2018 高校野球10大ニュース その5 史上初のタイブレーク。ど派手な決着も

センバツで優勝した大阪桐蔭、三重との準決勝はタイブレーク寸前の12回裏で決着(写真:岡沢克郎/アフロ)

 8月6日、第100回全国高等学校野球選手権大会第2日の第4試合で、史上初のできごとがあった。タイブレークによる決着だ。佐久長聖(長野)と旭川大高(北北海道)の一戦は、佐久が8回、4対3と逆転したが、粘る旭川は9回裏、同点に追いつくと試合は延長に。だが12回でも勝負がつかず、タイブレーク2イニング目の14回、佐久が併殺崩れの間に1点を勝ち越し、その裏も無失点で逃げ切った。

 高校野球のタイブレークについて、ちょっとおさらいしておく。一部大会は別として、甲子園では従来、正規の延長15回で決着がつかない場合は引き分け再試合としてきた。だが14年のセンバツでは、引き分け再試合の発生と雨天順延が続き、せっかく設定していた準々決勝翌日の休養日が消滅。選手の体調管理や大会運営の観点から、タイブレーク制度の導入がにわかに現実味を帯びてきた。さらに17年のセンバツでは、2試合続けて延長引き分けという珍事もあり、導入もやむなし、という気運が高まる。そしてその年6月には、翌18年センバツと選手権を含む、すべての大会での採用が固まったわけだ。運用は、延長13回、無死一、二塁の継続打順からと決まった。

なんと逆転サヨナラ満塁弾!

 ただ18年のセンバツでは、6試合の延長がすべて12回までで決着。タイブレークは実施されなかったが、夏は2日目にして、早くも新制度が適用されたことになる。史上初のタイブレークで勝った佐久長聖・藤原弘介監督は、

「タイブレークの2イニングを無失点に抑えた守備力と集中力。気持ちを切らさずにプレーしてくれた」

 とナインをたたえたが、一方でこんな本音ももらしている。13回には、先頭にバントが得意な代打を起用したが、走者を進められず。14回はセーフティーバントが決まり、無死満塁からなんとか1点をもぎ取ったのだが、

「初めてのことであり、冷静だったかといわれると、接戦で気持ちが高揚していた。走者2人からの攻撃なので、強攻して成功すれば大量点も期待できますが、やはり犠打で1、2点を取りにいった。次もバントするかどうかはわかりません」

 敗れた旭川大高・端場雅治監督は、

「タイブレークでの後攻めは、ふつうの延長も同じですが、表に1点を取られるとプレッシャーがかかる」

 一般的にタイブレークでは、表の攻撃が2点以上なら、先攻めが有利といわれる。裏の攻撃では、2点以上を取るためには強攻してくる確率が高くなるし、1点を与えてもいい守備側は、中間守備で併殺を狙う余裕があるからだ。

 だが、そんな一般論をあざ笑うような展開が、大会第8日第3試合のタイブレーク2例目。済美(愛媛)と星稜(石川)の一戦だ。済美は一時、6点の大量リードを許したが、8回に一挙8点で逆転。粘る星稜も9回に追いつき、9対9のまま突入した延長13回、星稜は2点をあげて突き放した。だが済美のその裏は、先頭のヒットでつないだ無死満塁から、なんとなんと一番の矢野功一郎が、右翼へ逆転満塁サヨナラ本塁打! 100回目の大会で初めての偉業は、一度はファウルゾーンに切れかかったボールが、浜風に戻されてライトポール際に飛び込むという劇的さだった。

 いやはや、なんとも……マンガでもないような決着である。日本高野連・竹中雅彦事務局長は、こう語る。

「センバツではタイブレークが適用されず、"ホッとした"とコメントしたのは、健康管理の観点からやむをえず導入したためです。12回までに決着がつくのがベスト。ただ夏の2試合も、昨年までなら15回引き分けになっていた可能性もある。熱中症を訴える選手もいましたから、再試合が避けられたのはよかった」

無理して三封を狙うのは"?"

 ちなみに、ある社会人野球の監督は、以下のようなタイブレークでの戦術を示唆してくれた。

「表か裏、打順などによっても変わってきますが、かなりの確率でバントが想定される場合でも、一塁走者を二塁で刺すつもりの守備がいいと思います。相手がバントをしくじれば併殺で2死三塁もあり得ますし、かりに1死一、三塁になったとしても、併殺狙いの中間守備でOKです。三塁封殺を狙うバントシフトは、判断ミスの野選などのリスクが高い」

 なるほどねぇ。参考になりましたか?