豪雨によるクルマ水没 自動車保険は使えるのか、高く売る方法は?

8月28日、豪雨によって冠水する佐賀市内(写真:毎日新聞社/アフロ)

 8月末の九州豪雨では、佐賀県を中心に大規模な洪水被害が発生しました。

 気象庁からは事前に、「数十年に一度の大雨が降る」と警告されていたものの、急激な水位の上昇をくいとめることはできず、収穫前の田畑や多くの家屋が浸水の被害に遭ってしまいました。

 また、今回の洪水では、ルーフ(屋根)まで水に浸かっているたくさんの車がニュースで映し出されていました。

 おそらく大半の方が、

「まさかここまで水が上がってくることはないだろう」

 と想定し、いつもの駐車場に車を停めておられたのだと思います。

 車は田畑や家屋と違って簡単に移動させることができるだけに、

「ああ、こんなことになるなら、もっと早く高台や立体駐車場などに車を移動しておくべきだった……」

 そう悔やんでいる方も多いのではないでしょうか。

 豪雨の予報が出たときには最悪の事態を想定し、動かせる車やバイクは少しでも高い場所に移動しておくべきです。

ときには駐車場を俯瞰し、突然の洪水被害に備えて車を移動する場所を検討しておくことが大切です(筆者撮影)
ときには駐車場を俯瞰し、突然の洪水被害に備えて車を移動する場所を検討しておくことが大切です(筆者撮影)

■洪水による水没車、自動車保険でカバーできる?

 さて、車やバイクが水没すると、エンジンや電気系統がすぐにやられてしまいますので、ほとんどの場合、「全損」という扱いになってしまいます。

 修理をする場合は、かなりの高額になることを覚悟する必要があるでしょう。

 では、愛車が水害に遭った場合、自動車保険は使えるのでしょうか?

 答えは「YES」です。

 自動車保険に「車両保険」をつけている場合は、契約した保険金額を上限に保険金が支払われます。

 万一、愛車が水害に遭った場合は、すぐに車両保険の有無をチェックしましょう。

 保険証券が流されてしまった場合は、保険会社に問い合わせれば調べてもらえます。

 残念ながら車両保険をつけていない車の場合は、今回のような水没被害に遭っても保険金はおりません。

 修理代も買い替え費用も、自分で負担しなければならないのです。

■地震による津波被害は車両保険に「地震特約」が必要

 これは補足ですが、同じ水害でも、地震による津波の場合は一般の車両保険だけでは支払われません。

 車両保険に「地震特約」をつけておかなければ補償はされないということを覚えておきましょう。

 車両保険は車種や年式、また無事故かどうかによっても保険料が異なります。高いとか安いということを簡単に判断することは難しいのですが、地震特約の保険料だけみれば、それほど大きな額ではありません。

 南海トラフ地震も予想されています。もし車両保険をかけるのであれば、地震特約もつけておくとフルカバーで安心できるでしょう。

 津波だけでなく、地震や噴火による建物の倒壊や火災などで車が傷ついても、保険金が支払われます。

 また、損保会社によっては、地震・津波・噴火で車が全損の被害を受けた場合に定額の補償がつく特約を用意しているところもあるようですので、契約時にはそのあたりも確認してみてください。

 心配なのは、バイクですね……。

 実は、バイクの場合、通常は保険会社の方で車両保険の引き受けをしてくれません。ですから、水害の危険から愛車を守るには、繰り返しになりますが、少しでも高い場所に移動しておくしかないのです。

■廃車する前に水没車専門の買取会社で見積もりを

 車が水没してしまうと、その後の処置が思いのほか大変です。

 一度水に濡れてしまった車は、一日経過するごとにサビが出てきますし、気温が高い場合はシートにしみ込んだ水が腐敗し、元に戻すのはなかなか難しくなってきます。

 ディーラーでも水没車の下取り価格は、どれだけ年式の新しい車であっても、極めて低いようです。

 そんな中、「車両保険もかけていないし、もう打つ手はない……」とあきらめて、早々とスクラップに回してしまう人もおられるようですが、ちょっと待ってください。

 車を手放してしまう前に、とりあえずいくつかの会社に買取価格の見積もりを取ってみてはいかがでしょうか?

