京都でも不動の人気観光スポットである嵐山。この人気のエリアの象徴は渡月橋であり、その背景の嵐山であろう。今回はこの嵐山を別の角度から見るお勧めのスポットを二つ紹介したい。

 最初のスポットは大悲閣千光寺だ。天台宗の寺院として清凉寺の近くに創建されたが、慶長11(1606)年に保津川開削に成功した、豪商・角倉了以が同19年に嵯峨の中院から現在地へ移して再興した。

 その場所へ向かうには、渡月橋の南側から保津川上流に進む。最初に岩田山モンキーパークの入口がある櫟谷宗像神社にも参拝しておこう。この保津川を平安時代以前から見守ってきたお社だ。

境内から保津川を見下ろすことができる
境内から保津川を見下ろすことができる

 さらに進んでいくと、左手に「戸無瀬(となせ)の滝」が現れる。平安時代より歌に詠まれ、室町時代には夢窓疎石によって天龍寺十境に選ばれ、江戸時代、歌川広重が描いた『六十余州名勝図会』にも立派に描かれていたが、保津川の開削などによって規模が縮小されてしまった。歴史的な滝なので見逃さないようにしたい。

写真ではわかりにくいが、かなり奥まで見通すことができる
写真ではわかりにくいが、かなり奥まで見通すことができる

 渡月橋から約1キロ、リゾートホテル「星のや京都」の入口に突き当たると、そこか大悲閣千光寺の入口だ。階段が200段弱、10分ほど歩けば、鐘楼が見えてくる。昭和34年9月の伊勢湾台風で被害にあって本堂は撤去、その後、再建されて現在に至っている。本堂と展望ができる建物の2棟があり、ご本尊は恵心僧都作とされる千手観音立像、その横には角倉了以の力強い木像が安置されている。

角倉了以もここで工事、運行の無事を願ったという
角倉了以もここで工事、運行の無事を願ったという

 展望できる建物からの眺めはまさに絶景で、比叡山東山如意ヶ岳(大文字)双ヶ丘などが遠望できる。もちろん眼下には保津川下りで知られる保津川が流れており、向かいの山には嵐山公園の展望所も見ることができる。まさに京都を代表する絶景スポットなのでゆっくりと味わいたい。

秋には眼下が紅葉で真っ赤に染まる
秋には眼下が紅葉で真っ赤に染まる

 余力があれば、向かい側の嵐山公園からの景色も素晴らしい。嵐山に戻って渡月橋を北側に渡り、天龍寺の横を通って、保津川下りの下船場あたりから、園内に入ると、周恩来の石碑、さらには角倉了以の銅像が雄大に立っている。こちらも河川の開削工事で陣頭指揮をとった姿で、つるはしを片手に持っている。そこから公園の坂道を上がると3か所の展望台が設置されており、ここから見る保津川や嵐山もまた絶景。なんといっても大悲閣千光寺のお堂が、山の中腹に突き出たように見える景観が素晴らしい。天候のいい日を狙ってぜひ訪れてみてほしい。

タイミングが合えば、保津川下りの舟も見える
タイミングが合えば、保津川下りの舟も見える