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話題の『#令和の就活ヘアをもっと自由に』プロジェクト。日本の“就活”は本当に変わるのか?

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
写真提供:『#令和の就活ヘアをもっと自由に』事務局

『#令和の就活ヘアをもっと自由に』のプロジェクトがいわゆる「BUZZってる」状態であることは間違いない。プロジェクトは今後どのように就活市場に影響していくのか?複数の側面からプロジェクトに切り込んでみた。

日本の就活に明るいプロジェクトが登場

明日10月1日は多くの企業で来年4月に入社予定の内定式が各地で開催される。ここ数年何かと“就活”は話題となるものの大人が定めるスケジュール問題、個人情報の倫理的問題、オワハラ問題などネガティブなものがほとんどだ。

ところが『#令和の就活ヘアをもっと自由に』は“就活”の文化が本当に変わるかもしれない尖ったおもしろいプロジェクトとして盛り上がっている。

#令和の就活ヘアをもっと自由に

「パンテーン」は、「あなたらしい髪の美しさを通して、前向きな一歩をサポートする」ことをブランド理念として掲げており、常に飛躍を後押しするブランドであり続けたいと考えおり『#令和の就活ヘアをもっと自由に』までに実は複数のプロジェクトが存在している。

「#HairWeGo さあ、この髪でこう。」キャンペーンのもと、ひとりひとりの個性の尊重について考えるきっかけ作りを2018年より実施。これまでに

・2018年9月には画一的な就活ヘアをテーマにした「#1000人の就活生のホンネ広告」

・2018年12月には”爆毛赤ちゃん”の愛称で愛されるbabychanco(ベイビーチャンコ)を起用した広告

・2019年3月には学生の髪型校則をテーマにした「#この髪どうしてダメですか?」プロジェクトを順次展開してきた背景がある。

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話題となっている『#令和の就活ヘアをもっと自由に』プロジェクトは、「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」キャンペーンの第4弾として令和元年の内定式に向けて「#令和の就活ヘアをもっと自由に』の#(ハッシュタグ)に想いを込め、139社の賛同企業とともに社会全体で就活生を応援するプロジェクトとなっている。

学生は大人達のムーブメントをどう捉えたか?

写真提供:『#令和の就活ヘアをもっと自由に』事務局
写真提供:『#令和の就活ヘアをもっと自由に』事務局

『#令和の就活ヘアをもっと自由に』のムーブメントがさらに大きくなることを願い、プロジェクトの仕掛け人でもあるP&Gインターナショナル ヘアケア アソシエイト・ブランド・ディレクターの大倉佳晃氏と現役大学生の就活における「ぶっちゃけトーク」の場に潜入取材することが出来た。そして興味深い学生の「おもしろい声」が拾えた。

就活に期待。これから文化改革がスタートする?

大人達の起こしたムーブメントに対してポジティブな意見は当然ながら多く

・学生の違和感を形にしてくれているプロジェクトだからこそ応援したい

・海外では当たり前なことだから日本でも就活は「自由」にして欲しいのできっかけになれば

・変わらないと期待さえしていなかった領域に切り込む大人が社会にいることが嬉しい

・「就活ヘアは黒髪」が固定観念だったことに気づかせてくれたプロジェクト

・実際にはたらく社会人の自由度は年々増しているのに就活だけ型にはまっているのだから大賛成

・プロジェクトをきっかけに学生の声を大きくしていきたい

・初めて就活に期待出来た

写真提供:『#令和の就活ヘアをもっと自由に』事務局
写真提供:『#令和の就活ヘアをもっと自由に』事務局

これまで就活がスタートすると当たり前に就活ヘア&ファッションにしていたことに違和感を感じても声に出すことを考えたこともなかった若者の声が拾えているのはプロジェクトとして大きな価値だと感じる。

大人は宣言を形にして欲しい!

一方で『#令和の就活ヘアをもっと自由に』のムーブメントに対してのネガティブな意見もある

・1か月という期間だから仕方ないものの賛同企業がもっと多くあって欲しい。日本の就活課題は根深い?

・プロジェクトに賛同している企業はイメージアップのためでは?本当に行動している?

・「自分らしさ」と「評価・客観性」のどちらを選択すれば良いか分からなくなった

・「就活の普通」が分からない、社会から明確なメッセージが少ない気がする

清潔感の固定観念

学生の無邪気な声はリアルで重い。そして大人達が起こしたムーブメントを拡大・推進するのは学生であることも感じる。つまり、学生達には就活に対しての何らかの違和感がある。それは清潔感の固定観念であったり、常識化された就活ルールであり、そこに声を出すことは論外であった。ただ、もっと社会に対して変化して欲しいポイントはクリアに持っている。

学生市場と社会の距離

企業はこれまで大学市場に新卒採用の変化をさまざまな方法でアウトプットしている認識だ。これから求める学生像や期待する学生生活での学びや能力開発など。ところが、学生の声を整理するとその声は届いていない且つ大学を通じても届いていない。

今回の『#令和の就活ヘアをもっと自由に』プロジェクトは139社の企業の賛同を獲得した事実に加えて、これまで見えなかった学生の声、市場のリアルな課題がクリアになるきっかけになったのかもしれない。

2019年内定式で動き出す本当の就活文化改革

明日からスタートする内定式。学生達は「自由」をどのように形にするのか?そして企業がどう受け止めるのか?各方面から多くのレポートが上がることで、大人達の中で起きている『#令和の就活ヘアをもっと自由に』プロジェクトのムーブメントが今度は学生達の声となり、世の中全体のムーブメントになるかもしれない。そうなることに期待したい。

『#令和の就活ヘアをもっと自由に』に賛同、そして学生のアクションを支援します

すでに全国から学生の声をもっと集めたい、カタチにしたいという声が届いている。

このように現役大学生(当然高校生も)がリアルな声を社会に発信しつつ、このムーブメントがポジティブに前進していくことはこの国の就活を変革させるために大きな意味を持つ。

この記事を読み、就活における実体験、違和感、疑問を声にしたいという学生、学生の声をリアルに聞きたいという企業、プロジェクトを賛同、推進したいという方々は『#令和の就活ヘアをもっと自由に』で行動を起こしてみてはどうだろう。

Twitterのハッシュタグで世の中が変わるかもしれない。

そして、明日から始まる「内定式の自由」に期待を込めて。

はたらくを楽しもう。

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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