存在している。ここには新型コロナウイルスの影響が大きく関係しているようだ。

内定式に複数参加して入社先を決める

昨年までの就職活動は6月に大手・ブランド企業の内定が出揃い、7月中には大半の就活生が入社する企業を決めて「承諾書」にサインをして、内定者の懇親会や研修を経て10月以降に開催される「内定式」に参加するのが主流であった。

2015年の就活ルール変更で就職活動の短期化、授業とのバランスで社会・ビジネス全体を理解した上での企業理解まで至ることが難しくなり、内定を獲得しても納得ができない、決めるのが不安という就活生が続出した。中には複数社の内定に承諾をして内定式の役員祝辞や選考で出会えなかった現場社員の様子や内定者のレベルで情報を取り揃えて、1社選択するというケースも珍しくなくなって来た。

コロナ禍の就職活動は先行き不透明

ところが、今年のコロナ禍における就職活動では社会・ビジネス全体の理解、企業の本質の見極めに納得ができないから複数の内定に承諾をするという考え方に加えて、経済そのものが先行き不透明で仮に新型コロナウイルス感染の2波、3波が来た場合、どの業界であれば影響を受けるのか内定承諾している企業が存続できるのか大きな負債を抱えるのかなどの「不安」が渦巻き、入社直前まで複数企業の内定に承諾をした状態で静観するという就活生が現れている。

オンライン選考の落とし穴

コロナ禍ではオンライン就活が主流となり企業が就活生に与える情報には限りがある。実際にオフィスに足を運びリアルを体感して生まれる「感覚」や社員と対面してわかる雰囲気や雑談の中で得る情報などを積み重ねて就活生は入社するかの意思決定をして来た。

ところがオンラインでは就活生の心に刺さる「非言語情報」がどうしても伝わり難い。となると、就活生の視点では「本当にこの会社で良いのか」という不安が出てくるのは当然で、先行き不透明の世の中、Afterコロナを意識すると入社ギリギリまで迷ってしまうのも理解出来る。

コロナ禍の就活で企業側ができるコト

ディスコ社の調査結果では就活生が内定企業へ意思決定する為に必要なフローとして最も多かったのが『現場社員との面談』、次いで『人事担当者との面談』『社内や施設などの見学会』『食事会などの懇親会』など、就活生が「リアル」を求めていることが分かる。

つまり、企業側は就活生が求めている情報をオンラインとリアルのハイブリッド型で提供する工夫が必要なのだ。3密を避けながらリアルでできるコト、動画配信を使ってオフィスの様子を可視化するなどやり方は多岐にわたる。そこに全力で向き合っていく企業が就活生の心を動かすことは間違いない。

なぜ社会・ビジネス全体の把握ができずに就職活動をするのか

コロナ禍の就活、そして新時代に学生はどうすれば自分の意思で納得感のある就職活動ができるのか。入社直前まで入社先に悩む、不安を抱えるような状態から脱却できるのか。

そもそも論にはなるが、大学3年生の夏から社会・ビジネス全体を把握しようとすることに無理があるのだ。当然、目標や夢を定めることも難易度は高いはずだ。故に『間違った自己分析型就活』で過去の自分の軸に情報の少ない不透明な未来と接続してしまう。

ミスマッチがなくならないのは当然でしょう。

文理選択を含めた大学進路の方向性を考える時から「今、本当に必要なキャリア教育」があって、働く未来を意識した大学、学部の選択があり、大学生の学びと働くが接続されることができれば、就職活動で急に世の中を知り、夢や目標を決め込むという難題に向き合う必要はなくなるのだ。

学生はできる限り早くから「勉強」ではなく、自分の働く未来の為に社会・ビジネス全体の把握をして激動の世の中を未来志向で考える習慣を身に付けることがこれから必要とされる。

そのきっかけを掴む為に多くの社会人との接点を持つことをお勧めしたい。若手ではなくマネジメントをしているような最前線のビジネスマンから刺激を受けることで見える景色が必ず変わるので、一歩踏み出して欲しい。

はたらくを楽しもう。

【参考】

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