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2019年の上昇気流をつかむのは誰だ【アジア・ウインター・ベースボール2018が開幕】

横尾弘一野球ジャーナリスト
イースタン選抜の岩見雅紀(東北楽天=左)とウエスタン選抜の石川 翔(中日=右)

 アジア圏の若手選手がスキルアップを目指してプレーするアジア・ウインター・ベースボール2018が、今年も台湾のプロリーグ・CPBL(中華職業棒球連盟)がホストとなり、11月24日から開催される。例年通りCPBL、KBO(韓国野球委員会)、NPB(日本野球機構)イースタン、ウエスタンの選抜4チームに加え、昨年から参加している日本の社会人(JABA)選抜の計5チームがエントリー。欧米を中心に世界中から選手が集まるWBSC(世界野球・ソフトボール連盟)選抜はエントリーしなかった。

 12月13日まで各チーム4回総当たり、16試合のリーグ戦を実施。4位以上がプレーオフに進み、1位と4位、2位と3位が対戦する。1、2位は1勝、3、4位は2連勝すれば決勝に進出。敗者は3位決定戦を戦うシステムだ。台中市のインターコンチネンタル・スタジアム(洲際棒球場)を中心に、12月10日以降は斗六棒球場で行なわれる。

イースタンは新人スラッガー、ウエスタンは若手投手に注目

 イースタン選抜で注目されるのは3人の新人スラッガーだ。東京ヤクルトにドラフト1位指名で入団した村上宗隆は、イースタンで主に三塁手として98試合に出場。打率.288(105安打)、17本塁打70打点に16盗塁をマークし、9月16日の広島戦に六番サードで一軍デビューすると、初打席でライトへ2ラン本塁打を放った。来年1月には、青木宣親とともにアメリカで自主トレを行なう予定。ルーキーイヤーをどんなパフォーマンスで締め括るか興味深い。

 千葉ロッテにドラフト1位指名で入団した安田尚憲は、春季キャンプを一軍でスタートしたものの、開幕はファームで迎える。それでも、イースタンでは一、三塁を守って106試合に出場。打率.271(108安打)、12本塁打67打点を叩き出し、8月10日のオリックス戦で一軍デビューすると、10月2日の福岡ソフトバンク戦では東浜 巨からライトに初アーチを放つ。さらに、10月には第2回WBSC U-23ワールドカップに出場。決勝でメキシコに惜敗したものの、大会MVPとベストナイン一塁手に輝く活躍を見せた。来季のレギュラー獲りを目指すためにも、タフにプレーしたい。

 東北楽天にドラフト2位指名で入団した岩見雅紀は、イースタンでは外野のほかに一塁もこなして113試合に出場。打率.284(96安打)、14本塁打42打点とパワーを示したが、5月18日の北海道日本ハム戦で初出場した一軍では、24打席で14三振を喫し、ヒットすら打つことができなかった。村上や安田のようなインパクトを残せなかっただけに、上昇のきっかけをつかみたいところだ。

 ウエスタン選抜では、ファーム日本選手権で先発を任された阪神の2年目左腕・浜地真澄、中日にドラフト2位指名で入団し、10月13日の阪神戦に1回無失点で初ホールドをマークした石川 翔、福岡ソフトバンクにドラフト5位指名で入団し、実戦派と期待されたものの故障に泣かされた左腕・田浦文丸が実戦の中でどこまで成長できるか。プロ選手にとっては勝敗にこだわる試合ではないが、チームの勝利を呼び込むプレーを飛躍につなげてもらいたい。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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