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二条城の秋の夜間拝観は、デジタルアートの世界を堪能

山村純也京都の魅力を発信する「らくたび」代表
二条城の内堀に現れたデジタルアート  (以下写真はすべて著者撮影)

昨年も同時期に開催された企画展「FLOWERS BY NAKED」は、昨年約10万6千人の来場者があり、今年は2019年10月26日(土)~12月8日(日)、時間は17時30分~22時(入場開始17時45分/最終入場21時)と期間を少し長くしての開催となります。さらに昨年より2エリアを追加して規模も拡大していました。さっそく東大手門から入って二の丸御殿への入口の唐門へ。ここでは鳳凰が左右に流れ、流れた後は秋の情景が浮かび上がります。また秋をイメージしたすっきりとしたアロマが焚かれる演出もされています。

唐門
唐門

唐門を入って国宝の二の丸御殿のライトアップを見たら、そのまま二の丸庭園へ。まずは昨年にはなかった二の丸御殿(大広間の南側)のデジタルアートをご覧ください。こちらにも鳳凰が自在に飛び、幻想的な風景が現れます。

二の丸御殿
二の丸御殿

二の丸庭園は、特別名勝に指定されている国内でも屈指の名園です。少なくとも、築城時、増築時(小堀遠州作)、幕末、明治の二条離宮時代と4回は大きく手が入っており、各時代の庭師の努力によって名園へと何度も生まれ変わってきました。池の真ん中に大きく浮かぶ蓬莱島が見えてきて、御殿との間に立ったあたりが将軍もみていたベストポイントです。さらに庭園のアクセントとなっている蘇鉄の木にも注目。冬はこも巻きという藁の巻き方で越冬します。

二の丸庭園
二の丸庭園

そして今回のハイライトのひとつである内堀のデジタルアートへ。内堀は低い外堀とは違って高さがあり、もちろん長さも兼ね備えているので画面としては絶好の条件を整えています。当初は石垣のでこぼこしている部分や、当然白地ではないことも懸念されましたが、結果は全く違和感なく、雄大な花のアートが展開され、時折背景に見える石垣もかえって斬新さを演出していました。まさに歴史的建造物と現代アートのコラボレーションの究極の形を見たような思いです。

内堀の石垣
内堀の石垣

そのあとは、刻々と色が変わる木々を抜けて、通常非公開のエリアである台所へ。

北側のエリアの木々
北側のエリアの木々

こちらもデジタルアートと立体的なオブジェが見事に融合しており、荘厳な音楽とともに鳳凰がゆったりと飛び回る壮大な世界観を感じることができました。

台所(通常非公開)
台所(通常非公開)

台所の前にはハスの花のオブジェや、この会場ならではのグッズの販売も楽しめそう。特に美しい花みくじや巨大な煎餅に驚かされました。どれもこのイベント限定の品々です。

限定グッズ
限定グッズ

世界遺産二条城とクリエイティブカンパニーネイキッドの新たな挑戦。ぜひともこの秋に堪能してみてください。

京都の魅力を発信する「らくたび」代表

1973年、京都生まれ。立命館大学在学中にプロの観光ガイドとして京都・奈良を案内。卒業後は大手旅行会社に勤務。2006年4月、京都観光を総合的にプロデュースする「(株)らくたび」を創立。以後、ツアープロデューサー、ツアー講師として活躍。2007年3月に「らくたび文庫」を創刊。現在、NHK文化センター、大阪シティーアカデミー、ウェーブ産経、サンケイリビング新聞社の講師、京都商工会議所の京都検定講師も務める。著書・執筆に『幕末 龍馬の京都案内』、『京都・国宝の美』、『見る 歩く 学ぶ 京都御所』(コトコト)など。京都検定1級取得。

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