【潜入取材】新卒人気企業NTTデータの入社後に感じるリアリティ・ショックとは。

新卒人気企業ランキング常連のNTTデータへ潜入取材を決行

2021年春入社の新卒採用は東京オリンピックの前には採用活動を終えたい企業の思惑から例年と比較しても早期化が進んでいる。キャリタス就活調べでは2月1日時点で既に本選考を受けている学生は47.8%、内定獲得をしている学生は10.0%となっており、3月1日のナビサイト解禁で就活が本格的にスタートするという文化は形骸化している。

そして新型コロナウイルスの感染拡大で3月の合同説明会、会社説明会、面談・面接が中止になるなど就活生は混乱している状況だ。この状況では学生が多くの企業を知るという機会がなく「自分が知っている企業」つまり大手・ブランド企業へのエントリーが集中して倍率が跳ね上がる厳しい市場になることが予想される。

10年連続人気企業トップのNTTデータ

今回の【潜入取材】は大手・ブランド企業に入社するとどのような世界が待っているのか、入社間もない社員のリアルな声から就活で見えない裏側を記事化することに。潜入取材したのは入社後に感じるリアリティ・ショックが約8割と言われる市場の中で、就活生に人気のIT企業ランキング10年連続トップ、「優秀な人材を採る」イメージが強いTOP20「セミナー・会社説明会」の評価が高い20社と人気企業の常連となっているNTTデータだ。以前「トラディショナルでお堅いイメージの実態」について記事にする中で外から見える景色と全く異なる文化や社員の思考が浮き彫りになったが、新卒採用と入社後の実態に迫る。

入社3年目の社員のレベルを体感

NTTデータに2017年に入社して現在は製造ITイノベーション事業本部コンサルティング&マーケティング事業部ソリューションコンサルティング統括部に勤務する中野 沙映氏に話が聞けた。入社3年目はまだまだ修行中のイメージが強いが、実際どんな仕事をしている?

NTTデータ:製造ITイノベーション事業本部コンサルティング&マーケティング事業部ソリューションコンサルティング統括部に勤務する中野 沙映氏(写真提供:NTTデータ)
NTTデータ:製造ITイノベーション事業本部コンサルティング&マーケティング事業部ソリューションコンサルティング統括部に勤務する中野 沙映氏(写真提供:NTTデータ)

市場において、デジタル技術が製品/サービス・顧客接点・業務プロセスを抜本的に変え、そこから生み出されるデータを活用した「意思決定の高度化と継続的な改善」が、企業の競争力を左右するようになって来ています。そこで私はデータ分析・データ活用領域のコンサルティングを通じて、お客様の事業・意思決定プロセスの変革に貢献することをミッションとして活動しています。

具体的には、データ分析に基づいたマーケティング領域でのコンサルティング、データ活用基盤の構築支援などを担当してきました。現在は小売業の顧客に1年半常駐し顧客の執行役員やマネージャー陣の販売戦略検討時の判断材料となる指標の提言・データ可視化の仕組み実装・活用支援をしています。

その他、グローバル関連業務として、海外(アメリカなど)のカンファレンスに複数回参加し、企業の経営陣と話すなど貴重な体験をさせて頂いています。

3年目とは思えない落ち着きと自分の言葉で語るスタンスは現場レベルでしっかりと顧客と向き合っている印象を受けた。先輩に付いて勉強をしている、という印象はなく世間とのイメージはここにもギャップがある。

新卒からコンサルティング業務?

NTTデータのイメージについてIT業界を志望する就活生に聞けば「入社後まずは開発」という答えが多い。ところが中野氏の話だと少しズレがある。特殊な就活の結果コンサルスタートになったのか?

大学では文系ながら情報系を専攻していました。その流れで就職も情報系を選択。インターンシップでSI、コンサル業界を幅広く見る中でNTTデータの多様な業界の顧客にソリューション提供できる点に魅力を感じました。入社後は「開発(要件定義-設計-開発/製造-テストの一環業務を対応する)」として働くことを希望しましたが、辞令は現在の部署、コンサルティング部隊でした。

一般の就活生と同じで、多くの新人が「開発」からスタートすると認識していたそうだが、実際にはコンサルティング部隊、企業への常駐、管理本部からスタートすることもあるようで、総合職の中でも幅が広い印象を受けた。そして、配属はインターンシップや選考、あらゆる社員との接点の中で見極められた適性がベースになっているということも理解出来た。

セミナー・会社説明会の評価が高いのはなぜ?

