千代の古道を通って大覚寺戊戌開封大法会へ

60年ぶり公開の心経殿(写真は全て著者が撮影)

 先月から始まった大覚寺の戊戌開封大法会。開催が60年に1度ということで、今秋かなり話題となっています。11月も半ばに差し掛かったこの時期は、大沢池周辺の紅葉も始まり、嵯峨菊も色鮮やかに咲くことから一層お勧めしたいです。そしてせっかく訪れるなら、ぜひ「千代の古道」を辿ってみてはいかがでしょうか。この道は大覚寺の前身となった嵯峨天皇の嵯峨離宮へ向かう貴族たちが使用した道で、京都の中心部からいくつかあったと考えられています。JR山陰線の花園駅、太秦駅、嵯峨嵐山駅と、どの駅で降りて千代の古道を訪ねて大覚寺へ向かっても、最後は広沢池へとたどり着き、広沢池から斜めに大覚寺へと繋がっています。

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 広沢池は周囲1.3キロあり、かつて西側に大きく広がっていた遍照寺があった頃からの人口の池で、北側には「嵯峨富士」とも称される美しい遍照寺山もご覧いただけます。これから冬はこの池で成長した鯉の量り売りなども行われます。池の畔に佇む児(ちご)神社には、遍照寺を創建した寛朝大僧正が亡くなった時に池に身を投げて後を追った稚児を祀っています。その稚児が座っていた石に腰掛けたら願い事が叶うという言い伝えも。

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 その後、のどかな田園風景の中を歩くと大沢池の土手、そして大覚寺が見えてきます。大覚寺の中はこの期間いつもと逆回りで、南北朝合一がなされた正寝殿を過ぎると大正天皇即位式の饗応殿が移築された御影堂へ。その後、いよいよ60年ぶりに開かれた心経殿に塗香を手に、般若心経の末尾を唱えながら入ります。

 お目当ての嵯峨天皇の写経は、文字を削って飲むと病に効くとの言い伝えから、薄く削り取れており、薄っすらとした状態になっています。心経殿内部にはこの写経と薬師如来像のみ。嵯峨天皇の写経の復元や、残りの後光厳天皇、後花園天皇、後奈良天皇、正親町天皇、光格天皇の写経は隣の宝物館にて公開されています。個人的に驚いたのは琵琶湖疏水の設計者である田邊朔朗氏の奉納した写経が公開されていたこと、その力強い達筆さに感動しました。宝物館内では明円作の五大明王なども併せて拝観できるのでとても充実していました。心経殿や写経の公開は今月末まで、次の公開は60年後になります。ぜひこの機会をお見逃しなく!