さあ、開幕。センバツ第1日の注目は……石田旭昇(東筑)

(写真:アフロ)

 昨年夏、大会第1日。東筑(福岡)が済美(愛媛)に敗れたあとの原稿を、こんなふうに締めくくった。

『今回敗れた東筑の石田旭昇は、まだ2年生。来年も甲子園に戻ってくれば、石田伝説がさらに続くことになる』

 覚えていますか、石田伝説。そう、東筑は昨夏が春夏8回目の甲子園だったが、そのうち4回のエースが石田姓だったのだ。蛇足ながら1996年の夏、盛岡大付(岩手)に勝って初戦を突破したときのエースが、石田泰隆さん。私事だが、助っ人としてわれわれの草野球に参加してくれたことがあった。東筑卒業後立教大でプレーした石田さんが、のち出版社でアルバイトをしているときだ。

 それはともかく……20年ぶり3回目のセンバツにも、エース・石田が戻ってきた。その石田旭昇(あきのり)はいう。

「入学時に、『石田のおる代は甲子園に行く』と声をかけられてびっくりしましたが、それに乗っかって勢いにしました」

 昨夏は、済美打線のスイングの鋭さもさることながら、「球場の大きさ、大歓声の響き方。あの雰囲気に惑わされ、あたふたしてしまった」と、8回途中まで2ホーマー含む10失点。福岡大会7試合を一人で投げ抜いてきたが、初めてマウンドを譲った。4対10の敗戦……。

 だが、夏を経験した主力6人が残ったチームは、秋も激戦の福岡を制覇。九州大会では石田が大活躍で、興南(沖縄)との2回戦を1失点完投、神村学園(鹿児島)との準々決勝は6安打完封だ。甲子園常連を連破してのベスト4入りは、センバツ出場を確実にするものだった。

動くボールで防御率10位の安定感

 右横手から130キロ台後半のまっすぐとスライダー、ツーシーム、チェンジアップなどの変化球を丁寧に投げ分け、凡打の山を築く。昨秋の公式戦では、9試合中5完投(うち完封3)で防御率1・52(36チーム中10位)という安定感だ。

「夏を越えたことで、どんな苦しい状況にも柔軟に対応できるようになりました。ピンチに開き直るのは、自信がなければできませんが、夏に味わった悔しさを無駄にしたくない」

 と石田はいう。冬のトレーニングでは、下半身をみっちりいじめた。昨秋までは速球系の動く球をアバウトに投げていたが、狙いどおりに投げられる確率が上がったという。

 6月に創立120周年を迎える伝統校で、福岡県の公立校としては、61年ぶりとなる春夏連続出場である。夏に続いて第1日、しかも開会式直後の登場(対聖光学院・福島)となったが、「開幕戦は学校としては初めて。ただ応援団が開会式も見られるし、プラスに考えてやるしかない」(青野浩彦監督)。

 過去2回の出場は、初戦敗退。だがセンバツでは、石田姓のエースは初登場となる。さあ、『石田伝説』、どんなストーリーになるのだろうか。