交通事故で泣き寝入りしないために。 ドライブレコーダーを選ぶ重要ポイント

常時録画、高画質のドライブレコーダーで、万一のトラブルを最小限に防ぎたい(ペイレスイメージズ/アフロ)

 東名高速の夫婦死亡事故をはじめ、悪質な交通事故の報道が相次ぐ中、ドライブレコーダーの売り上げが急速に伸びています。10月24日付の日刊ゲンダイによると、ある販売会社では前年同月比3~4倍の売り上げだそうです。

 繰り返しテレビで流される事故の瞬間映像を見ながら、早速取り付けたという人、また、「早く自分の車にもつけなければ……」と思案中の人も多いのではないでしょうか。

カー用品店に掲示されていたドライブレコーダーランキング(筆者撮影)
カー用品店に掲示されていたドライブレコーダーランキング(筆者撮影)

とっさに自己防衛的なウソをつく加害者

 交通事故の取材を長年続ける中で、私は、加害者側がとっさに自己防衛的なウソをついたことによって真実が大きく捻じ曲げられてしまったケースを数多く目にしてきました。

 被害者が死亡、または重傷を負ってしまうと、事故直後に自分の言葉で反論することができません。特に目撃者が誰もいない場合は、そこに付け込んで、相手の言い分が独り歩きしてしまうことが多々あるのです。

 事故状況が一度かたちづくられ、それが実況見分調書に記載されてしまうと、それを覆すことは容易ではありません。

 実例を紹介します。

「死人に口なし」で捻じ曲げられる事故の真実

 1990年3月、愛知県の一般道で起こった、7台のクルマが絡む多重衝突事故は、その最たるものでした。

 この事故で当時26歳だった息子さんを亡くした父親のMさんは、私にこう語ってくださいました。

「私の息子は赤信号で停止中、泥酔運転の車に猛スピードで追突され、車は炎上しました。息子は逃げ出すことができなかったのでしょう、車の中で焼死しました。ところが、多重衝突で何台もの車が前後して停止し、現場が混乱していたこともあり、事故直後はうちの息子が猛スピードで追突した“加害者”として扱われ、報道されてしまったのです」

 しかし、事故車の痕跡をじっくりと検証すれば、間違いは一目瞭然でした。息子さんの車は後部が大破、加害者の車は前部が大破し、その痕跡は一致していたのです。

加害者の言い分だけが通る理不尽な事故処理で苦しんでいる被害者遺族は大勢いる
加害者の言い分だけが通る理不尽な事故処理で苦しんでいる被害者遺族は大勢いる

 加害者の男は、事故直前まで居酒屋で酒を飲み、泥酔状態でハンドルを握っていました。現場の200メートル手前では、猛スピードで蛇行運転する加害者の車が目撃されており、間もなく加害者は刑事裁判にかけられました。

 しかし、裁判の中で加害者は、

「被害者は、自分が追突する前に前方の車に衝突して死亡していた。だから自分が死に至らしめたのではない」

 と無罪を主張したのです。そのため、1審、2審合わせて6年(公判46回)という異例の長期裁判となりました。

 結果的に高裁の裁判官は加害者の主張を退け、懲役2年の有罪判決が確定しました(当時は危険運転致死傷罪がなく、泥酔運転による死亡事故でも軽い刑罰だった)。

 Mさんは言います。

息子の死をきっかけに、私は車の前後左右にカメラを取り付けるようになりました。まだドライブレコーダーが市販されていない頃からです。今はとても高性能な機種が数多く出ています。証拠の映像さえあれば、加害者の悪質なウソや警察のずさんな初動捜査で苦労せずに済むのです。まだつけていない人は必ずつけてほしいです」

バイクにもドライブレコーダーを

 バイクに乗車中、トラックに衝突されて大けがを負ったGさんも大変な苦労をされた一人です。

 Gさんの場合は、脳挫傷で約1か月間意識不明でした。奇跡的に意識を回復したとき、保険会社から突き付けられたのは、自賠責保険金の重過失減額(9割以上の過失があると判断されると、後遺障害保険金が5割減額されます)、つまりGさんに重大な過失があるという宣告でした。この事故は、Gさんが細い路地から一方的に飛び出したことになっていたのです。

