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[高校野球]祝! U-18W杯初優勝。そこで、過去の歴史を振り返る

楊順行スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 野球のU-18ワールドカップ(W杯)は、決勝で台湾に2対1で勝った日本が初めて優勝を飾った。前身の大会を含め、10回目の出場で初めての優勝、というのはちょっと意外な気もする。

 そもそもU-18W杯というのは、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催し、16歳から18歳の各国・地域代表選手で競われる国際大会だ。以前は、世界野球連盟(IBAF)主催による「AAA世界野球選手権」という大会名で、AAAとは大学生を含む一般成人の一つ下のランクを表す。

 第1回は1981年にアメリカ合衆国で開催され、当初は毎年開催されていたが、現在は原則として隔年開催。世界選手権が開催されない年は、世界選手権への予選を兼ねた各地域ごとの大会が開かれている。2013年のWBSC発足に伴い、「18Uワールドカップ」、15年から「WBSC U-18ワールドカップ」となった。

 ただ日本では、時期的に夏の甲子園と重なるため、長らく参加がむずかしかった。82年の第2回、99年の第18回大会には参加したが、全国の代表というわけではなく、地域の選抜選手によるもの。甲子園に出場した選手を含んだ代表チームとしての出場は、04年9月に開催された第21回大会が初めてだった(監督は渡辺元智)。

 06年の第22回大会は再び不参加で、08年、2010年は出場権がなく、次の出場は12年(監督は小倉全由)。プロ野球選手の代表と同じ「侍ジャパン」仕様のユニフォームを着用するようになったのは13年からだ。

日本開催では惜しくも銀メダル

 15年の第27回大会は、史上初めての日本開催(監督は西谷浩一)。夏の甲子園終了直後の8月28日から9月6日まで、甲子園ほか3球場で行われ、地元開催で初優勝を狙った日本だが、3連覇を狙うアメリカに決勝で敗れ、優勝はならなかった。カナダで開催された17年の第28回大会は、清宮幸太郎(早稲田実、現日本ハム)らの出場などで注目されたが、準決勝で韓国に敗れて3位(監督は小枝守)。韓国で開催された19年の第29回大会は、佐々木朗希(大船渡、現ロッテ)らがメンバーにいたが、右手中指のマメのせいでほぼ登板機会がなく、3敗を喫して12チーム中5位に終わっている(監督は永田裕治)。3位までに与えられるメダルを獲得できなかったのは、12年以来4大会ぶりだった。

 21年には、アメリカ・フロリダ州で第30回大会が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で22年に延期。このときから全試合7イニング制で行われるようになり、明徳義塾・馬淵史郎監督率いる日本は、3位決定戦で韓国を破り銅メダルを獲得。そして今回、念願の金メダル獲得となったわけだ。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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