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【Yahoo!ニュース エキスパート】7月の月間MVAとMVCが決定 #MVA #MVC

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース エキスパート、7月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース エキスパート コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選3本の記事と2本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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7月のMVA

■子どもが助かり、なぜ親が溺れるのか それでも親として子どものそばにいたい(斎藤秀俊)

筆者による受賞コメント:7月に出雲市の海岸で海水浴に訪れた家族を襲った水難事故を知り執筆しました。この事故ではお子さんが助かり、助けに入った父親が溺れました。「溺れるとわかっても行くのが親だよ」という声と「浮いて待っている人を救助に行くのがわれわれの使命だ」との現場の救助隊員の声、聴き比べて「救助隊を信じよう」というメッセージをユーザーに伝えようと決心がつきました。そして8月には柏崎市の海岸で発生した水難事故で、風に流された二人の子どもを見て、家族がすぐに緊急通報をしました。お子さんは無事に救助されて、家族全員の生還を果たしました。これからも全員の生還を目指す記事をユーザーに届けていきたいと思います。(斎藤秀俊

選出理由:「水難事故で命を失ってほしくない」という切実なメッセージが込められた解説記事です。実際にことし7月に起きた事故をもとに、同様の状況に遭遇した場合、取るべき行動が具体的に示されています。さらに、長年水難事故を研究してきた筆者ならではの専門性を生かし、事故に遭遇した際生じうる「心理」もリアルに書かれているため、読者は自分事化して読み進められる内容になっています。夏本番を迎え、家族で水辺へ行き楽しむ計画をしているユーザーにしっかり響き、すぐに実行につながる内容になっていたといえます。

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■パイオニアが作った世界の頂点への道筋 ミックスデュエット金メダルへの道(田坂友暁)

筆者による受賞コメント:スポーツに限らずですが、どんな人にもその裏には必ず物語があると思っています。佐藤姉弟が金メダルを獲得できたのはふたりの努力の賜物です。ただ、アーティスティックスイミングという競技にミックスデュエットという道があるということを示したのは、足立夢実さん、安部篤史さんの2選手、そしてふたりをご指導されていた花牟礼雅美コーチでした。今回は彼ら、彼女らから、人が受け継ぐ思いの強さをとても感じたので、それを物語として表現してみました。この度はMVAに選出していただきましてありがとうございました。(田坂友暁

選出理由:アーティスティックスイミングのミックスデュエットという、まだ広くなじみのない種目に光を当て、生き生きとした筆力でつづった秀作。道を切り開き、金メダルペアへと夢を託した先人ペアの思いや、男性参加での戸惑いなどを知れたことで、日本が世界の頂点に立ったことの深みがより増しました。エキスパートならではの描き方でスピード感もあり、日本(福岡)開催の世界水泳を盛り上げ、ユニークな種目の魅力を伝える一助にもなったように思います。

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■夏のクマは飢えている?都会に出没するのはなぜだ(田中淳夫)

筆者による受賞コメント:野生動物の出没と被害の増加が知られるようになりました。その背景には、あきらかに生息数が増えたことがありますが、今も「野生動物は開発によって絶滅寸前で、餌がないから人里に出る」という声が根強く残ります。今回は、クマの年間を通した餌の有り様から野生動物の生態と人の関わり方を探ってみました。おそらく今後、クマに限らず野生動物の都市部への出没は頻発するでしょう。その時に人がどんな対応をするかによって、動物の行動は大きく変わります。緊張感を持って、動物との向き合い方を探っていきたいと思います。(田中淳夫)

選出理由:クマによる人的被害が増えてきていますが、その背景を森林の様子などからひも解いた記事です。初夏の山に食べるものがない状況や、シカ・イノシシの駆除の盲点、ブナの凶作予想などから解説しています。都市の中心部にまでクマが出没するようになった原因について、エサの豊凶といった自然の影響だけでなく、人間の営みの影響も大きいと指摘。全国で「日常的にクマがいる」状態をどう考えるのか、警鐘を鳴らしています。

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7月のMVC

■『世界水泳で3人銀メダルの超珍事 2位が1/100秒まで3人一致、ネット仰天「初めて見た」「そんなことあるんだ」(THE ANSWER)』の記事へのコメント(荻島弘一)

筆者による受賞コメント:多くの人が「なぜ決着をつけないんだ」と思ったはずです。現在の技術なら正確な着順判断も可能ですし、他の多くの競技でもあらゆる方法で優劣を決めます。競技である以上、順位付けは必須だからです。では、どうして競泳は同着になるのか。そんな問いへの答えのつもりで書いたコメントです。同着選手同士が称え合う姿、表彰式に並ぶ笑顔。彼らは「決着」にこだわっていないようにさえ思えます。目指すのは相手に勝つことだけではなく、記録で自分を超えること。対人競技とは異なるタイム競技の特性が、少しでも伝われば幸いです。(荻島弘一

選出理由:福岡開催の世界水泳、男子100メートル平泳ぎ決勝で起きた3人同時銀メダル(3人が58秒72の同タイム)。銀メダルでは初で驚きの声があがりましたが、それが単なる偶然の「珍事」ではなく、起きうる事象だということを歴史的な経緯とともにわかりやすく解説しています。普段、なにげなく目にしているタイムですが、五輪を長く取材してきたエキスパートだからこその「記憶」によるコメントで、「記録」について広く伝えたことで、今後、水泳競技をより興味を持ってみることができるきっかけにもなりました。

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■『女児虐待の疑い、AIの「保護率39%」評価参考に児相が保護見送り(朝日新聞デジタル)』の記事へのコメント(山脇由貴子)

筆者による受賞コメント:残念ながら、子どもを虐待する親がいなくなることはない、と児相勤務経験を通して感じ続けています。だから、児相が子どもを救うしかありません。AI導入は、職員の判断の誤りを見抜くという期待が持てる一方、判断材料となるデータは職員が入力するのですから職員の判断がリスク低なら、AIの判断もリスク低となります。一番危惧しなくてはならないのは、子どもが被害に遭っても、職員が「AIがした判断だ」と責任回避が出来てしまうことです。やはり重要なのは職員の質。これからも児相の専門性を上げる為の記事やコメントを書いていきたいと思います。(山脇由貴子

選出理由:児童虐待によって女児が死亡した事件に関する記事へのコメントです。死に至る前になぜ気づけなかったのかという疑問に対し、AIによる評価が関係していた事実が明らかになり、一見すると「虐待死を未然に防ぐことは困難」と思わされるニュースでした。ここに対し、冷静な視点で「AIの導入が児相の責任回避に使われる事が一番恐ろしい」と課題の核心を指摘し、児童相談所の職員による判断の重要性を改めて伝えられている点がユーザーの深い理解につながったといえます。

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