日本の大学生活が大きく変わる?大学1年生から就活をすべき時代が来たのか?

大学1年生から就活をスタートする時代が本当に来たのか?(写真:アフロ)

本日6月1日から2020年4月入社を目指す就活生の「選考/内定解禁」となるが、話題になるのは約70年続いてきた就職・採用活動のルール(目安)が形式上廃止となる件だ。その影響で、学生や採用する側の企業が新卒採用活動を本格化させる時期を大幅に前倒しする可能性が出ている。一方でそれが学業への影響に繋がるという課題想定まで出てきている。

そして今年4月、新卒学生の通年採用を拡大することで経団連が大学側と合意。従来の春季一括採用だけではなく、早期にインターンシップを通じて企業からオファーを獲得する、卒業後にキャリアの方向性に関わる専門分野を勉強してから就活をする、海外留学や部活などで4年間就活には触れずに卒業してから個別に就活をするなど、多様な価値観、大学生活の過ごし方が広がるという期待も話題となっている。

就活ルールを巡る議論に興味はあるが内容は知らない

そんな世間が騒ぎだしている新しい就職活動市場に対しておもしろいデータがある。

大人たちが議論する就活ルールに関して学生側は「自分に関係がある」と思う人は65.5%と高い。ところが「その内容を知っている」と答えたのは33.8%と周知の徹底が必要だと感じられる。(パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」より)

大学の低学年向けキャリア教育施策は加速

新しい就職活動について経団連や政府が動き世間の話題に。一方で学生の温度感はまだまだ低いが大学側はどのような状態なのか?すでに市場の変化を捉えた上で施策を前に進めている3校に話を聞いてみた。

大学1年生からキャリアに興味を持たせることで主体性を引き上げたい

北海道札幌にある北海学園大学では今年から大学1年生、2年生向けにこれまでとは異なるキャリアガイダンスを実施している。一般的には大学入学後にキャリアセンターから「大学4年間の過ごし方」として就職活動について触れているが、学生はまだまだ先のこととして反応することは少ない。ところが、今年キャリアセンターが挑戦したキャリアガイダンスは「はたらくの専門家」を招き就職活動で起きているリアルを伝え、学生の危機感を醸成する。そして日本の未来のはたらく環境や経済について学生視点でインプットすることで大学1年生、2年生が自分の意志で経済や業界、そして就活に早期から興味を持つように仕掛けている。

写真:大学職員撮影
写真:大学職員撮影

また経営学部ではここ数年来、学部独自でキャリアサポートプログラムを運営している。1年次に学問の基礎を学び、2年次で情報・会計・英語などの資格取得に挑戦、3年次で実際に企業と関わるプログラムやキャリアデザイン講座。4年次は就活とビジネスワーク実習。このように一連の流れの中で社会に出て活躍するための土台を築く。結果的に通過点である就職の実態は就職率99.3%と高い。

時代を主体的に生き抜く力を養い自己実現を可能にする人材を生み出したい

名古屋の名城大学ではリーダー育成プログラム「名城大学チャレンジ支援プログラム」と題して低学年向けに選抜をかけ少数精鋭のクラスを組成する。そのクラスは池上彰氏がスーパーバイザーを務めて変化の激しいグローバル社会の中で主体的に生き抜く力を養い自己実現を可能にする人材を生み出すために多岐に渡る講義やビジネス最前線で活躍する社会人からの講演、ワークショップ、海外研修などを通じて自己形成計画を立案させている。結果的にこれからの時代に必要な「グローバル」「キャリア」「リーダーシップと連携・協働」を低学年時から意識することになる。

写真:大学職員撮影
写真:大学職員撮影

また、今年からの挑戦は入学したばかりの新入生全員に「はたらくや就活のプロフェッショナル」から強烈なメッセージを含めたキャリアガイダンスを実施している。キャリアセンター職員がマーケットの動きを読みながら計画をして実現している施策ともあって学生の反応も良く、アルバイト選択にキャリアや能力開発を意識する学生も現れている。

