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社会人3年目の12%は「貯金がない」という調査結果も 資産形成、まず何をすべき?

横川楓日本金融教育推進協会代表/やさしいお金の専門家/金融教育家
(提供:SENRYU/イメージマート)

1都3県では再度の緊急事態宣言となり、外出自粛と飲食店の営業時間の短縮など、まだまだ収束する気配がないコロナ禍の中、落ち着かない日々が続きますね。

日本経済にも大きな影響があり、中には収入がダイレクトに減ってしまったり、ボーナスがカットされてしまったという人も多く、私たちの生活にもその影響は及んでいます。

また、若いうちは手取りも少なく、ここ数年はただでさえ年金2000万円の話題や消費税増税を経て、漠然とお金の不安が募っている状況が続いています。

しかし、そんな状況下でもこれからの人生のために資産形成をしていかなければなりません。

今回は若い世代を取り巻くお金の現状と、資産形成をしていく上でまずは何をすべきかについてお話ししていきます。

◆新社会人の19.2%、社会人3年目の12.0%は貯金がない

緊急事態宣言のさなかの昨年4月、auじぶん銀行株式会社が全国の新社会人(社会人1年目)と社会人3年目の男女500名を対象に行った調査によれば、新社会人の19.2%、社会人3年目の12.0%は貯金がないとの結果となっています。

学生のうちから貯金する習慣が根付いていなければ新社会人で貯金がないというのもあり得る結果ではあるものの、社会人3年目でも貯金ゼロという回答の人がいるというのは、少し驚きですよね。

また、貯金額で最も回答数が多かったのは「10万円以上~50万円未満」。新社会人だけではなく、社会人3年目でも他の貯金額に比べ、この一番少ない貯金額の割合が多くなっています。

しかし、このアンケートはたったの500人に対してのもの。

母数が増えればもちろん貯金額が多い人の割合も増えるかと思いますが、一方で貯金ゼロの人の割合ももっと増えることでしょう。

文部科学省と厚生労働省の就職内定状況調査によれば、21卒の大学生の就職内定率は69.8%と5年ぶりに70%を下回る結果となっています。

コロナ禍において社会全体が経済的打撃を受けている中で、雇う側の企業が人材に対して支払うことのできる金額も減っていくことを考えると、手元に入ってくるお金が少ない中、限りあるお金とうまく向き合い、どうお金を残していくのかというのが何よりも大事になっていきます。

写真:beauty_box/イメージマート

◆38%の人が「冬のボーナス減」という調査結果も

ボーナスについてはどうでしょうか?

マイナビニュースが会員800人に対して行った冬のボーナスに関する調査でも冬のボーナスは夏のボーナスと比べて減る予定と回答した人が38%

また、みずほ総合研究所が全国20代~60代の正社員800人に対して行った2020年冬のボーナスに関する調査では冬のボーナス支給額は昨年比4%減と、様々な調査でボーナスにマイナスの影響がでているという結果となっています。

ボーナスが減るというのは年収の金額に変動があるということ。

まだまだ先の読めないコロナ禍という状況において、ボーナス額の変動だけではなく、そもそもの給与の見直しなど、あまり考えたくないことではありますが、安定した収入を得ることや会社の業績が良くなりさらに収入があがるということが現状考えづらくなっているというのも事実です。

そんな中で、今だからこそ持っておきたい貯金マインドが「流動性」。貯められるときはしっかり貯めて、臨時の出費が多そうなときは貯金を少なめにしましょう。

もちろん、収入に対して何%といった形や、毎月2万円といったように決まった金額を貯金していくのが理想的ではあります。

しかし、ただでさえ手取りが少なくなかなか貯金が難しいという人も多い中、金額を固定しての貯金法だと、急な何かがあったときにあえて例外を作ってしまい続かなくなってしまったり、そもそもやりくりが難しくモチベーションが続かなくなってしまうということも少なくはありません。

◆まずは毎月の収支の把握から

お金を貯めていくにあたり、貯金額を決めるためには毎月いくら収入があるのか、家賃や変動のない固定費のほかに自分がどのくらいお金を使っているのかを、まずはきちんと把握する必要があります。

