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近本光司は社会人での栄光を手に阪神入り【2018年度社会人野球ベストナインが決定】

横尾弘一野球ジャーナリスト
今夏のアジア競技大会で活躍し、阪神1位指名の近本光司も社会人ベストナインに。

 社会人野球を統括する日本野球連盟は、指名打者を含むベストナインと、投打各部門のタイトル獲得者を発表した。

 ベストナイン投手は、日本生命の技巧派右腕・藤井貴之が2015年に続く2回目の受賞。今季は16年ぶりに都市対抗予選で苦杯を喫したが、三菱重工神戸・高砂に補強されると、一回戦で好リリーフを見せ、二回戦では王子に8安打されながら要所を締めて完封する。さらに、準決勝でもセガサミーを5安打に抑え、虎の子の1点を守り切ってシャットアウト。三菱重工神戸・高砂の48年ぶり決勝進出に貢献し、表彰対象の公式戦で防御率0.55をマークした。藤井のチームメイトで、ともに三菱重工神戸・高砂に補強された原田拓実は、堅実な守りと粘り強い打撃でベストナイン二塁手に選ばれた。

 ベストナイン捕手は、Hondaの辻野雄大が手にした。投手陣を巧みにリードし、東京スポニチ大会、四国大会で優勝。アジア競技大会では日本代表に選出され、慣れない外野を守りながらも打率.375を叩き出した。ベストナイン一塁手は岡崎啓介、同じく三塁手は森下翔平と、日立製作所の中心打者が名乗りを上げた。都市対抗、日本選手権とも予選敗退と悔しいシーズンを過ごしたが、ともにパンチ力満点の打棒が炸裂。岡崎は6本塁打20打点で最多本塁打賞、最多打点賞も獲得し、森下はアジア競技大会の中国戦で1イニングに7打点を挙げるなど、勝負強さを見せつけた。なお、2010年に始まった社会人野球表彰では、岡崎が最多本塁打賞の初受賞者となった。これまでは規定の6本に届く選手がおらず、該当者なしが続いていた。そこで、今年から6本の規定を外したが、岡崎が6本塁打を放った。

近本光司と勝野昌慶は栄冠を手にプロ入りする

 遊撃手でベストナインに輝いたのは、JR東日本の東條 航だ。プロのスカウトも高く評価する堅実な守備と、粘り強い打撃でチームを牽引し、都市対抗では5年ぶりのベスト4入りを果たした。来季は主将を務めることになっており、チームとして8年ぶりとなる都市対抗制覇を目指す。

 ベストナイン外野手は、都市対抗で橋戸賞と首位打者賞を獲得し、日本代表入りしてアジア競技大会でも活躍した近本光司(大阪ガス)、コーチ兼任で打線も引っ張る那賀裕司(三菱重工神戸・高砂)、日本選手権で準優勝し、打撃賞を手にした三木大知が顔を並べ、指名打者にはルーキーで6本塁打をマークした大砲・片山勢三(パナソニック)が選出された。

 また、最優秀防御率賞は12試合、40回2/3を投げて防御率0.44の大竹飛鳥(NTT東日本)。最多勝利投手賞は5勝で並んだ6人の中で、日本選手権で好投を続け、初優勝の原動力となって最高殊勲選手賞を手にした勝野昌慶(三菱重工名古屋)が6人で最多となる66投球回で受賞した。勝野も中日からドラフト3位指名され、来季はプロの世界で飛躍を目指す。

 そして、首位打者賞は打率.460で辻野、先に書いたように最多本塁打賞と最多打点賞は岡崎が受賞。表彰式は、12月13日に都内で行なわれる。

【2018年度社会人野球表彰選手】

ベストナイン投手/藤井貴之(日本生命)

ベストナイン捕手/辻野雄大(Honda)

ベストナイン一塁手/岡崎啓介(日立製作所)

ベストナイン二塁手/原田拓実(日本生命)

ベストナイン三塁手/森下翔平(日立製作所)

ベストナイン遊撃手/東條 航(JR東日本)

ベストナイン外野手/近本光司(大阪ガス)

ベストナイン外野手/那賀裕司(三菱重工神戸・高砂)

ベストナイン外野手/三木大知(JFE西日本)

ベストナイン指名打者/片山勢三(パナソニック)

最優秀防御率賞/大竹飛鳥(NTT東日本)=0.44

最多勝利投手賞/勝野昌慶(三菱重工名古屋)=5勝

首位打者賞/辻野雄大(Honda)=.460

最多本塁打賞/岡崎啓介(日立製作所)=6本

最多打点賞/岡崎啓介(日立製作所)=20打点

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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