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この二塁手はここまでの12打席ともバットを振らず。その理由と狙いはどこにある!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミゲル・バーガス(ロサンゼルス・ドジャース)Feb 22, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今春、ミゲル・バーガス(ロサンゼルス・ドジャース)は、ここまで6試合に出場し、まだ、ヒットを打っていない。12打席の内訳は、8三振と4四球だ。

 それもそのはず。バーガスは、一度もバットを振っていない。

 エキシビション・ゲームが始まる数日前、守備練習の際に、右手の小指を痛めたのが理由だ。骨にわずかな亀裂が入った。守備に影響はないらしく、スウィングできないこともないのだろうが、デーブ・ロバーツ監督に止められているようだ。

 バーガスは、昨年8月にメジャーデビューした、23歳のルーキーだ。今年は、レギュラーの二塁手としてプレーすることを期待されている。

 バーガスの亀裂骨折から数日後には、バーガスと併殺デュオを形成するはずだったギャビン・ラックスが、右膝の靱帯を損傷し、シーズン絶望となった(「シーズン絶望となった「新遊撃手」の穴をどう埋めるのか。FA市場に残っている遊撃手を手に入れる!?」)。ドジャースとしては、バーガスが怪我を悪化させることを懸念し――そうなれば、ミドル・インフィルダー2人を欠いて開幕を迎えることになる――完治するまでスウィングを禁じているのだろう。

 それでも、ドジャースは、バーガスをエキシビション・ゲームに出場させている。試合で打席に立ち、投球に目を慣れさせることの他にも、これには狙いがありそうだ。

 ラックスに代わり、遊撃を守るミゲル・ロハスは、1月にマイアミ・マーリンズから移籍してきた。「ミゲル&ミゲル」として、バーガスと二遊間コンビを組むのは、今年が初だ。この点を考慮し、バーガスに出場させているのではないかと思われる。ロハスも、ラックスの故障を受け、予定していたWBC出場を取りやめた。

 なお、ここまでのエキシビション・ゲームで10打席以上に立ち、無安打の選手は、バーガス以外にも二桁を数える。その一人は、フェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)だ。バーガスと同じ12打席で、10打数0安打。4三振と2四球を記録している。

 タティースJr.の出場停止は、あと20試合が残っている。雨などによる順延がない場合、4月20日の試合から出場することができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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