首都圏で外出自粛要請 ロックダウンで生活と経済はどうなる?3つの疑問
新型肺炎の欧米での爆発的な増大と、感染が拡大している国からの渡航者によって持ち込まれる症例数の増大から各国では国や地域をロックダウン(封鎖措置)する動きが加速しています。経済活動の大部分、もしくは一部の急停止から経済やライフスタイルにも大きな影響が出ます。今回はロックダウンとは何か、ロックダウン生活からの家庭や経済への影響を挙げたいと思います。
ロックダウンとは
さて、突然小池知事の口から飛び出した「ロックダウン」とは何でしょうか。新型肺炎に伴うロックダウンは大量検疫措置といった意味で使われています。
海外で生活をしていると、「クオレンティン(Quarantine)」(検疫)というワードをラジオや人々の口から幾度となく聞きます。陽性者や陽性者との濃厚接触者、あるいは全ての入国者などに対して14日間隔離をして検疫をしている国や地域もあります。自宅もしくは準備された隔離施設等で検疫を受ける必要があります。
感染者の数が限定的な場合、一部の人を隔離すればよいのですが、クラスターが不明な人の数が爆発的に増えてコントロール不能になると、集団検疫に踏み切る地域も出てきます。感染者が爆発的に増えている、ニューヨーク、パリ、イギリス全土では外出が禁止されています。国や地域によっては罰則や警察による強制帰宅などもあります。
パーシャルロックダウンとは
次に、マレーシア、タイなどの東南アジアやオセアニアなどではパーシャルロックダウンを取り入れている国や地域もあります。いわゆる一部ロックダウンです。
タイでは首都バンコクで食品などの生活必需品店などを除いた商業施設が一時閉鎖しています。オーストラリアでもパブ、レストラン、カフェ、映画館などの娯楽施設などの営業が停止しています。
シンガポールでも非常に細かいガイドラインが出て、バー、カラオケなどの一部の娯楽施設を一時的に閉鎖しています。ただし、小売モール、美術館、アトラクションなど接触が一時的な公共施設などは条件付きで営業を認められます。
例えば、16平方メートルあたりの人数が1人を超えないようにするなどです。固定席のある飲食店の利用者は間隔をあけて使用(席を1つ開ける)などで、施設の管理者は席に目印をつけるなどの工夫が必要です。
オフィスの会議室などではカラーテープで目印が貼り付けられており、間隔をあけて利用するように対策が取られているなどです。また、一度に10人以上の参加者を伴う集会の開催や参加は避ける勧告も出ており、これには結婚式や葬儀なども含まれます。
このような細かなガイドラインが政府のウェブサイトや政府系メディアで報道され、報道から施行までの間は現場も混乱をしている様子でした。海外諸外国の報道からも現場の混乱は伝わります。
私たちの生活経済はこう変わる
ロックダウンやパーシャルロックダウンによって私たちのライフスタイルは否が応でも変えざるを得なくなります。
政府が職場に対する在宅勤務や電話会議を要請していることもあり、夫も私も1ヶ月以上前からほぼ在宅勤務で、家族全員の3食を準備する生活となりました。子供の学校には必ず体温シートを持たせる必要があり、ランチも週のうち何度かはお弁当を持参する必要があります。朝、昼、軽食と3つの食事と水筒を入れると幼児のリュックサックはパンパンです。私自身、外食やテイクアウトが100%に近い人間だったのですが、そうせざるを得なくなりました。
自宅を整理させ、食料の在庫を炭水化物などのカテゴリー別に分けるなどで可視化させ、2週間もつ在庫を確保するようにしています。無駄をなくすためにエクセルで管理させることも有効でしょう。自宅を整理させたために、売れそうなお宝や閉まってあって使えそうな物なども出てきました。
また、子供の学校(期間限定)やピアノ教室やバレエ教室や塾など習い事もオンラインに切り替えざるを得ない施設が増えました。文字を獲得していない低年齢の子供がオンラインや在宅学習をさせるには親による多大なサポートが必要です。
つづりを口頭で言って子供に書かせる、読書アプリを開いて子供に読み聞かせをさせる、算数など問題を解かせるなど管理する必要があります。食事の準備と同じように、習慣にしてしまえば苦は減るのかもしれませんが、共働き夫婦の仕事は益々はかどらなくなりそうです。
学校のオンライン授業に対して4人の子供の母親が自宅にあるノートパソコンは2台なのにどう対応するのか不満を漏らしていました。他の親は自宅にピアノがないのにどうやってオンラインでピアノのレッスンを受けるのかと嘆いていました。ロックダウンが長期化するにつれて子供の学習機会が減ってしまうために、オンライン学習は否が応でも進めざるを得なくなります。
また、学校など公共の施設が利用できないと、自宅にタブレットやPCがある、ピアノなどの楽器があるなど、家庭での条件による差が大きくなります。政府は現金か商品券か現物支給かコロナ経済対策で綱引きをしていますが、在宅学習や勤務に必要な物に使う必要があるかもしれません。
経済への影響は
ロックダウンによって、失われたレストランの予約率、劇場や映画館の興行収入など経済への影響は計り知れないものになります。すでに中小企業が迅速に資金を確保できるスピード融資の利用は急増していますが、影響が長期化すると倒産する企業も増えるでしょう。政府の規制に合わせて、レストランはデリバリーサービスに切り替える、学習はオンラインにする、商談やミーティングは電話などに変えるなど経営者の大きな舵取りが重要になります。
そんな中、株価は暴騰と暴落の乱高下を繰り返しています。中央銀行が無制限の量的緩和を行なっており、政府も大規模な財政政策を取っているために、実体経済が止まっているにも関わらず株価が上昇する局面があるのです。大企業の倒産など悪いニュースによって再度暴落する危険性を秘めていますが、利益を出す人も出てくるでしょう。オンライン証券の口座開設申し込みが急増しているようです。
家計はできれば3ヶ月から6ヶ月分の生活費を現金や預金など流動資産を確保しておきたいところです。日本で生活をするのであれば、円や今のところ安全通貨のUSDなどを選び、マイナー通貨などはできるだけ避けたいところです。日、米、欧州が大規模な市場介入をするに従い、浮いた通貨は弱くなる傾向があるからです。
また、一度封鎖をすると、改善が見られるまでは長期間継続をさせる必要が出てくる可能性もあります。武漢なども2ヶ月以上の封鎖がようやく解除されようとしています。経済活動がままならない時を生き抜くには現金の確保が必要です。