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[高校野球]令和の甲子園で未勝利の県が2つあります。どこ?

楊順行スポーツライター
この球場は、令和の甲子園未勝利県にある(撮影/筆者)

 U-18ワールドカップで日本が初優勝し、現在高校3年生の年代は、国体を残してとりあえずシーズンを終えた。息つくヒマもなく新チームがスタートするが、こちらもこの夏の甲子園を反映した自分のデータづくりが終わったところ。で、ちょっと令和に入っての甲子園の成績を各都道府県でまとめてみた。

 平成31年、つまり2019年のセンバツ後に元号が令和となった。翌20年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、春夏の甲子園ともに中止になったため、令和で開催されたのは19年夏、21〜23年の春夏とつごう7回。その間には21年、和歌山と奈良という、夏の大会では史上初の兄弟校決勝対決があったり、22年夏は仙台育英が優勝し、ついに優勝旗が白河の関を越えたり。今年の春は、山梨学院が県勢初、そしてセンバツ史上初めて6勝でのVを果たしたかと思えば、この夏は慶応が107年ぶりの頂点に立った(それにしても、大会回数を超えるブランクについて、あまり言及している記事は見なかったな)。

 足かけ5年の間に、高校野球年表に太字で記されるようなことが次々にあったのだが、この春夏つごう7大会で、ひとつも勝ち星を記録していない県が2つだけある。さて、どこだと思いますか? 

 令和7大会分での、勝ち星ランキングをつくってみた。ランキングは順位、都道府県、春夏合計の勝敗、カッコ内は春・夏の内訳、優勝・準優勝校。春の——は未出場、△はこの間センバツの戦績はないが、20年に出場が決まっていたことを示す。

仙台育英が大躍進の18勝

① 大 阪 22—7 (春10—4夏12—3 優/19夏履正社 22春大阪桐蔭)

② 宮 城 19—8 (春5—4夏14—4 優/22夏仙台育英 準/23夏仙台育英)

③ 東 京 16—13 (春7—5夏9—8)

④ 神奈川 13—5 (春5—1夏8—4 優/21春東海大相模 23夏慶応)

⑤ 滋 賀 12—6 (春4—2夏8—4 準/22春近江)

  奈 良 12—7 (春4—3夏8—4 準/21夏智弁学園)

  和歌山 12—8 (春4—4夏8—4 優/21夏智弁和歌山)

  兵 庫 12—8 (春5—4夏7—4 準/23春報徳学園)

⑨ 山 梨 8—6  (春6—2夏2—4 優/23春山梨学院)

  愛 知 8—6  (春5—2夏3—4)

  高 知 8—7  (春3—3夏5—4)

⑫ 石 川 7—5  (春2—1夏5—4 準/19夏星稜)  

  茨 城 7—6  (春2—2夏5—4)

  栃 木 7—6  (春2—2夏5—4)

  山 口 7—6  (春1—2夏6—4 準/22夏下関国際)

  千 葉 7—7  (春3—3夏4—4) 

  広 島 7—8  (春6—4夏1—4)

  長 崎 7—8  (春1—4夏6—4)

⑲ 青 森 6—5  (春0—1夏6—4)

  岩 手 6—5  (春0—1夏6—4)

  京 都 6—6  (春2—2夏4—4)

  沖 縄 6—6  (春3—2夏3—4)

  大 分 6—7  (春4—3夏2—4 準/21春明豊)

  福 井 6—9  (春0—5夏6—4)

㉕ 山 形 5—4  (春△夏5—4)

  鹿児島 5—5  (春0—1夏5—4)

  福 島 5—6  (春1—2夏4—4)

  福 岡 5—6  (春4—2夏1—4)

  岐 阜 5—7  (春1—3夏4—4)

㉚ 埼 玉 4—5  (春3—1夏1—4)

岡 山 4—5  (春0—1夏4—4)

  香 川 4—6  (春1—2夏3—4)

㉝ 島 根 3—4  (春——夏3—4)

  熊 本 3—4  (春——夏3—4)

  北海道 3—11 (春0—3夏3—8)

㊱ 三 重 2—4  (春——夏2—4)

  秋 田 2—5  (春1—1夏1—4)

  長 野 2—5  (春0—1夏2—4)

  富 山 2—5  (春0—1夏2—4)

  徳 島 2—6  (春0—2夏2—4)

㊶ 愛 媛 1—5  (春0—1夏1—4)

  佐 賀 1—5  (春0—1夏1—4)

  群 馬 1—6  (春1—2夏0—4)

  鳥 取 1—6  (春1—2夏0—4)

  静 岡 1—6  (春0—3夏1—4)

 大阪は相変わらずの強さだが、仙台育英の躍進で、宮城が一躍上位にきている。なにしろ育英は期間中に18勝。大阪桐蔭が9勝、履正社8勝を引き離して断然のトップだ。宮城県勢の通算の勝敗で、勝ち星が上回るようになったのもこの間のことだ。

 また石川の7勝はすべて星稜によるもので、青森と大分の6勝、福島の5勝も同様に、八戸学院光星と明豊、それと聖光学院。東京は東西2代表だから勝ちも多いが負けも多く、神奈川はなんといっても東海大相模、慶応の優勝がきいている。佐賀はこの夏、初出場の鳥栖工が1勝して令和初勝利を挙げた。

 さて、もうおわかりですね。令和の甲子園未勝利は、

㊻ 新 潟 0—4  (春——夏0—4)

  宮 崎 0—5  (春0—1夏0—4)

 の2県ということになる。この間、新潟が甲子園でプレーした4試合は、全都道府県中最少だ。実は私、新潟出身。来春、10年ぶりのセンバツ出場を願う。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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