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新型コロナウイルス感染拡大防止:学校休校では甘すぎる。歓楽街・飲食街を早く封鎖せよ!

山田順作家、ジャーナリスト
歓楽街はいま戦々恐々としている(写真:ロイター/アフロ)

 27日、ようやく、安倍首相は全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明した。これを受けて、3月2日から、全国で学校は休みに入るが、現場の混乱を危惧して、一部では「行き過ぎでは」という声も上がっている。

 しかし、これは「始まり」であって、新型コロナウイルスの感染防止策、国民の命を守るための政策としては、甘すぎると言える。なぜなら、来週以降、もっと強力な政策が必要になる可能性があるからだ。

 

 その理由は、こちらもまた遅すぎたPCR検査の拡大が、来週からでも行われるようになるからだ。加藤厚労相は、27日の衆議院予算委員会で、野党議員の追及に、やっと、来週中にも、検査に保険適用を認める方向で調整する意向だと述べた。

 PCR検査数が増えればどうなるだろうか? これまでカウントされなかった潜在感染者がカウントされ、感染者数は一気に増えるだろう。

 27日のたった1日で、韓国は感染者が500人以上増えた。韓国では、1日1万3000件ペースで検査しているという。それに対して、日本は、加藤厚労相が1日あたり最大で3800件と表明した18日から26日まで、1日平均約960件にすぎない。つまり、日本の感染者数が少なかったのは検査数が少なかったからである。

 感染者数が爆発的に増えると、世界の日本を見る目が大きく変わる。すでにダイヤモンドプリンセスで、日本の対応は批判されてきたが、そんなものではすまなくなる。アメリカでも欧州でも、日本は「感染源」とされるようになり、その対応が注目されている。アメリカ国務省は渡航注意レベルを引き上げた。なんと、中国からも日本人は渡航を拒否されるようになった。

 となると、このままでは日本は、世界から封鎖されてしまうようになる。そうならないためには、学校休校ぐらいの甘い措置ではなく、もっと強力な措置を取らなければならない。中国は人口1100万人の大都市、武漢を完全封鎖した。韓国でも大邱を半封鎖状態にし、イタリアでもいくつかの町を半封鎖状態にした。

 こうした措置に対して、WHOは一定の評価をした。

 日本もいち早くそうしないと、世界の信頼は失われる。これまで、日本人が努力して築き上げてきた日本への信頼、日本人への信頼は崩れ落ちる。そうなれば、経済的損失も計り知れない。しかも、1度失われた信頼を取り戻すのは大変な努力と時間がかかる。東日本大震災では、世界は日本に同情してくれた。アメリカは「オトモダチ」作戦を実行してくれた。今回は、そうはいかない。

 日本がまずしなければならないのは、都市の一部封鎖、半封鎖だ。とくに、歓楽街・飲食街は早急にその対象にすべきだろう。そうして、歓楽街・飲食街関係者をできる限り検査すべきだ。東京や大阪の大都市の歓楽街・飲食街には、ついこの前までインバウンドの中国人が大量に訪れていた。そのなかには、日本のフーゾクに行った人間も数多い。

 

 新型コロナウイルスの感染では、「濃厚接触」がもっとも危険視されている。

 国立感染症研究所感染症疫学センターは、濃厚接触者として、「同居者や車内なども含めて長時間の接触があった人」「適切な防護なしに診察、看護、介護をしていた人」「体液などの汚染物質に直接触れた人」などを挙げ、手で触れることや対面での会話が可能な距離(目安として2メートル)で予防策なしに接触があった人も挙げている。

 では、こうした濃厚接触者にいちばんなりやすいのは誰だろうか?

 今回のことが起こってから、感染に怯え、「もしほかの人に感染させたらどうしよう」と悩んでいるのは、歓楽街・飲食街の人々だ。政府はもっと視野を広げ、日本人の命を守り、世界での日本の評判を落とさないために、全力で取り組んでほしい。

 

作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

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