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前年はマイナーリーグ契約の捕手が700万ドルの契約を得る。19本塁打は復活の証なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリー・サンチェス Aug 15, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ゲリー・サンチェスは、ミルウォーキー・ブルワーズに入団するようだ。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらが、1年700万ドルの契約で合意、と報じている。2年目の2025年は、相互オプションだという。

 昨オフ、ミネソタ・ツインズからFAになったサンチェスは、どこからもメジャーリーグ契約を得ることができず、開幕直後にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わした。昨年のメジャーリーグ出場は、ジャイアンツで0試合、ニューヨーク・メッツで3試合、サンディエゴ・パドレスで72試合だ。

 パドレスに入団後、サンチェスは、19本のホームランを打った。12.3打数/本のペースは、ニューヨーク・ヤンキースで30本塁打以上を記録した2シーズン、2017年の14.3打数/本(33本塁打)と2019年の11.6打数/本(34本塁打)の間に位置する。2022年の26.2打数/本(16本塁打)と比べると、半数未満の打数だ。

 パワーに関しては、復活と見ていいだろう。今シーズンの年齢(6月30日時点)は31歳だ。出塁率は.292――メッツの3試合を除く――ながら、通算出塁率.309が示すとおり、サンチェスは、もともと出塁率の高い打者ではない。また、ヤンキース時代は捕手としてのスキルに疑問符がつけられていたが、昨年はDRS+7を記録した。

 もっとも、ブルワーズは、レギュラーの捕手としてサンチェスを迎え入れたわけではないはずだ。ブルワーズには、ウィリアム・コントレラスがいる。ウィルソン・コントレラス(セントルイス・カーディナルス)の弟だ。こちらは26歳。2022年は97試合で20本塁打と出塁率.354、2023年は141試合で17本塁打と出塁率.367を記録した。サンチェスは、DHと2番手の捕手としてプレーすると思われる。

 2023年にブルワーズで20本塁打以上は、24本の遊撃手、ウィリー・アダメスしかいなかった。ブルワーズは、エースのコービン・バーンズをボルティモア・オリオールズへ放出したのに続き、十分な見返りを得ることができれば、開幕までにアダメスも手放すかもしれない。バーンズとアダメスは、どちらも、FAまであと1シーズンだ。

 バーンズと交換に、ブルワーズは若手の2人、先発投手のDL・ホールと遊撃手のジョーイ・オティーズ(とドラフト指名権)を獲得している。ホールをローテーションに入れ、オティーズを遊撃に据え、パワーはサンチェスで補う、というシナリオも成り立つ。

 バーンズのトレードについては、こちらで書いた。

「球団売却を発表した直後に、FAまで1年のエースをトレードで獲得する。2つの動きに関連はあるのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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