台風19号の水没車は推定10万台! 愛車を処分する前にすべきこと

台風19号の洪水で水没した車は推定10万台。避難する途中に車の中で亡くなった人も(写真:ロイター/アフロ)

 猛烈な勢いで日本列島に上陸した台風19号。日を追うごとにその爪痕の大きさが明らかになっています。

 今回は強風よりも、過去の記録を塗り替えるような豪雨が大規模な洪水を引き起こし、浸水被害を出してしまいました。

 新幹線が泥水の中にずらりと並んでいる映像には驚かされましたが、福島県郡山市では福島交通のバス90台が浸水被害を受け、路線バスが通常運行できない状態となっているそうです。

■東日本大震災を超える車両被害

 もちろん、被害を受けたのは公共交通機関だけではありません。個人が所有するマイカーやバイクも、容赦なく水や土砂に巻き込まれてしまいました。

 私の友人にも、愛車が水に浸かってしまった方、ガレージの中で大切に保管していた5台のバイクが全て冠水してしまったという方がおられます。本当に辛いことです。

台風19号は上陸前から猛烈な雨を降らせ、各地に浸水被害をもたらした(筆者がテレビ画面を撮影)
台風19号は上陸前から猛烈な雨を降らせ、各地に浸水被害をもたらした(筆者がテレビ画面を撮影)

 今回、水没などの被害に遭った車は、約10万台と見込まれているそうです(損保会社等の情報に基づき、株式会社タウが自社で算出)。

 ちなみに、東日本大震災で自走不能・使用不能となり、被災地自治体に処分が委ねられた車やバイクは、最終的には約7万台だったそうです(公益財団法人 自動車リサイクル促進センター・一般社団法人 自動車再資源化協力機構調べ)。 

 現時点ではまだ全容はつかめませんが、台風19号による車両被害は、東日本大震災を超える甚大なものになりそうです。

■急いでスクラップに回さず、まずは買取見積りを

 車が水没すると、エンジンや電気系統が大きなダメージを受けます。

 外見は比較的きれいでも、修理代はかなり高額になることを覚悟しなければなりません。

 見積りが100万円を超えることもざらにあるので、結果的に多くの方が修理より買い替えを選択しているようです。

 また「火災保険をかけていれば、自宅ガレージに停めてあった車の損害もカバーされる」と思っている方も多いようですが、それは間違いです。

 火災保険の場合、車は補償の対象外。自動車保険で「車両保険」をかけていない方は、残念ながら修理費用や買い替え費用は全額自己負担となってしまいます。

 最近は水害が多発しています。不安になった方は、車両保険の加入を検討されることをお勧めします。

■海外で人気の高い「再生中古車」

 車が水没してしまうと、すぐにエンジンがかからなくなります。そのため、たとえ水が引いても動かすことができません。

 水や土砂が入り込んだ車は、あっという間にかびやサビが進行するので、処分を急ぐ人も多いようです。

 しかし、ちょっと待ってください!

 大切な愛車を処分してしまう前に、ぜひ検討してみたいのが、「リユース・リサイクル」という手段です。

 下の写真は、昨年、スリランカで撮影したものですが、日本で使われなくなったバイクや車の部品があたりまえのように流通しているのには驚きました。

スリランカで見かけた日本の郵便バイクのパーツショップ(筆者撮影)
スリランカで見かけた日本の郵便バイクのパーツショップ(筆者撮影)

 以前にも解説しましたが、日本の車は人気が高く、中古車や事故車、水没車であっても「海外への輸出」というルートに乗せれば、再生車として元の姿に修復され、新たな価値が見い出せるのです。

<豪雨によるクルマ水没 自動車保険は使えるのか、高く売る方法は?(2019/9/3配信)>

 水没車の買い取りに力を入れている株式会社タウに、台風19号の対策について伺いました。

「このたび当社は『災害対策本部』を設置し、総勢100名以上の社員を現地へ派遣しています。特に被害の大きい地域には、引き取った車両を一時的に保管しておくための臨時モータープールを9ヵ所に設置し、水害車両の引き取り体制を強化しています。これらを通じて大切な車をなくされた方の経済的なサポートや被災地の早期復興に寄与できるよう取り組んでまいります」

 ちなみに、タウでは台風19号での損害車引き取り台数を約1万5000台と予測しているそうです。

株式会社タウが過去に買い取った水没車の一例
株式会社タウが過去に買い取った水没車の一例
青いラインまで浸水した(株式会社タウ提供)
青いラインまで浸水した(株式会社タウ提供)

「水害車 買取」といったキーワードで検索すると、以下のような複数の買い取り会社が出てきます。

「水害車売却シミュレーター」(タウ)

水没車買い取り

廃車買取.com

「水につかってしまったらもうダメだ……」とあきらめて、愛車を早々と廃車したりスクラップに出す前に、まずは数社から見積もりをとって比較してみてはいかがでしょうか。

■「浸水ハザードマップ」を確認し、早めに車を高所へ避難

 家屋や田畑は移動することができません。しかし、車やバイクはどこへでも自由に移動することができます。

 これまでも繰り返し書いてきましたが、突然襲いかかる地震と違って、台風や豪雨は予測ができます。

 到来するまでに時間があるので、できるだけ早めに備えておくべきです。

 この週末(19~20日)にも、再び大雨が降るという予報が出ています。

 前出のバス会社は、8年前にも同じ場所で浸水被害に遭っていたそうです。

 過去に浸水履歴がある場合、それも重要な目安になるはずです。

 台風15号、19号で、幸い車が無事だった方も、今一度「浸水ハザードマップ」を確認し、早めに海抜の高いところへ車を避難させておくことをおすすめします。

■被災後に車がないことの不便さを知り、車を守る

 災害時に最優先することは、もちろん命を守ることですが、その後は必ず復旧作業が必要になります。そのとき、普段当たり前のように使っていた車が使えないということが、いかに大変なことか……。

 過去に愛車が水没してしまった多くの方々が、「車がないと生活できない」と、そのご苦労について訴えておられます。

 以下は、九州北部豪雨の被害者の声を取り上げた『西日本新聞』の記事です。

『「不便で仕方ない」車が水没…生活の足奪われた被災者 修理追いつかず 九州北部大雨』(西日本新聞・2019/9/4)

 車は人の命と違って買い替えることができます。しかし、日用品を買うように、即、手に入れることはできません。

 特に、災害直後はさまざまな手続きが滞りがちになります。

 後悔する前に、まずは水害から車を守ることを考えてみてください。

<被災された方への情報>

●損保協会

●株式会社タウ

コールセンター 0120-123-999(24時間受付)

●公益財団法人 自動車リサイクル促進センター

●そんぽADRセンター

*自動車保険の支払いや査定に疑問や不安を感じた場合に相談できる