残りの学生生活で何をすべきなのか?の気づきを与えキャリア意識を高めたい

神戸の関西学院大学経済学部では大学2年生の春学期の授業として、実際に企業で実施されている研修やインターンシップ、事業課題を学内版にアレンジをして学生に提供している。そこで社会にでること、働くことのリアルを体感することで厳しさを感じ、残りの学生生活で何をすべきなのかを気づくきっかけを促している。結果、未来の自分を描くきっかけとなりキャリアや経済、自分の能力開発に主体的に意識出来るようになっている。

写真:Keijiro Maeda撮影
写真:Keijiro Maeda撮影

さらに2017年には「ハンズオン・ラーニングセンター」を設置し「キャンパスを出て、社会に学ぶ」をキーコンセプトに企業や地域、行政などと連携し、課題解決・企画提案型プロジェクト、インターンシップ、フィールドワークを中心とした実践型の体験学習プログラムを開発、提供している。こちらは全学対象ということもあり学内での広がりが進み、学生達が社会と向き合い自らの立ち位置を認識して、これからの学生生活の中での課題を設定して学習姿勢、方法論、思考を習得し始めている。特に低学年時でのプロジェクト経験は後のゼミ活動に大きく影響する、と経験を振り返って実感している学生もいた。

大学は就活予備校ではない!キャリア教育は社会人としてのキャリアに影響

本格的に低学年向けに施策を動かしている大学やそのプログラムを経験した学生からの声を聞くと一部世間の声にある「これからは大学1年生から就活をしなければいけない」という声は行き過ぎているようにも感じる。そもそも大学での学びは就活を成功するためのものではない、つまり大学は就活予備校ではない。そしてキャリア教育という言葉が飛び交う時代になっているが、もちろん就活のためではない。

新しい就活時代に突入した今、大学生は確かにこれまでにように大学3年生の夏からインターンシップに参加することで就活をスタートするという文化は変わっていくのは事実である。一方で大学1年生から就活のための活動や学びに専念するということも本質とは違う。

これから重要になってくるのは、自分が社会に出た後の生き方、働き方、生活、人生という未来志向の中で自ら思考して必要なものを手に入れ、能力を鍛えていくことだと考えられる。

日本の経済や働く環境がどう変わるのか?その中で時代に適した働き方、キャリア、必要な能力はどんなものなのかを理解・整理して、大学生活をどのように過ごすことで、必要な経験・価値観、能力を手に出来るかを考えたい。

未来の自分のために必要な素材を大学の学びの中から見出す、必要な能力開発が進む環境でのバイトや活動を選択する。自分のイメージ、決めた目標だからこそ意欲が高まり、多くのことを吸収できる。それが学生に社会が求める主体性の基礎になる。

今だからこそ世界に目を向けて、日本や今の自分を見つめてみる必要性

そしてグローバルとの接続が当たり前になる時代だからこそ、世界の市場や他国の学生のはたらく価値観がどうなっているのか?また変化しているのか?自国だけではなく世界に目を向けていくことで視野が広がり興味関心の方向性に変化が生まれる。

多くの大学生が「何をしたいのか分からない」という表現を使う。確かに社会全体の理解がない中で急に夢を決める日本の就活は難しいものであり時代遅れのように感じる。となれば、まずは世界の市場や学生動向、はたらく価値観を理解することからスタートすることをお勧めしたい。

「新聞を読め」

「経済を理解しろ」

「社会を知ることから」

と言われても、学生はどうしても「勉強モード」で受け止めてしまう。ところが、学生に他の国の学生の学生生活や勉強スタイル、バイトや奨学金事情、就活、はたらく価値観を伝えると興味を持ってその背景を「なんで?」で調べ始める。自然に学ぶ意欲が出て来る。

これからの大学生活は、自分の意志で主体的に一歩踏み出せることがテーマとなる。まずは自分の興味・関心を広げるために世界やこれまで触れて来なかった領域に目を向けることから始めてみてはどうだろうか。就活のための大学生生活では得るものがことなるはずなので、何が本当に大切なのか?未来志向を軸に考えてみよう。

【参考】

※世界の教育、学生生活、就活、はたらく価値観を取材した内容は別途記事化させて頂きます。

https://news.paravi.jp/sekaishukatsu/ 

※世界の就活から自分を見つめなおすきっかけになればと考えています。

https://youtu.be/sPiNyuA1Jns

※パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査

https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2019/20190522_02/

はたらくを楽しもう。