 事故時の記憶が消失し、さらに半身麻痺という重い障害が残ったため、真実追求もままなりませんでした。しかし、その路地は全く通る必要のない道で、通勤路からも外れていました。

『絶対に自分はこの道を走っていないはずだ……』

 そう確信したGさんは事故車の痕跡などを検証し、幹線道路を直進していたことを裏付けていきます。

 そして事故から5年後、加害者は起訴され、刑事裁判の中でついに自らのウソを認めたのです。

 自賠責保険も査定の誤りを認め、Gさんに保険金を全額支払いました。

 バイクにもドライブレコーダーは装着可能です。この事故でも、もしドライブレコーダーに映像が残っていれば、Gさんはこれほど長い年月苦しまずに済んだはずです。

ドライブレコーダー、バイクにもぜひ装着しておきたい(筆者撮影)
ドライブレコーダー、バイクにもぜひ装着しておきたい(筆者撮影)

ドライブレコーダー、選択するならココに注目!

 では、これからドライブレコーダーを購入するならば、どんな点に着目すべきでしょうか?

 私はすでに自分の車のフロントガラスに、前方用のドライブレコーダーを装着していますが、後部にも取り付ける必要性を感じ、早速カーショップや電器店を回って、店員さんにいろいろ質問してみました。

 店頭に並んでいたのは、ケンウッドやパナソニックなど国産メーカーのほか、外国メーカーも合わせると約20種類。価格は安いもので数千円、高いものでも3万円程度でした(取り付け費用は別途)

カー用品店の売り場に数多く並んでいるドライブレコーダー(筆者撮影)
カー用品店の売り場に数多く並んでいるドライブレコーダー(筆者撮影)

 まず、性能の面で絶対に妥協してはならないのは「画質のよさ」です。とにかく、車のナンバーが読み取れるかどうかという点がもっとも重要なポイントです。

 せっかく動画として記録できても、ナンバーが不鮮明では、逃げられた時に証拠として使えません。ですから、ここは妥協せず、少し高くても200万画素以上、解像度としては「フルHD」と表記されているものを選べば安心です。

 また、明るさの急変に強いかどうか?  逆光やトンネルの中、夜でも鮮明に映るか? についても店員さんに確認してみてください。こういう場面は危険度が増し、特に備えが必要だからです。

 画質の次は、「画角の広さ」にこだわってみましょう。

 事故は前だけでなく、横から起こることもよくありますので、画角は広い方が安心できます。

 最近は「水平画角」が160度といった商品も出ていますし、360度というものもありました。この点も要チェックです。

「駐車監視機能」付きのドライブレコーダーも魅力

 その他、運転中のドライバーの居眠りや車線逸脱、脇見などをアラームで警告してくれる「運転支援機能」など、細かな付加機能がいろいろあります。

 中でも、私が特に欲しいと思ったのは「駐車監視機能」です。

 通常のドライブレコーダーはエンジン始動と共にスイッチが入り、常時録画を始めるのですが、この機能はエンジンをストップさせた後も、録画が継続します。この機能があれば、駐車中のいたずらや当て逃げ、窃盗などをバッチリ記録することができ、泣き寝入りせずにすむので安心です。

 ただし、この機能を使う場合、6~7000円する別売りのコネクター(バッテリー上がりを防ぐためのもの)が必要なのですが、付けておく価値は十分にありそうです。

 ちなみに、バックモニターが付いている車は、そのカメラを利用して後部のドライブレコーダーを簡単に作動することもできるそうです。

 私の車には残念ながらバックモニターがないので、水平画角の広いタイプのドライブレコーダーを後部にもう一台付けるつもりです。

 車種によって電源の供給位置が違うようなので、取り付け可能な機器や工賃にも差が出てきます。

 店員さんに質問するときは、まず車種を告げるとよいでしょう。

さまざまな「運転支援機能」も有効活用してみたい(筆者撮影)
さまざまな「運転支援機能」も有効活用してみたい(筆者撮影)

 ドライブレコーダーの普及が拡大すれば、きっと悪質運転の抑止につながるはずです。

 しかし、万一、不幸にも事故に巻き込まれたとき、長い裁判を強いられたり、真実ではない過失割合で損害賠償をカットされることのないよう、しっかり備えておきたいものです。