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2024年シーズンに昇格・残留・降格する条件を整理する(J1⇔J2⇔J3⇔JFL⇔地域CL)

宇都宮徹壱写真家・ノンフィクションライター
「絶対残留」の願いも虚しく1年でJ2からJFLに出戻りとなった2012年の町田。

 日本の国内サッカーも、いよいよ佳境。ファン・サポーターの注目が集まるのは、優勝争いばかりではない。来季はカテゴリーをひとつ上げることができるのか、あるいは来季も同じカテゴリーで戦うことができるのか──。それらもまた、ファン・サポーターにとって、非常に重要な意味を持つ。

 昇格や残留や降格をめぐるドラマは、リーグ戦終盤の「風物詩」となっている。ただし、2024年シーズンの昇格・残留・降格の前提条件は、これまでと大きく異なる点が2つある。

 まず、J1・J2・J3のクラブ数が「18・22・20」だったのが、来季から「20・20・20」になること。そして(こちらがより重要なのだが)、Jクラブの総数が60の「定員」となったことで、JFLからの昇格クラブを迎えた場合、J3から降格クラブが出てくることだ。

 JクラブがJリーグ正会員資格を消失したのは、2012年にJ2からJFLに降格したFC町田ゼルビアの事例があるのみ。これが大きな契機となり、2014年にJ3が創設されることとなる。今季のJ2で圧倒的な力を示し、J2優勝とJ1昇格を果たした町田にも、そんな辛く苦しい歴史があった。

今季のJ2では11勝6分25敗で21位に終わった大宮。J3のFC大阪が2位になれば奇跡の残留となる。
今季のJ2では11勝6分25敗で21位に終わった大宮。J3のFC大阪が2位になれば奇跡の残留となる。

■J1昇格枠は残り1、大宮は奇跡の残留なるか?

 さっそく「J1⇔J2」と「J2⇔J3」での昇格・残留・降格について確認しておこう。といっても、普段Jリーグをご覧になっている方には目新しい情報はないので、次のブロックまで読み飛ばしていただいても結構だ。

 まず「J1⇔J2」について。J1は18から20に増加するので、J2降格は最下位の1クラブのみ。現時点での18位は横浜FC(勝ち点29)だが、17位の湘南ベルマーレと16位の柏レイソル(共に勝ち点31)、15位のガンバ大阪と14位の京都サンガF.C.(共に勝ち点34)も残留は決まっていない。最終節、劇的なドラマが待っている可能性は十分にある。

 そして、J2からJ1に昇格するのは3クラブ。前述した町田とジュビロ磐田がストレートで昇格し、残る1クラブはJ1昇格プレーオフ(東京ヴェルディ、清水エスパルス、モンテディオ山形、ジェフユナイテッド千葉が出場)の結果で決まる。

 次に「J2⇔J3」について。J2はすでにレギュラーシーズンが終わり、22位のツエーゲン金沢の自動降格が決定。21位の大宮アルディージャは、J2ライセンスがないJ3クラブが2位となった場合のみ、残留が確定する。

 J3の順位表を見ると、優勝を決めた愛媛FCのJ2昇格が決定。J2ライセンスを交付されなかったFC大阪は、現在6位となっている。2位の鹿児島ユナイテッドFCとは5ポイント差。残り2試合、逆転する可能性は残しているが、果たして──。

滋賀がホームゲームで使用する平和堂HATOスタジアム。照明の照度不足がJリーグから指摘されている。
滋賀がホームゲームで使用する平和堂HATOスタジアム。照明の照度不足がJリーグから指摘されている。

■J3ライセンスが「継続審議」となっている滋賀

 J3とJFLの入れ替えについてはこちらにルールが明記されている。現時点での状況に沿って要約しよう。

 まず、Jリーグ入りの意思がないHonda FCが、すでにJFL優勝を決めている。そのため「理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが1クラブの場合」が適用される。JFLは次節(11月26日)が最終節。この時点では、現在2位のレイラック滋賀と4位のラインメール青森が、2位以内に滑り込む可能性を残している。

 ただし滋賀のJ3ライセンスについては「継続審議」となっており、現時点では入会承認が得られていない。承認の条件は《(スタジアム)照明の照度が充足することを証明できる設置計画を提出すること》となっている。

 クラブ側に確認したところ、継続審議の結果が出るのは、最終節から2日後の28日に行われるJリーグ理事会。その前に、不足する照度を仮設照明で補うテストを行い、結果を速やかにJリーグに報告することになっているという。

 滋賀と青森は2ポイント差。最終節はいずれもアウェイで、滋賀はヴィアティン三重と、青森は鈴鹿ポイントゲッターズと対戦。最終的に2位でフィニッシュしたクラブにJ3ライセンスが交付されていれば、すでにJ3最下位が決定しているギラヴァンツ北九州と、ホーム&アウェイの入れ替え戦を戦うことになる。

※青森のJ3ライセンスについて、当初「継続審議」と表現しましたが、交付されていました。お詫びして訂正します。【2023/11/22】

関東リーグを制し、地域CL1次ラウンドをワイルドカードで突破した市原(緑)。JFL昇格まであと一歩だ。
関東リーグを制し、地域CL1次ラウンドをワイルドカードで突破した市原(緑)。JFL昇格まであと一歩だ。

■地域CL1位は無条件で昇格、2位はJFL15位と入れ替え戦

 今季のJFLは、年明けにFC神楽しまねが退会したため、15クラブで開催。来季は16クラブに戻すことが既定路線となっている。そんな中、残り1節で最下位の15位に沈んでいるのが、今季昇格したばかりの沖縄SVだ。

 その沖縄が昨年、昇格の権利を勝ち取った地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)は、明日22日から決勝ラウンドがスタート。栃木シティFC、福山シティFC、ジョイフル本田つくばFC、そしてVONDS市原FCが、この舞台への進出を果たしている。

 JFLの大会方式によれば、地域CLの1位クラブは無条件で昇格。2位クラブはJFL15位クラブと、一発勝負の入れ替え戦を戦う。仮にJFLから昇格クラブが出た場合でも、北九州がJ3から降格してくるため、入れ替え戦は行われるはずだ。

 以上、各カテゴリーの昇格・残留・降格の条件をまとめてみた。実現すれば11年ぶりとなる、JリーグとJFLの入れ替えはあるのか? まずは26日のJFL最終節の結果、そして28日の理事会での決定事項に注目したい。

 なお、宇都宮徹壱ウェブマガジンでは、地域CL決勝ラウンドの模様を、その日のうちにフォトレポートで掲載する。

<この稿、了。写真はすべて筆者撮影>

写真家・ノンフィクションライター

東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。『フットボールの犬』(同)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞、『サッカーおくのほそ道』(カンゼン)で2016サッカー本大賞を受賞。2016年より宇都宮徹壱ウェブマガジン(WM)を配信中。このほど新著『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』(集英社インターナショナル)を上梓。お仕事の依頼はこちら。http://www.targma.jp/tetsumaga/work/

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