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心を縛る「失敗への恐れ」からの解放:あなたや子供が上手くいかない理由

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
大切なのは、失敗を恐れ過ぎないこと(写真:アフロ)

■あなたが上手くいかないのは

あなたが(あなたの子共や部下が)上手くいかないのは、能力が足りないからではなく、性格が悪いからでもなく、やる気がないからでもありません。ただ、失敗を怖がり過ぎているのが、問題なのです。

ほとんどの場合、やる気はあります。ただ、やる気が見えるような行動ができていないのです。

大人でも子供でも、「やる気ない」と言うことは良くありますが、本心は違います。誰だって、心の底では勉強ができるようになりたいし、仕事で活躍したいと願っているはずです。

でも、願ってもかねえられないと思い込むと行動が生まれません。願いが敵わないだけでなく、ひどく嫌なことが起きると、人は感じてしまうのです。それでは、行動が生まれないに決まっています。

■やる気ある行動が取れる人、取れない人

たとえば、素敵な異性に出会ったとしましょう。この人とお付き合いしたいと、あなたは思いました。やる気はあるわけです。けれども、だからと言って、みんなが積極的にアプローチをするでしょうか。

むしろ多くの人が何もしないのではないでしょうか。やる気はあるのですが、なぜ何もしないのでしょう。それは、失敗をこがっているからです。

自分などが近づいても、相手にされないに決まっていると思い込みます。

積極的な行動を取れる人も、全員が何の不安もないわけではありません。不安と立ち向かいながら、思い切って行動をとっています。

積極的に声をかけて仲良くなりたい気持ちと、相手にされずに恥をかくことを避けたい気持ち。この二つの気持ちが、心の中でせめぎあいます。二つの気持ちのどちらが強いかによって、行動は大きく異なります。

二つの気持ちが0対100である必要はありません。51対49のほんの小差で、行動は大きく変わるのです。

みんながとび箱を飛んでいるのに、飛べない子も同じです。飛びたいとは思っているのです。やる気はありのです。けれども、失敗したら痛いとか、笑われると思うと走り出すことができなくなるのです。

さらに、失敗を怖がりすぎることは、やる気行動だけの問題ではなく、人間関係や人生さえ左右していくます。

今回は、社会心理学の実験から、その心のメカニズムを見ていきましょう。

■「輪投げ実験」から見る失敗の恐れの悪影響

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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