実際にNTTデータの選考を経験した中野氏に、セミナー・会社説明会の評価が高いという学生の声をぶつけてみた。

ほとんどの企業のインターンや会社説明会、座談会、面談、面接では良い印象を受けました。新卒採用の難易度が高くなっている市場を考えれば当然だと思います。企業側の狙いも今となっては理解出来ます。ただ、当時私は企業・人事の狙いまでは理解を出来ていなかったので、会社や世の中に向き合い働くことを楽しんでいる社員が一番多いという印象が入社の決め手になりました。

弊社はもちろん、多くの企業が色々と試行錯誤しながら採用活動をしていると思いますが、特に弊社が力を入れている、社員とゆっくり話が出来る「座談会」に複数回参加することで、社員の特徴や、選考過程では見えない企業のリアルを感じました。お互いを評価する場を数多くセットしてくれていることが、評価が高い理由だと思います。

つまり就活生からすると、選考以外で社員からリアルを聞ける環境が他社と比較しても多いので、良くも悪くも判断出来る情報を多く手に入れることが出来るということだ。入社後に気づくミスマッチよりも就活中に気づくのでは意味がまったく違う。学生からの評価の根拠はこのあたりにありそうだ。

入社1年で営業から開発&新規企画へ異動

2015年入社で第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第一統括部 健康ソリューション担当の福士 裕稀氏にも話を聞いてみた。まずは就活生にはなかなかイメージがつかないであろう「NTTデータ×ヘルスケア」の仕事について聞いた。

NTTデータ:第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第一統括部 健康ソリューション担当の福士 裕稀氏(写真提供:NTTデータ)
NTTデータ:第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第一統括部 健康ソリューション担当の福士 裕稀氏(写真提供:NTTデータ)

従業員の健康診断結果をお預かりしてWEB上でご本人へフィードバック。また、その健康診断データを産業医や保健師に参照していただき、従業員の健康管理に役立てていただくサービス。一言でいうならば、「企業の健康経営活動に寄与するWEBサービス」を提供している担当に所属しています。その中で私は当該サービスの機能開発のPMと新規サービス企画を担当しています。開発は、顧客の要望を吸い上げて新たな機能を設計やマネジメントが主な業務です。新規サービス企画では、健康診断データをもとにした新たなサービスの検討を行っており、幅広い業務を担当しています。

同期の中で3割強がコンサルティングを含む営業に配属され、その他は開発職でした。私は営業からスタートしたのですが、上司や先輩から『若いうちに開発を経験した方が良い』というアドバイスを頂いたタイミングで今のポジションへの異動辞令を受けました。2年目になる直前だったのでびっくりしましたが、新しい経験が積めると考えてポジティブに捉えることが出来ました。

話を聞くに、定期ジョブローテーションではなく社員の特性や将来を見据えた上での異動が多いという。開発部隊から希望してコンサルティング部隊に異動する人も少なくないとのこと。この辺りのフレキシブルさはトラディショナルで堅いというNTTデータのイメージと異なるところだろう。

ランキングが上位にくることは「意外」

就職市場にある多くのランキングで上位に位置することについてはどう捉えているのか?

入社前は「安心・安全」という観点でランキングが高いのだとばかり思っていました。実際入社するとトラディショナルでお堅いところも当然あるし、想像以上に泥臭い感覚もあります。一方でNTTデータというブランドの強さと組織の大きさ・体力があるからこそ、大規模な仕事や新規企画に「若手が」挑戦出来る環境もあります。

私にとってこれは入社後に知った大きなギャップで、良い意味でのリアリティ・ショックでしたね。このことがきちんと学生に伝わっていることが、ランキング上位に来ている理由なのかもしれない と今では思っています。

改善していきたい点は沢山ある

比較的新しいことに挑戦をしている福士氏が感じるNTTデータの改善点は?

