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高校野球・秋季北信越大会 140キロ中盤右腕が2枚。北陸「ブレーブス」が強そうだぞ

楊順行スポーツライター
北陸の小矢宙歌主将(撮影/筆者)

「去年の秋の同じ時点より、打つ能力は高いと思いますね」

 北陸(福井)の林孝臣監督は、そう言う。秋季北信越大会・1回戦、小松大谷(石川)を5対4で下したあとだ。三番・小矢宙歌が初回に先制犠飛、3回には2ランを放ち、投げては竹田海士が7回まで11安打を浴びながら要所を締めて1失点。Max153キロを計測すると、8回からリリーフした井黒晃佑も140キロ台中盤を連発した。

 春夏の甲子園に連続出場し、ユニフォームがかつての阪急ブレーブスに似ていると話題になった北陸。そのメンバーが多く残り、秋の福井県大会は35年ぶりに優勝を飾った。本格派右腕2枚に、チーム打率は3割5分2厘。敦賀気比との準決勝では、4点差を追いついての逆転だから、これは強そうだ。

 夏の甲子園までは外野を守り、四番を打っていた小矢は「一番頼りになる打者」(林監督)。新チームでは、中学まで経験のあった捕手に転向し、三番にどっしり座ると、県大会では打率5割を記録した。1回戦を突破したあとの小矢。

「ホームランは6本目で、しっかりタイミングが取れました。捕手は、やりたかったポジション。久しぶりですが、だいぶ感覚も戻ってきました。(竹田は)153キロですか? それはガンの誤作動でしょうけど(笑)、148キロならありえますね」

 福井といえば2015年、北陸勢として初めてセンバツを制した敦賀気比の時代が長く続いている。通算31勝は、古豪・福井商の33勝に迫る。小矢は、その気比のある敦賀市の出身で、甲子園に応援に行ったことがあるほど身近な存在だった。

 だが、「その敦賀気比を倒すため」に北陸に進学し、昨秋の北信越は決勝で対戦。そろって今センバツに出場している。さらにこの夏、そして秋もライバルを破った。北陸はさらに、東京都市大塩尻(長野)との準々決勝を、井黒が3安打完封して1対0と、ベスト4に進出。星稜(石川)との準決勝(21日予定)も勝てば、2年連続のセンバツ出場が有力になる。そして敦賀気比も、もう一方の準決勝に進出。もしかしたら決勝での福井対決、つまり昨秋の再現があるかもしれない。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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