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今が旬!京都洛北の必見の紅葉を紹介

山村純也京都の魅力を発信する「らくたび」代表
光悦寺の参道の紅葉。市内中心部より早めに色づく(※以下の写真も全て筆者が撮影)

 洛北の紅葉といえば、今の時期にピークを迎えている高雄エリア大原エリアが二大スポットで、これに続くのが、鞍馬・貴船エリアと言える。

 今回はそれらを除いた洛北の紅葉を、西から東へと紹介したい。西に位置する鷹峯エリアは、近年すっかり紅葉の名所として定着した。この鷹峯は、江戸初期に京都の芸術家として名を馳せた本阿弥光悦が、徳川家康から土地を拝領して開いた芸術村に始まる。

 日蓮宗を深く信仰した光悦が造った法華堂を基礎する光悦寺があり、さらに光悦が日乾上人に土地を寄進して始まった常照寺、その間には、悟りの窓、迷いの窓が人気の曹洞宗の源光庵がある。

常照寺の山門は、吉野太夫が寄進した逸話から吉野門と呼ばれる
常照寺の山門は、吉野太夫が寄進した逸話から吉野門と呼ばれる

 今挙げた3カ寺は、鷹峯エリアでは必見の有料拝観寺院である。その他に見逃して欲しくないのが、光悦寺の北側にある圓成寺という日蓮宗寺院だ。境内での写真撮影は禁止だが、まさに境内が丸ごと紅葉に包まれるため、ぜひ足を運んでほしい。

 時間的に余裕があって健脚の方は、そこから西側の急坂を下って、南へ向かうと吟松寺という浄土宗の寺院が出てくる。まさに「ザ・隠れ紅葉寺」と呼ぶにふさわしい寺院で、人もほとんど訪れない。さらに南へ進むと、程なくしょうざんリゾート京都があり、こちらの手入れの行き届いた日本庭園の紅葉も見逃せない。

吟松寺の参道。観光寺院ではないので境内立入には配慮が必要
吟松寺の参道。観光寺院ではないので境内立入には配慮が必要

 洛北の神社といえば上賀茂神社が著名だが、こちらも境内は紅葉の名所だ。世界文化遺産であり、葵祭のイメージもあるため、意外と紅葉時期は穴場といえる。

 さらに東へ行くと、松ヶ崎エリアには妙円寺(松ヶ崎大黒天)がある。都七福神巡りの札所であることから、紅葉の時期に訪れる人はほぼいないので、ゆっくりと楽しむことができる。

妙円寺の境内は、イチョウと紅葉のコントラストも美しい
妙円寺の境内は、イチョウと紅葉のコントラストも美しい

 一番東まで進むと修学院エリアに到着するこちらでは赤山禅院が紅葉の穴場としておすすめだ。こちらも都七福神巡りの札所であることから、その時期を外せば人は少ない。さらに南側の鷺森神社は、参道がまさに紅葉のトンネルとなる。

鷺森神社への参道。叡山電車の修学院駅が最寄り駅
鷺森神社への参道。叡山電車の修学院駅が最寄り駅

 最後はそこから南へ歩いて一乗寺エリアまで足を延ばそう。「十牛之庭」周辺の紅葉が人気の圓光寺には、平成25年に「奔龍庭」という新しい庭園が完成している。

 このエリアのメインは詩仙堂で、サツキの刈込と紅葉のコントラストが見事だが、さらに隠れた紅葉スポットとしてお勧めしたいのが金福寺だ。村山たか女の隠棲地で、松尾芭蕉や与謝蕪村も訪れた閑寂の地。ゆっくりと贅沢な時間を味わいたい。

手前にはサツキの刈込があり、5月下旬に鮮やかに咲き誇る
手前にはサツキの刈込があり、5月下旬に鮮やかに咲き誇る

 洛北エリアはアクセスが少々不便な分、隠れた紅葉を楽しめるエリアといえる。ぜひこの秋に訪れてみて欲しい。

京都の魅力を発信する「らくたび」代表

1973年、京都生まれ。立命館大学在学中にプロの観光ガイドとして京都・奈良を案内。卒業後は大手旅行会社に勤務。2006年4月、京都観光を総合的にプロデュースする「(株)らくたび」を創立。以後、ツアープロデューサー、ツアー講師として活躍。2007年3月に「らくたび文庫」を創刊。現在、NHK文化センター、大阪シティーアカデミー、ウェーブ産経、サンケイリビング新聞社の講師、京都商工会議所の京都検定講師も務める。著書・執筆に『幕末 龍馬の京都案内』、『京都・国宝の美』、『見る 歩く 学ぶ 京都御所』(コトコト)など。京都検定1級取得。

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