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エンジェルスはトラウトを放出しないのか。来年のプロモーション・デーにトラウトのボブルヘッド人形を配布

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)Jul 2, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月20日、ロサンゼルス・エンジェルスは、来シーズンのプロモーション・デーを発表した。「アンド・モア」とあるので、ここから、さらに増えるのだろう。

 今のところ、選手に関連したグッズがもらえるのは、4試合だ。4月30日にローガン・オホッピーのボブルヘッド人形、6月7日にマイク・トラウトの球宴11度ボブルヘッド人形、6月9日にザック・ネトの子供用シティ・コネクト・ジャージ(ユニフォーム)、7月27日にトラウトのスローバック・ボブルヘッド人形が配布される。ボブルヘッド人形は、先着2万5000人。ネトのジャージは、3歳から17歳までの先着1万5000人が対象となっている。

 オホッピーとネトの若手2人と違い、トラウトには、今オフ、トレードの噂が浮上している。Z101デジタルのヘクター・ゴメスは、大谷翔平との契約とトラウトのトレードに、ロサンゼルス・ドジャースはかなり前向きで、トラウトと交換に最高のプロスペクトたちを手放すつもりがある、と報じている。

 ボブルヘッド人形の配布が予定されていながら、その前にトレードで球団を去った選手は、これまでに何人かいる。

 移籍により、配られることなく「お蔵入り」となったボブルヘッド人形もあるが、すべてがそうではない。

 例えば、この夏、キーケー・ヘルナンデスは、ボストン・レッドソックスからドジャースへ移籍した。レッドソックスは、キーケーがいなくなった後、フェンウェイ・パークで彼のボブルヘッド人形を配った。

 キーケーの場合、ボブルヘッド人形は、レッドソックスのユニフォームではなく、WBCプエルトリコ代表のユニフォームを着ていた。

 一方、こちらは、キーケーのようにはいかなかった。2012年の夏、フィラデルフィア・フィリーズは、ハンター・ペンスのボブルヘッド人形を配る前に、ペンスをサンフランシスコ・ジャイアンツへ放出した。この人形は、フィリーズのユニフォームを着ていた。

 けれども、フィリーズは、配布を中止せず、箱の中にペンスのメッセージを入れた。そこには、「ありがとう、フィリーズのファン、素晴らしい思い出を。僕がもうフィラデルフィアにいないにもかかわらず、ボブルヘッドが配られたことを喜んでいる。これによって、僕がいたことを覚えていてほしい。キャリアにおいて、決して忘れられない1年だった」と書いてあった。

 もっとも、今オフ、エンジェルスがトラウトを手放す可能性は、それほど高くないと見る。

 ここ3シーズンとも、トラウトは長期にわたって離脱している。また、今シーズンの出場82試合で記録したOPS.858は、350打席以上の245人のなかで24位、上位の10%に入っているが、トラウトとしては、メジャーリーグ2年目以降の12シーズンで最も低い数値だ(1年目は出場40試合でOPS.672)。その前の11シーズン、2012~22年はいずれもOPS.935以上だったので、かなりの差がある。加えて、ここ3シーズン連続の三振率27.5%以上とここ2シーズン連続の四球率12.5%未満は、こちらもトラウトの水準からすると、芳しい数値ではない。現在の年齢は32歳だ。

 ギャンブルにはなるものの、来シーズンの復活を待ち、夏のトレード市場で売りに出すほうが、今オフに放出するよりも大きな見返りを得ることができるのではないだろうか。ちなみに、デッドライン直前のトレードなら、ボブルヘッド人形を配ってからになる。

 なお、トラウトの契約は、来シーズン以降、7年2億4815万ドルが残っている。交換要員もさることながら、エンジェルスがどれくらいの支払いを負担するのかという点も、トレードが成立するかしないかの鍵を握りそうだ。

 トラウトは、全球団に対するトレード拒否権を持っているが、移籍先がポストシーズンに進めそうであれば、行使はしないと思われる。トラウトがポストシーズンでプレーしたのは、2014年の3試合だけだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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