ビジネスを進めていく過程でいわゆるベンチャー企業と連携をしていく必要が出て来ることがあります。その際、先方から「都度承認など大きな組織だとスピード感や柔軟性の部分で折り合いがつかないのでは?」と指摘されて連携が実現しないケースもあります。

想像以上に巨大な組織であり、確かにそのような側面があることも事実です。一方で、その点に安心を感じて頂いて連携出来るケースもあり、一概に問題とは言えませんが、今後は今まで以上にフレキシブルな会社としてお客様に認識してもらう必要があるように感じています。

日本でのBIツール普及に貢献した第一人者は私の先輩社員です。そういった新たな価値提供に向けた社内外の働きかけが広まっていくとNTTデータが活躍できるフィールドはより一層幅広くなると思います。

また、これは若手ならではの課題かもしれませんが、所属している部署以外に存在している、多くの有益な情報を、もっと活用をしていけるように成長したいなという思いがあります。自分が新しいことに挑戦しようと動いた際に、他部署の協力で集められた多くの情報が、その挑戦をスムーズに進めることに繋がった経験があります。

普段の業務から、他の部署と連携する機会をより多く持つようにすることで、自身の視座を高く、視野を広く保てるようになると良いなと思います。

やりたいという意志が大切な会社

親族が医療関係に従事する家庭で育った福士氏にとって、ITを使って医療現場をより良くしていきたいという想いは人一倍強い。その想いを自ら上長をはじめ、社内に発信することで、新規ビジネスへの挑戦が出来ていると言う。また、現在プロジェクトマネジャーを担当している忙しい環境の中で新卒採用のヘルプにも入っているとのことで、組織の柔軟性を感じることが出来た。

トラディショナルでお堅い企業だと若手の意志がどうしても反映されない、そもそも主張する文化すらないという老舗企業は多い。今回の【潜入取材】で見えて来た点は就職市場のランキングと入社をして感じるリアリティ・ショックには悪いリアリティ・ショックばかりではなく、良いリアリティ・ショックもあるということだ。

今だから多様な人財を求める

ちょうど企業の採用活動が始まった時期でもあるため、最後に人事本部採用担当課長の升田 真奈美氏にもお話を伺ってみた。

NTTデータ:人事本部採用担当課長 升田 真奈美氏(写真提供:NTTデータ)
NTTデータ:人事本部採用担当課長 升田 真奈美氏(写真提供:NTTデータ)

会社が成長するためには働く社員の成長が欠かせませんし、イノベーションを起こすためには多様な人財に活躍してもらう必要があります。NTTデータは幅広い分野・業界とのビジネスを行っているため、文理問わず多様な人財に興味を持ってもらいたいと思っています。

多くの人に会い、時間軸を意識した情報整理を

情報収集を行ううえで大切にしていただきたいポイントが二つあります。

一つ目はNTTデータのリアルを知るために一つの事業領域ではなく様々な人に会ってほしいということです。事業フィールドが広い分、みなさんのやりたいことや求めている環境はどこかにあると思います。

二つ目は、見聞きした話や情報が「過去」のことなのか、「今」のことなのかという時間軸です。変化している世の中、成長し続けているNTTデータでは、時間軸は大事な要素です。全体の中のどこの話なのか、時間軸としていつの話なのかを整理しながら自分の中で理解してほしいです。なぜなら、みなさんは「過去」でも「今」でもなく「未来」を担う存在であるからです。

若手で活躍する人とは?

採用活動の中で、「若手で活躍する人はどんな人か?」についてよく聞かれます。やりたいことや気づいたことをきちんと提言できる、一方で自己主張だけではなく地道な努力ができる、また、どんなことに対しても主体的に取り組んで吸収し自己成長できる人、そのような人が活躍すると思います。

就職最前線を勝ち抜くための『新しい就活』

大切なのは就活中に企業から与えられる情報ではなく「自分自身が必要している」情報を獲得しにいく姿勢です。そして具体的な事例や社員の生の声を採用の利害のない人や場で聞き出すこと。

就活生は何が正しい情報なのか?自分はどんな情報が必要なのか?を判断することが重要だからこそ、周囲に流されず自分が判断できるように目の前に社会・ビジネス・経済の理解をすること。そうすることで自然と判断が出来るようになる。

就活情報をYouTubeやWEB上で収集して鵜呑みにしているケースが増えていますが、最前線の会社の姿は直接手にするしかないです。

ランキングや多くの人の主観に耳を傾けるのではなく、未来志向を整理して「社会に出て自分は何をしたいのか?」を言語化すること。その言葉を軸に企業や職種を見てみると「就活における古い自己分析」がどれだけ危険かということが理解できるのです。

今回のNTTデータは一例です。外から見える景色と入社してからの景色は圧倒的に違うのです。当然中からしか見えない景色があって、それを引き出すのが就活の勝負ポイント。

普通に活動しているとランキングやネット上で確認出来る表面的な情報を人事や先輩から引き出しているということに気づくことが大事なのです。

はたらくを楽しもう。