家計簿をつけるというとなんだかめんどくさく感じてしまう人も多いかもしれませんが、ツールを使いお金の管理をしましょう。

使ってほしいツールは家計簿アプリ

写真:アフロ

どんなときもスマホを持ち歩いている現代社会で気軽に自分のお金を管理していくためには、いつでもどこでもすぐに開けるというのは必須事項です。

特におすすめなのが、マネーフォワードMEZaimDr.Walletといったアプリです。

銀行口座やクレジットカードなどをアプリ上で連携することで、これらの動きもそれぞれのサイトにアクセスすることなく、まとめて把握することができ、現金払いよりもキャッシュレス決済がメインとなりつつある今、レシートをもらって後からいちいち打ち込むよりも、連携されたデータから出費を管理する方が圧倒的に無駄な時間を使わなくても済みます。

また、レシートのもらいもれや飲食時の割り勘などでレシート自体が手元にないときも、アプリを開くだけで使った金額を打ち込むことができるというのもスマホで自分のお金の管理をするメリットの一つです。

もちろんアプリには相性があるので、このアプリに限らず、自分自身が使いやすくて長くお金の管理を続けられるアプリを見つけて、まずはすぐにお金の管理ができていつでも自分のお金の状況を確認することができるツールを整えていきましょう

そしてこのようにお金の状況を把握したうえで、最後に考えていきたいのが、いくらお金を貯めていくかということになります。

◆節約=お金を残していく作業

お金を貯める手段として、節約もあります。

入ってくるお金が少ない中での節約というのは、自分のお金の使い方と向き合って支出を減らして、日々の収入の中でどうやってより多くのお金を残していくかきちんと考える作業。

ただ生活を切り詰めて節制するというよりも、出費を常に意識することで買わなくてもよかった気がするものを買わないようにしたり、携帯料金や家賃、水道光熱費などもっと料金を下げられるものはないか考えてみたりすることです。

お金の管理をすることで支出を可視化し、今月は消耗品を買いすぎたから来月は控えようという意識をもったり、わざわざ高い外食をしすぎてしまっていることや興味があまりないものに余計にお金を使ってしまっていることに気付けるなど、使いすぎや無駄をきちんと認識することができます。

ですが、これらは流動費用。普段からまかなえる範囲で自由に使っているお金なので、いくら支出を削ろうと思っても、毎月決まった金額を削ったり、大きな金額を節約することが難しかったりします。

となると、やはり具体的に数千円以上の大きな金額を削れるのは、固定費しかありません

住む場所を変えて家賃を落としたり、契約時に勧められた会社のまま何も考えずに決めてしまった水道光熱費をほかの会社との契約にしてみたり、携帯電話を格安キャリアにしてみたり、月々必ず支払うものの金額を減らすことで、流動的なお金を削るよりも大きな節約が見込めます。

しかし、これらの支出を減らしたとしても、何万と一気にお金が浮くわけでもなく、やはり収入自体をあげていくということも視野にいれていく必要があるでしょう。

提供:ayakono/イメージマート

◆今だからこそできるお金の使い方も大切に

結婚、子育て、老後など、ライフイベントにはお金が必要なんだから貯金はしなくちゃいけないという価値観にとらわれていると、資格を取るために使いたいお金や楽しみたい趣味を我慢して今の自分にしかできないことのチャンスを逃してしまう可能性があります。

果たしてそれがよい人生なのでしょうか。

手取りも少なく、収入が不安定。多く貯められるときもあれば、使いたいものへの出費が多く、ちょっとしか貯金をできない月もあるかもしれません。

でも、資格をとればキャリアアップができたり、趣味をきわめたことが仕事に繋がって、結果的に今の出費が収入が増えるチャンスにもつながるはず。

若い世代がしっかりとお金を貯めて、今後の人生のために備えていくためにも、いくら貯めなきゃいけないから今お金を使ってはいけないんだという凝り固まった感覚は持たずに、できることから始めて、残せるお金と入ってくるお金を増やしていくというポジティブな価値観でお金を貯めていきましょう

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

日本金融教育推進協会代表/やさしいお金の専門家/金融教育家

経営学修士(MBA)、AFPなどを取得し、お金の専門家/金融教育家として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に尽力している。1990年生まれ。明治大学法学部卒。経営学修士(MBA)、AFPなどを取得し、現在はやさしいお金の専門家/金融教育活動家として活動。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育普及に尽力している。2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立、代表理事となる。子供向けからお父さん向けまで、雑誌、WEB、新聞等の連載多数。著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。

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