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2018年のドラフト候補が次々と活躍【アジア・ウインター・ベースボール2017が開幕】

横尾弘一野球ジャーナリスト
JABA選抜の第1陣。選手は自社のユニフォームでプレーする(提供/日本野球連盟)

 11月25日、台湾・台中市の洲際棒球場で、アジア・ウインター・ベースボールが開幕した。今年は台湾プロ(CPBL)選抜、韓国プロ(KBO)選抜、日本のイースタン選抜、ウエスタン選抜のプロ4チームに、アメリカ・ヨーロッパ選抜、社会人日本代表候補(JABA選抜)を加えた6チームが参加。12月14日まで各チーム17試合のリーグ戦を行ない、その勝率による順位で最終順位決定戦が実施される。

 前回まで参加していた台湾アマチュア選抜が出場を辞退したため、初参加できることになったJABA選抜は、来年のドラフト候補と目される選手が登録されていることもあって関心を集めている。

 来年の8月にインドネシア・ジャカルタで開催される第18回アジア競技大会の日本代表候補選手38名が、全日程、前半、後半など5パターンに分かれ、試合ごとに入れ替え可能なベンチ入り28名を編成。プロや海外の選手を相手に、個々の技術やチーム力の向上を目指しており、日本代表の石井章夫監督が全試合の指揮を執る。

 25日の開幕戦では、20歳の佐藤世那(オリックス)を先発に立てたウエスタン選抜と対戦。3回裏二死三塁から北村祥治(トヨタ自動車)の中前安打で1点を先制すると、続く4回裏にも一死満塁から押し出し四球で1点を加える。

 先発を任された東京ガスのルーキー・臼井 浩は、昨年の大学選手権で中央学院大の準優勝に貢献した右腕だ。春先からリリーフで実績を積み、都市対抗でも登板すると、夏場から本格的に先発にも取り組み、日本選手権一回戦ではNTT西日本を3安打で完封。日本野球連盟が指定した公式戦で6勝を挙げ、最多勝利のタイトルを確定させている。この試合でも期待に応え、6回までを石垣雅海(中日)の本塁打による1点に抑える。

 そうして、6回裏には3点を加え、なお二死満塁から、東京ガスに臼井と同期入社した笹川晃平がライトへダメ押しのグランドスラムを叩き込む。高校時代から国際大会を経験し、10月のアジア選手権で四番に抜擢されたスラッガーも、開幕戦から目立つ結果を残す。結局、9対1で快勝し、ゲームMVPには臼井が選出された。

JABA選抜は2勝1引き分けとなかなかの出足

 26日には欧米選抜と対戦。この日も東芝のルーキー・岡野祐一郎が先発を務める。体格で勝り、フルスイングしてくる打者に対して回転のいいストレートを軸に粘り強く投げ、6回を6安打1失点。臼井に続いて先発の重責をきっちりと果たす。

 打線も5回裏に、中澤彰太(JFE東日本)の三塁打を皮切りに4点を挙げ、6回裏にも2点を追加してリードを広げる。しかし、7回表に登板した角田皆斗(SUBARU)が一発を含む5安打を浴びて同点にされ、そのまま6対6で引き分けた。ゲームMVPには岡野が選ばれた。

 27日の相手はKBO選抜。アジア選手権にも出場しているHonda鈴鹿のルーキー左腕・平尾奎太が先発したが、3回表に下位打線からチャンスを作られ、2点を先制される。それでも、5回裏一死二、三塁から矢幡勇人(ヤマハ)の右犠飛で1点を返すと、6回からは小刻みな継投でKBO選抜の追加点を防ぎ、8回裏二死から笹川と木南 了(日本通運)の連打で同点に。9回表をパナソニックの新人・吉川峻平が3者凡退に抑え、その裏一死満塁から北村の中犠飛でサヨナラ勝ちを収めた。ゲームMVPは北村だ。

 まだ3試合を終えたところだが、2勝1引き分けの首位はなかなかの出足と言っていいだろう。来年のドラフト指名が解禁になる大卒ルーキーにとっては、高いモチベーションでパフォーマンスできる機会。現地取材で、アジア・ウインター・ベースボールの魅力もレポートしたい。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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