トイレットペーパー不足問題は収束へ:「一人10点まで」でパニック買い抑制か

(写真はイメージ:トイレットペーパーは十分にあります)(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

■トイレットペーパー大量供給:イオン、イトーヨーカドーで

トイレットペーパーが店頭に並び始めました。

大手の店が、大量に入荷し、店頭に山積みしてくれています。

イオンやイトーヨーカドーが一部店舗で大量供給を敢行し始めた。〜山のように陳列されたトイレットペーパーと「おひとり様10点まで販売致します」という太っ腹すぎる掲示がツイッターで話題になった

出典:一部店舗の“紙対応”でパニック沈静化? トイレットペーパー山積み…旗艦店で大量供給敢行 イオン、イトーヨーカドー現地ルポ:zakzak3/7

トイレットペーパーの製造が滞っているというのは、ネット上に流れたデマでした。トイレットペーパーは、マスクのように使用量が増えているわけでもありません。

消費者が、異常な大量購入、買い占め買い急ぎなど、パニック的な購入行動さえ止めれば、解決する問題でした。

しかし、不安に駆られている消費者の心はなかなか落ち着きませんでした。

人は不安になると不安な情報に飛びつきます。それに、偉い人がテレビで「トイレットペーパーは十分にあります」と語ることよりも、目の前の空っぽの棚の方がインパクトがありますから、買い急ぎは止まらなかったわけです。

トイレットペーパーを買いだめした人の9割は、デマだと知っていたという調査結果も発表されています(日本トレンドリサーチ3/4

■トイレットペーパー、大量買いパニックの始まりと鎮静化

始まりはデマでした。そんな時に最初に動くのは、不安が高い人です。不安が高く、情報収集力もあり、行動力もある「強者」が、まず大量買いを始めます。

すると店舗の棚からトイレットペーパーが減ります。それを実際に見たり、そのマスコミ報道を見たり、SNS上で知った人たちが、また買い急ぎを始めます。最後は、落ち着いていた人まで、生活防衛上、トイレットペーパーを探し求めて購入し始めます。

さて、この買い占めパニックを沈めるためには、この流れを逆にしなければなりません。

最初は、空っぽの棚や買い急ぐパニックぶりを報道していたマスコミも、反省を始めます。トイレットペーパーは十分にあるという関係者の言葉を伝えます。

問題なく生産が続いている工場や、山ほど積まれた倉庫内の様子を映像で伝えはじます。

けれども、買い占めパニックを止める最も効果的な方法は、商品を店頭に山積みすることです(トイレットペーパーはなぜ消えたのか:みんなのことを考えることがあなたの家庭を救うことに:3/1)。

今回は、上記の報道によると、担当者は「経産省から『トイレットペーパーを重点的に供給したい』と相談を受け、社内で検討した」ということです。

今回のトイレットペーパー騒動で、「オイルショックから私たちは学ばなかったのか」という声も聞かれましたが、オイルショック時よりもずっと早期に解決しそうな雰囲気を見ると、私たちは学んでいたのでしょう。

それはデマだという情報も、早期に出ていました(「新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーが不足」は誤り 品薄となる薬局も:中京テレビ2/27)

この情報だけでは買い占め行動を止められなかったのですが、デマだということが早期に分かっていたことは、現在の鎮静化に役立っているでしょう。

経産省は、ネットも活用しています。

■トイレットペーパーに関するSNS情報

マスコミも、私たちも、「パニック」(非日常)が好きです。喜んで写真に取ったり、人に話したりもします。しかし、現代人は学んでもいます。それでは不安を増幅してしまうことも。

当初ツイッターなどのSNSでも、トイレットペーパーがないという情報と映像がいっぱいでしたが、今日(3/7)現在、「トイレットペーパー」で検索をかけると、まだ不足しているというツイートもあるものの、十分にあるという情報をたくさん見ることができます。

「うちの近くのイオンでもやってた!!トイレットペーパー無い人はイオンだね^o^」

「今日、ようやくトイレットペーパー買えてホッ」

「たくさんトイペあるやん」

「トイレットペーパーは普通にたくさんあった」

「大丈夫。めっちゃあるよ。#トイレットペーパー #イオン」

「トイレットペーパー 騒動も落ち着いたみたいよ」

「やっと愛知県のイオンにもトイレットペーパー、お米がたくさん、ありがとう」

「今、トイレットペーパー沢山売ってるよ」

「トイレットペーパー、めっちゃ積んである!!」

■山積みの商品、「一人10点まで」

ツイッターには、次のような投稿もありました。

「地元のイオンが消費者に『安心しろ!』と言わんばかりに、これでもかとトイレットペーパーを山積みにしてる。さすがにこれ見たら急いで買い占める気にならへんわ。マスコミよ、この光景を報道しろ」

「近所のスーパーにトイレットペーパーあった、家にあるし買わへんかったけどうれしかった」

「トイレットペーパーがアタ〜!!!!...\(^o^)/ けど...10個もいらないかな....(・_・;)」

山積みされた商品によって、消費者の大量購入、買い占め買いだめ、買い急ぎ行動にブレーキがかかっています。

最初に紹介した報道によると、当初は「おひとりさま2点まで」としていましたが、顧客の様子を見ながら、「おひとり様10点まで販売致します」に変えたようです。

トイレットペーパーが、6個も8個も入った大きなパックを、普通は10個も買って帰れません。

社会心理学の研究によると、人は、数が少ない、手に入りにくいと思うものに、高い価値を感じます(希少性の原理)。逆に、たくさんあると思うと、価値が低く感じられるので、大量買い、買い急ぎが抑制され、通常の購入行動に戻れます(マスク、トイレットペーパー問題の社会心理学:売り上げアップの秘密:説得の技法、希少性と社会的証明:Yahoo!ニュース個人有料。

今回のトイレットペーパー騒ぎは、比較的短期間で収まるようです。SNSの投稿を見ると、皆さんのが本当にホッとしている様子が伝わってきます。

関係者一同の、努力の賜物であり、大量購入を我慢してきた賢く消費者のおかげです。ありがとうございました。

東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。HP『こころの散歩道』。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「とくダネ!」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ビートたけしのTVタックル」「ホンマでっか!?TV」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』など。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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