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大学受験「センター試験直前」をどう過ごすか?

矢萩邦彦アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授
(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

いよいよ大学入試センター試験を週末に迎える。今年度の志願者数は582669人と前年度よりも6702人増。特に志願者の多い東京都では75990人が受験する。(独立行政法人大学入試センター『平成30年度大学入試センター試験の志願者数について』)

各予備校でも「センター前最後の授業」を終え、「あとは平常心で」「最後までやりきれ」など講師ごとのエールを送るが、具体的にどう過ごせば良いか分からず落ち着かない受験生も多い。今回は、センター直前の過ごし方についてまとめてみる。

●基礎を素早く見返す

センター試験の問題は良問揃いである。各教科とも基礎がしっかりあれば確実に点数が取れるように作られている。私立大一般入試や国公立大二次試験は特殊な問題やクセのある問題も出題されるので、ある程度学校別の対策やテクニックなども必要になってくるが、センター試験に関しては基礎を固めることが何よりも重要だ。焦って新しい参考書などに手を出しがちだが、直前期は今まで使ってきたものをしっかりと繰り返すことに時間を割きたいところだ。

この時期、迷いや悩みは禁物だ。しかし今まで落ち着いていた受験生からも、あと数日を「どうやって過ごすべきか分からない」という相談は多い。焦ったり悩んだりする余裕を与えないように、タイマーなどで時間を計って、強制的に問題や参考書に向き合うなど淡々と復習に時間を使う。どうしてもやることが思い付かないなら、漢字検定の準二級レベルの熟語を見直すことや、英検二級レベルの英単語を見返すだけでも効果があるだろう。また、今まで全く分からなかった問題に手を付けるよりも、1度間違えてあとで理解できたというような問題を復習することはプレッシャーも少なく効率的な復習になる。できるだけ多く「思い出す」ために、時間をかけて解くのではなく素早く見返すだけでも良いだろう。

●時間配分は戦略的に

出題パターンをしっかり確認しておくことは、試験に臨む上で重要な要素だ。大問の数や、テーマ、問われ方の傾向などある程度のパターンがある。特にセンター試験は結果の安定した問題供給を目指さなければいけない構造上、傾向を大きく変えるわけにはいかないという事情もある。基礎的な内容であるとはいえ、パターンがあるならば把握しておくことが高得点に直結する。

例年「時間が足りなかった」という受験生は思いのほか多い。自分の得手不得手を考慮して、解答順を判断することで効率よく問題に取り組みたいところだ。過去問など問題ごとにバラして扱うことが多かったなら、受験教科ごとに問題全体を見渡して、問題を解かずに時間配分を判断するだけでも効果がある。段取りが分かっていればスムーズに解答に着手できるのだが、この段取りを当日にアドリブでやろうとすると、精神的負担が増す。ちょっとした焦りがプレッシャーになり、結果、出題順通りに解答して苦手な問題で詰まったり、解答順を決めることで混乱してしまったりするが、ピンチや失敗も想定しておくことで焦りを軽減できる。

●具体的に何点を目指すのか

志望校によって、必要な得点は違うのだが、多くの受験生が、漠然と「できるだけ良い点」を取ろうとしてしまう。その結果「できそうな気がするけれどできない」問題などを飛ばせずに、時間をロスしてしまう。センター試験といえども7割以上の高得点が必要な学校は多くはない。志望校の合格ラインをある程度把握しておくこと、また苦手科目を得意科目でカバーすることも考慮に、受験科目全体でバランスを取ることも必要だ。効率よく得点するためには引き算で考えることも重要である。

以上、普段担当している受験生たちの様子を参考に、センター試験の直前にもう一度確認しておきたい事項をまとめてみた。もちろん、何をすべきかは受験生によって違うが、アイデアがなくて焦っているなら参考になれば幸いだ。(矢萩邦彦/知窓学舎教養の未来研究所

アルスコンビネーター/知窓学舎塾長/多摩大学大学院客員教授

1995年より教育・アート・ジャーナリズムの現場でパラレルキャリア×プレイングマネージャとしてのキャリアを積み、1つの専門分野では得にくい視点と技術の越境統合を探究するアルスコンビネーター。2万人を超える直接指導経験を活かし「受験×探究」をコンセプトにした学習塾『知窓学舎』を運営。主宰する『教養の未来研究所』では企業や学校と連携し、これからの時代を豊かに生きるための「リベラルアーツ」と「日常と非日常の再編集」をテーマに、住まい・学校職場環境・サードプレイス・旅のトータルデザインに取り組んでいる。近著『正解のない教室』(朝日新聞出版)◆ご依頼はこちらまで:yahagi@aftermode.com

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