2018 高校野球10大ニュース その2 大阪桐蔭、史上初の2度目の春夏連覇 夏編

2度目の春夏連覇の投の立役者、大阪桐蔭・柿木蓮(写真:岡沢克郎/アフロ)

 第100回全国高等学校野球選手権大会、決勝。金足農の先発は、夏の大会もう一人の主役・吉田輝星。秋田県大会から甲子園の準決勝まで、夏の10試合を一人で投げ抜いてきた。だが、さすが鉄腕。初回無死一、三塁と大阪桐蔭打線に陥落寸前のピンチも、一段ギアを上げて中川卓也、藤原恭大を連続三振だ。吉田はいう。「序盤は、投げていて楽しかった」。

 たださしもの吉田も、蓄積疲労は隠せない。なにしろ夏の甲子園で、全6試合を完投して優勝したのは平成初期の1994年、佐賀商の峯謙介までさかのぼる(もっとも06年の早稲田実・斎藤佑樹は7試合を実質全完投しているが)。対戦相手の打力も、体感温度もずっと上がっているいまでは、全試合完投の優勝は至難の業だ。「正直、疲れはありました」という吉田は、2死から根尾昂に四球のあと、暴投と石川瑞貴の二塁打で、桐蔭に3点を献上してしまう。桐蔭は4回、宮崎仁斗の3ランで圧倒的優位に立ち、ここで勝負は決まったといっていい。

柿木、春にはなれなかった優勝投手に

 桐蔭の先発・柿木蓮は、大量リードをバックに危なげない投球だ。準決勝までの5試合すべてに登板し、27回を投げて2失点と、安定感は群を抜いていた。沖学園(南福岡)との2回戦では、自己最速の151キロをマーク。この日も、3回に許した犠飛の1点のみでテンポよく飛ばし、9回に148キロを計時している。

「力を入れるとかえって腕が振れないので、リリースまではゼロで、球を離すところで100の力を入れて投げるんです。リリースまで、いかにゼロでいけるかを意識する」ことで、柿木は球速も制球も向上したという。結果的にこの日も112球、5安打2失点で、春は根尾に譲った優勝投手となった。

 その根尾もさすがに千両役者、13点を奪った打のヒーローの一人だ。5回、無死一塁から吉田の3球目を鋭く振り抜くと、打球はバックスクリーンに一直線。金足農のセンター・大友朝陽が「センターライナーかな」と一瞬、1歩前に出た当たり。「それがぐんぐん伸びて、頭の上を越えていった。あんな打球、見たことありません」という衝撃の一打は、リードを7点に広げる、自身この大会3本目のアーチだった。また打線の両輪・藤原も、この日の5打数3安打を含め26打数12安打の打率・462。根尾と並ぶ3ホーマー、11打点はチーム三冠で、四番として桐蔭野球を牽引した。

 結局、13対2と圧勝した大阪桐蔭が、長い歴史のなかで初めての、「2度目の」春夏連覇を達成することになる。

屈辱的敗戦から1年と1日後

 西谷浩一監督は、歴史的快挙をこう振り返った。

「昨年夏、3回戦で負けた翌日から"最高のチームを、本物のチームを、そして最強のチームをつくろう"とスタートし、必ず春夏連覇を達成しようといい続けてきました。100回大会で、大きな目標にチャレンジできることにワクワクしていましたが、そういう全員の思いが実って、新しい優勝の大旗を一番に手にできました」

 昨年もセンバツを制覇し、春夏連覇に挑戦した桐蔭。だが、優勝有力の声のなか、仙台育英(宮城)との3回戦で、まさかのサヨナラ負けを喫した。ゲームセットのはずの内野ゴロを、一塁を踏みそこねてセーフにしてしまったのが、現主将の中川だ。その中川ら、現チームには当時の屈辱を味わった主力が多く残る。悔しい敗戦の翌日、現チームがスタートした昨年8月20日から、ちょうど1年と1日後のリベンジ。中川は、

「あの負け以降、苦しかった日々を思い出して……毎日厳しい言葉をかけたけど、ついてきてくれたみんなのおかげです」。

 それにしても大阪桐蔭、いったいどれだけ強いのか。2度目の春夏連覇で、春夏の優勝は通算8回目。回数ではPL学園の7回を抜き、中京大中京の11回に次ぐ2位となった。また夏5回の優勝は、中京大中京の7回などに次ぐ3位タイで、しかも決勝に進めば春夏ともに負けなしの勝率10割というのが驚異的だ。西谷監督にとっても、監督として春夏通算7回目の優勝。これはPL黄金時代の監督・中村順司氏を抜いてトップとなり、勝ち星の55勝(9敗)は歴代3位。.859の勝率も、アンタッチャブルといわれてきた中村氏をしのいでいる。

 かくして。キリのいい100回大会に新調された、3代目の優勝旗を最初に手にしたのは……横綱相撲の大阪桐蔭だった。