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日本人はなぜ和を尊ぶのか:裏切りと「文化的自己観」の心理

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
写真はイメージ:和のテイストは良いものですが(写真:アフロ)

<日本では、仲間や組織を裏切ることは、かなり「悪いこと」ですが、そうではない文化は、アフリカの小部族にも、現代のお隣の国にも見られます。「文化」は、想像以上に根深く私たちの心を支配します。>

普段私たちが感じる「当然」のこと「正しい」こと、意識していない「習慣」や「慣例」、「伝統」などと呼ばれているものは、国により、時代や社会により、まったく異なることがあります。

■ヒトと人間と文化

私たちは生まれた時から「ヒト」です。この遺伝子を持った生物は、ヒトです。でも私たちはみんな特定の時代の特定の国や地域で生まれ育ちます。

その時代、その国、その地域、その家庭やその学校やその職場。特定の環境、社会の中で、私たちは生まれ育ちます。そうして、その環境の影響の中で、「人間」になっていきます。私たちは、自分が生まれる環境を「文化」と呼んでいます。

日本の伝統文化があり、ある時代ある地域の若者文化や、企業文化、学校の文化、家族の文化があります。基本的な価値観や、判断基準、行動パターンは、これらの文化から身につけます。しかも、それぞれの文化から自分の考えや行動ができることを、私たちは自覚できません。それが、あまりにも当たり前だからです。

自分が育った文化とは異なる文化に触れて初めて、私たちは自分の姿を自覚します。自分がどんな人間かを知るためには、他の文化の価値観を知ることが必要なのです。

■日本文化と「裏切り」

文化とは、その社会や集団で築かれてきた習慣やルールなどの総体です。日本では、仲間や組織を裏切ることは、かなり悪いことですが、そうではない文化は、アフリカの小部族にも、現代のお隣の国にも見られます。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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