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左膝手術のマーシュは開幕に間に合う見込みだが、ポジションは安泰なのか。昨年はOPS.829とブレイク

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月9日、フィラデルフィア・フィリーズは、ブランドン・マーシュが左膝の手術を受けたことを発表した。3~4週間で再びプレーすることができ、開幕には間に合う見込みだという。

 昨年、マーシュは、133試合に出場し、規定打席には届かなかったものの、打率.277と出塁率.372、12本塁打と10盗塁、OPS.829を記録した。2022年は、ロサンゼルス・エンジェルスとフィリーズの計134試合で、打率.245と出塁率.295、11本塁打と10盗塁、OPS.679だった。

 この2シーズンを比べると、打率、出塁率、OPSは大幅にアップした。四球率も、6.1%→12.5%。ホームラン(と盗塁)の数はほとんど変わっていないが、長打は33本から43本に増えている。ISOは.139→.181だ。

 2023年の先発出場は、センターが100試合、レフトが13試合、ライトが3試合、DHは1試合だが、2024年はレフトが定位置になりそうだ。センターはヨハン・ロハス、ライトはニック・カステヤノスが守る。ロハスは、昨年の夏にメジャーデビューし、59試合で打率.302と出塁率.342、2本塁打と14盗塁、OPS.771を記録した。センターのDRSとOAAは、マーシュが-3と+4、ロハスは+15と+6だ。

 40人ロースターに名を連ねる、彼ら以外の外野手3人のうち、カイル・シュワーバーはDHとしてプレーする。ジェイク・ケイブの出塁率は、過去3シーズンとも.275に届かず、ホームランは計195試合で13本に過ぎない。2人とも、今シーズンの年齢(6月30日時点)は31歳だ。

 あとの1人、25歳のクリスチャン・パチェは、数年前までアトランタ・ブレーブスでトップ・プロスペクトと目されていた。もっとも、ブレイクはしていない。メジャーリーグ4年目の昨年は、48試合で打率.238と出塁率.319、2本塁打と2盗塁。今春のエキシビション・ゲームで好調だったとしても、マーシュが出遅れない限り、レギュラーとしての起用はないと思われる。相手の先発投手が右腕の試合はマーシュ、左腕の試合はパチェということになりそうだ。

 ただし、ここから、フィリーズに新たな外野手が加わることも、あり得なくはない。今月初旬、USAトゥデイのボブ・ナイテンゲールは、複数のエグゼクティブの見解として、フィリーズが先発投手のジョーダン・モンゴメリーかセンターのコディ・ベリンジャーを手に入れる可能性を示唆している。

 もし、ベリンジャーが加入すれば、マーシュは控えに回されるだろう。あるいは、トレードによる放出も起こり得る。ベリンジャーは一塁も守るが、フィリーズの一塁にはブライス・ハーパーがいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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