トヨタ自動車が史上2回目の“完全優勝”で黒獅子旗を獲得!!【第94回都市対抗野球大会】
社会人野球の日本一を決める第94回都市対抗野球大会決勝が7月25日に東京ドームで行なわれ、豊田市・トヨタ自動車が4対2で浜松市・ヤマハを振り切り、7年ぶり2回目の優勝を成し遂げた。
33年ぶりに決勝まで駒を進めたヤマハは、日本楽器として1958年に創部され、28歳で就任した川島勝司監督の下で1972年に初優勝。ヤマハへ社名変更され、後楽園球場で最後の大会となった1987年に2回目、1990年には3回目の優勝を果たし、長く社会人野球界を牽引する存在だ。
対するトヨタ自動車は、創部こそ1947年と歴史あるチームだが、都市対抗初出場は1963年で、本格的にチームを強化し始めたのは1990年代に入ってから。特に、1999年にはヤマハを3回優勝させた川島監督を招聘し、2009年に初めて決勝進出を果たして準優勝、2016年に悲願の優勝を達成した。ただ、2007年に初優勝した日本選手権ではすでに6回の優勝を誇り、2019年の都市対抗でも準優勝と、社会人を代表する名門のひとつに挙げられる。
トヨタ自動車が都市対抗を初制覇した2016年には、ヤマハが日本選手権で初優勝。両チームを率いた川島氏は「感慨深い。いつか、両チームが都市対抗の決勝で対戦したら、もう言うことはない」と述べていたが、本当にその日がやって来たのだ。
今大会に9年連続25回目出場のトヨタ自動車は、一回戦でHondaとの同業対決に5対1で快勝。二回戦では、連覇を狙うENEOSと激突し、藤原航平監督が「うちも昨年の日本選手権優勝。王者対決を決着させる」と、逆転の3対1でものにする。準々決勝では日本通運を5対1、準決勝はJR東日本を3対1で撃破。決勝でヤマハに勝てば、過去に都市対抗優勝を経験したチームに5連勝の“完全優勝”となり、1992年の日本生命に続く大会史上2回目の偉業だ。
一方、5年連続44回目出場のヤマハは、一回戦で粘り強さが持ち味の日本製鉄鹿島を7対3と退け、二回戦では強力打線のJR東日本東北を5対0とシャットアウト。準々決勝は三菱自動車岡崎に4対1、準決勝は王子に2対0と、東海勢との対決を制し、3試合続けて東海地区のライバルとの決戦を迎える。今年は第一代表決定戦でトヨタ自動車に4対7で敗れており、その借りを返したい戦いでもある。
主将の2ランで先制して着々と加点
先手を取ったのはトヨタ自動車。1回表一死から徳本健太朗が左前に落とし、三番の北村祥治が初球をレフトスタンドに運び去る。2試合とも1失点で完投している先発の嘉陽宗一郎には、心強い先制2ラン本塁打だ。
すぐに反撃したいヤマハは、2回裏に網谷圭将と貞光広登(Honda鈴鹿から補強)の連打で無死一、二塁とするも大本拓海は三振に倒れ、永濱晃汰が四球を選んだ一死満塁は吉田有輝が二ゴロ併殺に倒れる。
すると、3回表のトヨタ自動車は一死から徳本が右前安打を放つと二盗を決め、北村の左前安打で一、三塁。四番の逢澤崚介はきっちりとセンターへ打ち上げ、徳本が3点目のホームを駆け抜ける。さらに、5回表には一死一、三塁から北村の遊ゴロの間に4点目を挙げる。
その裏、ヤマハは先頭の大本がライトスタンドへソロ弾を叩き込み、反撃のムードが高まるが、トヨタ自動車は外野手の好守で2点目を許さない。そうして、8回からは今大会初登板の渕上佳輝を投入したトヨタ自動車が、7年ぶり2回目の黒獅子旗を手にした。個人賞は以下の通りだ。
橋戸賞/嘉陽宗一郎投手(トヨタ自動車)
久慈賞/網谷圭将外野手(ヤマハ)
小野賞/豊川市・東海理化
首位打者賞/渡辺和哉捕手(JR東日本)打率.545
打撃賞/北村祥治内野手(トヨタ自動車)
若獅子賞/門叶直己外野手(東海理化)
若獅子賞/福本綺羅外野手(東海理化)
若獅子賞/中村奎太外野手(三菱自動車岡崎)
(写真提供/小学館グランドスラム)