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この強打の捕手をエンジェルスは手に入れるのか。オホッピーを欠き、スタッシの復帰時期は不明

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリー・サンチェス Sep 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、2人の捕手を欠いている。好スタートを切ったローガン・オホッピーは、左肩の手術を受け、少なくともシーズン終盤までは戻ってくることができない。開幕から故障者リストに入っているマックス・スタッシは、家族の緊急事態により、いつ復帰できるのか、見通しが立っていない。

 現在は、チャド・ウォラックマット・タイスがマスクをかぶっている。彼らのどちらかが故障した場合は、AAAにいるアンソニー・モーラインクリス・オーキー、あるいはAAにいるエドガー・ケアロを昇格させることになる。モーラインとケアロは、メジャーデビュー前だ。オーキーのメジャーリーグ出場は、昨シーズンの7試合に過ぎない。

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンのツイートによると、エンジェルスは、ゲリー・サンチェスに興味を抱いている球団の一つだという。サンチェスは、先月1日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わし、今月2日に退団した。この契約には、5月1日までにメジャーリーグへ昇格できない場合、オプト・アウトできる権利がついていて、サンチェスはそれを行使した。

 その前の経緯については、2月に「シーズン30本塁打以上が2度ある、30歳の捕手が売れ残り中。DHとしての需要もないのか」で書いた。

 2年前まで、サンチェスは、ニューヨーク・ヤンキースの捕手だった。2017年と2019年は30本以上のホームランを打ち、2021年も23本塁打を記録した。また、守備を売りとしてきたわけではないものの、ミネソタ・ツインズでプレーした昨シーズンのDRSは平均程度。フレーミングの数値も悪くなかった。

 今シーズン、ジャイアンツ傘下のAAAでは、打率.164と出塁率.319、ホームランはなく、長打は二塁打が1本に過ぎないが、これは、わずか16試合のスタッツに過ぎない。

 ヘイマンは、同じツイートで、フィル・ネビン監督と打撃コーチのマーカス・テームズは、ヤンキース時代のサンチェスをよく知っている、と綴っている。2人とも、ヤンキースでコーチを務めていた。

 ただ、ウォラックもタイスも、マイナーリーグ・オプションは残っていない。サンチェスと契約を交わしてロースターに加え、代わりに2人のどちらかを外した場合、エンジェルスからいなくなる可能性もある。そうなると、サンチェスとウォラック、サンチェスとタイスのいずれにしても、人数の問題は解消されない。ジャイアンツとの契約を打ち切ったサンチェスが、エンジェルス傘下のマイナーリーグでプレーし続けるとも思えない。

 ウォラックかタイスが故障に見舞われ、その時点でサンチェスがFAのままなら、エンジェルスは契約を申し出るだろうが、今のところは、動かないような気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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