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【箱根駅伝】ナイキだけじゃない! 各メーカー最新シューズがそろい踏み

和田悟志フリーランスライター
(写真:松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会)

 1月2日、3日の第98回箱根駅伝が終わって、青山学院大の圧勝劇を報道する記事の中に、ちらほら散見するのが箱根ランナーのシューズにまつわる記事だ。

 2017年にナイキの厚底レーシングシューズ「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」が登場して以降、この数年で厚底レーシングシューズの普及が一気に進んだ。世界中のマラソン大会を席巻し、非公式ながら、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が42.195kmを人類史上初めて2時間を切って走るなど高速化が進んだ。

 そして、日本の大学駅伝界においても同じ事象が起きた。「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」が登場した翌2018年の箱根駅伝は、ユニフォームをナイキと契約する東洋大を筆頭にナイキのシューズを履く選手が増え、シェア率は、前年トップのアシックスを抜いて、ナイキがトップに踊り出た。

 とはいえ、まだこの頃は、ナイキ28%とアシックス26%とこの2社のシェア率に大きな差はなく、次いでアディダス17%、ミズノ18%、ニューバランス11%と、大手メーカー各社も、それなりのシェアがあった。

 だが、厚底シューズといえばナイキの代名詞のようなもので、「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%(現在は「2」が登場)」、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」(2020年2月に登場)とバージョンアップすると、翌年の2019年に一気に50%近いシェアを占め、2020年は約84%、さらに2021年の前回大会は約96%にまで上った。まさにナイキ一強時代の到来だった。

 2018-2019年の駅伝シーズンからは、駅伝ランナーからインスピレーションを受けてデザインされたナイキの「EKIDEN PACK」が発売され、その年々で異なる鮮やかなカラーリングを採用。今シーズンは、イエロー、オレンジ、レッドのグラデーションカラーで表現され、駒澤大の選手らの足元を彩っていた。

 現行品の「ネクスト% 2」と「アルファフライ ネクスト%」、それぞれに異なる良さがあり、自分の走り方に応じて選択できることも支持を集めている理由だろう。

今シーズンのナイキのEKIDEN PACK。ビジュアルには駒澤大の選手たちが登場(メーカー提供)
今シーズンのナイキのEKIDEN PACK。ビジュアルには駒澤大の選手たちが登場(メーカー提供)

ナイキ一強にマッタ!

 今回の箱根駅伝も、ナイキのシューズを履いた選手が圧倒的に多かった。だが、シェア率は約73%と昨年からは減らしており、勢力図に少し変化があった。

(スポーツ報知の記事を参照 https://hochi.news/articles/20220103-OHT1T51111.html)

 最注目はアシックスだ。

 かつてはシェア率ナンバーワンを誇りながらも、前回大会はまさかの0人。それが、今回は一気に24人にまで増え、シェア率約11%まで盛り返した。

 これは、昨年登場した「メタスピードスカイ」「メタスピード エッジ」が、じわりじわりと支持を増やしたのが要因だ。現行品も人気だが、アップデートされ、さらに反発性が増したプロトタイプを履いた選手も多かった。

 今回の箱根では、区間賞獲得者にアシックスを履いた選手はいなかったが、元日のニューイヤー駅伝では、エース区間の4区で区間新記録を樹立した細谷恭平(黒崎播磨)がアシックスのシューズを履いていた。

日体大のエース藤本珠輝(左)はアシックスのシューズで花の2区を好走
日体大のエース藤本珠輝(左)はアシックスのシューズで花の2区を好走写真:アフロ

 他社が暖色系のシューズが多かっただけに、青系をベースとしたアディダスのアディゼロシリーズも目立った。

 花の2区区間記録保持者の東京国際大のイェゴン・ヴィンセント、3区でトップに立った青山学院大のルーキー・太田蒼生、そして、5区で2年連続区間賞を獲得した帝京大の細谷翔馬といった、今回の注目選手、活躍した選手が「アディゼロ タクミ セン 8」もしくは「アディゼロ アディオス PRO 2」を履いていた。アディダスも前回大会から今回は盛り返している。

2年連続5区区間賞の細谷はアディダス
2年連続5区区間賞の細谷はアディダス写真:アフロ

 個人的に驚いたのは、4年連続で3区を走った帝京大の遠藤大地が、最後の最後に厚底シューズを履いていたことだ。

 厚底シューズ全盛の時代に、これまでは頑なにミズノのウエーブクルーズなど薄底シューズを履いており、前々回はこのシューズで3区の日本人最高記録(当時)を打ち立てている。大学で競技を終える遠藤は、4年間ミズノのサポートを受けてきており、同社の厚底シューズのプロトタイプに好感触を得て、最後の晴れ舞台に真っ白なプロトタイプのシューズを履いて挑んだ。2年前の記録には及ばなかったものの、今回も区間4位と素晴らしい走りを見せた。

 4区で区間賞を獲得した嶋津雄大(創価大)もミズノのシューズを愛用しており、今回も同社の真っ白なシューズを履いていた。だが、遠藤が履いたシューズとは異なり、ややソールが薄いものだった(おそらくウエーブデュエル ネオ シリーズ)。

 ニューバランスは1人だったが、今回2位と躍進を果たした順天堂大にユニフォームを提供しており、今後はもう少し増えてくると思われる。

 ちなみに、筆者もニューバランスの厚底シューズ(「FuelCell RC ELITE M VB2」)を履いているが、変な癖もなく、気持ち良く加速できるので、好印象を持っている。

 もう1つ注目すべきはプーマを履いた選手がいたことだ。

 昨年12月に、設楽悠太(Honda)や村山謙太(旭化成)がプーマとの契約をSNSで公表し、日本未発売の「Fast-R Nitro Elite」というシューズの画像をアップしていた。今回の箱根駅伝では、明大の加藤大誠がプーマのシューズで箱根路を駆けた。こちらもじわじわとシェアを伸ばしていくことになりそうだ。

自分に合ったシューズが良いシューズ

 選手にシューズについて話を聞くと、「○○のシューズも良いのは分かっているんですが…」という言葉が出てくることが多い。長距離ランナーにとって、唯一の武器ともいえるシューズを、これまで愛用していたものから乗り換えるのにはかなり勇気が必要ということだろう。また、全員が全員メーカーから提供を受けているわけではなく、1足2〜3万円もする厚底シューズを何足も買うことはできないという事情もある。

 実際、どのシューズも素晴らしく、高性能なのは確かだ。あとは各々が本当に自分に合っているシューズなのか判断するだけ。

 変な固定観念は持たずに、最適な1足を選んで、自身のパフォーマンスを最大限に発揮してほしい。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

フリーランスライター

1980年生まれ、福島県出身。 大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。 その後、出版社勤務を経てフリーランスに。 陸上競技(主に大学駅伝やマラソン)やDOスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆。大学駅伝の監督の書籍や『青トレ』などトレーニング本の構成も担当している。

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