連続殺人の心理:座間9人遺体発見事件
■座間市9人遺体発見事件
衝撃的な事件です。そして、次々と新しい情報が報道されています。
“性的乱暴加え殺した”趣旨供述も 座間市10月31日日本テレビY!
アパートで遺体「8月下旬に引っ越してから9人全員殺害」供述10月31日 NHK news web
■連続殺人(快楽殺人)の心理
殺人の中でも複数殺人は、まれでです。複数殺人には、一度に複数の人を殺害する「大量殺人」と、期間を空けて殺害する「連続殺人」(シリアルキラー)があります。
大量殺人者の多くは、大勢の人に犯行を目撃され、逃亡する意思もありません。一方、連続殺人者は犯行を巧みに隠そうとし、できるだけ長く殺人を続けようとします。連続殺人犯の多くは、殺人自体に快感を感じている「快楽殺人」です。
連続殺人犯は、殺害後も快感の余韻にひたるために、遺体の一部や被害者の持ち物を持ち帰ったり、写真に残すことなどもある。遺体を傷つけることに快感を感じる場合や、宗教的妄想、異常な芸術心のような思いで、遺体を加工することもあります。
■自殺サイトの問題
自殺サイトを悪用した連続殺人は、2005年にも発生し3人が犠牲になっています。自殺サイトでは、ネット集団自殺や、具体的自殺方法の拡散、また自殺幇助事件なども起きています。
自殺サイトは、死にたい思いを語っているだけであれば、自殺予防のこくかさえありますが、自殺の具体的話になってしまえば、危険性がますでしょう。現在は、多くの自殺サイトで、自殺の誘いや、自殺の勧めなどは、禁止事項になっています。
ところが今度は、ツイッターなどSNSで自殺サイト的な交流が行われている問題も起きています。
自殺サイトを悪用し、一緒に死のうと誘えば、見ず知らずの人と二人きりになることもできます。明るみに出なくても、様々な犯罪が起きている可能性もあるでしょう。
■連続強姦殺人? 連続強盗殺人?
新しい情報で、性的乱暴や、金目当てという供述も出ています。
連続快楽殺人(殺害すること自体に快感を感じる)ではなく、連続強姦殺人または連続強盗殺人でしょうか。
一般的に言って、ある殺害は性的乱暴目的で、また別の殺害は金目当てでと、次々に殺人を繰り返すことは、考えにくいと思います。また、性犯罪目的や強盗目的の犯罪であるならば、遺体の損壊の仕方や、多くのご遺体の一部が自宅に残された理由が説明できません。
いずれにせよまだ容疑段階ですが、たとえば快楽殺人であり、同時に目についた財布を持ち去ったり、性的行為が伴った犯罪である可能性もあるでしょう。
事件が発覚するのが怖くて遺体を捨てられなかったと供述しているようですが、すでに切断されているので、バッグに入れて遺棄することは難しくはないでしょう。ご遺体をそのままにして、異臭が出ていますから、それだけで発覚の危険性もありますから、供述内容は矛盾しています。
日本の犯罪の場合は、後に快楽殺人と判明したケースでも、最初の段階でそのような供述をしないこともよくあります。あるいは、かなり精神的に混乱しており、「事件発覚が怖くて捨てられなかった」が、本人の正直な気持ちである可能性もあるでしょう。
ただ、自殺サイト知り合った女性を誘い二人になれたことが供述の通りであるなら、言葉巧みに誘ったのでしょう。多くの連続殺人犯は、能力の高い人々です。
■わずか2ヶ月
「8月下旬に引っ越してから9人全員殺害」が供述の通りでなら、わずか2ヶ月の間の犯行ということになります。一般的に連続殺人は、もう少し期間が空きます。
一つの殺人で快感を感じる。しばらくは余韻にしたるが、次第に快感は薄れていく。そのうちに新たな殺人への欲望が強くなり、次の殺人計画を立てる。こうして、数ヶ月、数年を経て、何人もの被害者が出るのが、典型的な連続快楽殺人です。
身近い期間に次々と多くの人を殺害するケースは、例えばとても自暴自棄になり、たまたま手に入れた銃をあちこちで使い殺害を重ねるようなケースです。今回の場合は、このようなケースとも考えにくいでしょう。
謎の多い事件です。容疑の真偽も含め、今後の捜査が待たれます。