■海外では水没車であっても日本車は大人気

 実は、中古車流通業界の中には、水没車の買取に力を入れている会社が複数あります。

 過去の実績を見てみると、年式は新しいのにディーラーではほとんど値の付かなかったような水没車が、100万円前後で買い取られていることもあります

 一例をあげます。

 下の車は台風で川が増水し付近に停車中、青いラインまで水没した平成28年式のトヨタ ヴェルファイアです。

川の増水で青いラインまで水に浸かってしまった車(株式会社タウ提供)
川の増水で青いラインまで水に浸かってしまった車(株式会社タウ提供)
浸水被害に遭った車内の状況(株式会社タウ提供)
浸水被害に遭った車内の状況(株式会社タウ提供)

 実はこの車、ディーラーでの修理見積は200万円以上でしたが、最終的に120万円で売却できたそうです。

 なぜ、こうしたことが可能なのか? 

 私は以前、その現場を取材してみて、「なるほど……」と納得したのですが、日本ではまったく値打ちのない水没車や事故車でも、いざ海外へ輸出されると、『再生車』 『スペアパーツ』 『鉄資源』の3つの方法でリユース・リサイクルされ、新たな命を吹き込まれるというのです。

 特に日本車は海外での人気が高く、再生車として諸外国に輸出された車は、現地で元の姿に修復され、再びクルマとして利用されています。

 これは、車両保険のない被災者にとっても、日本車を求めている海外のユーザーにとっても嬉しいサイクルだと言えるでしょう。

 こうした事業を展開している株式会社タウhttp://www.tau.co.jpは、今回の九州での水害について次のような取り組みをいち早く行っているそうです。

『九州北部を中心に襲った大雨の影響により水害を受けた車両は、およそ10,000台と見込まれます。当社は、「災害対策本部」を設置し、水害車両の引き取り、保管に迅速に対応すべく活動を始めています。特に被害の大きいとされる佐賀県内に引き取った車両を一時的に保管しておくための「臨時モータープール」を設置し、30名以上の社員を現地へ配備。水害車両の引取体制を強化しております』(株式会社タウ 広報課)

■流出油の影響を受けた水没車も売却は可能

 佐賀県の大町町では工場から大量の油が流出し、現在、大規模な回収作業が行われています。

 油の影響を受けた車は買取の対象になるものでしょうか。

 そこで質問してみたところ、以下の回答が寄せられました。

『油の付着による査定への影響ですが、車外か車内か、油の種類によっても変わってきますが、基本的には全て買い取らせていただいております。買取後、車両用洗剤と高圧洗浄機を用いて丁寧に洗浄します。それから乾燥させ、査定となりますので、査定に大きな影響はないかと思います。今回の水害においては今週から本格的な引取りが始まるかと思いますので、また現場の様子など分かりましたらご連絡させていただきます』(株式会社タウ 広報課)

 たとえ流出した油が付着した水没車であっても、買取は可能とのことです。

 頭から無理だとあきらめて廃車してしまう前に、一度見積もりを取って検討する価値はありそうですね。

 下取り価格がつかず、逆にスクラップ代を請求されて終わることがないよう、特に「車両保険未加入」で被害に遭われた方は、早めに調べてみることをおすすめします。

「車は生活必需品、車がなければ元の暮らしに戻れない」という方は数多くいらっしゃることでしょう。

 一日も早く原状回復し、日常の暮らしを取り戻していただきたいと思います。

<「株式会社タウ」の見積り相談窓口>

■水害車売却シミュレーター(必要事項を打ち込むだけで売却金額の目安がつかめます)

https://www.tau-reuse.com/assessment/suigai/

■タウ・売却相談ダイヤル 0120-123-999 (24時間365日対応)