WBCオランダは「売れ残っているFA」の見本市!? 元有望株、Gグラブ4度の遊撃手、ジーターの後継者
オランダのWBCロースターには、昨年、メジャーリーグでプレーした選手が9人、名を連ねている。
そのうちの5人は、今オフが始まった時点で、FA市場に出ていた。そこから、ザンダー・ボガーツはサンディエゴ・パドレスと11年2億8000万ドル、ケンリー・ジャンセンはボストン・レッドソックスと2年3200万ドルの契約を交わした。あとの3人、アンドレルトン・シモンズ、ディーディー・グレゴリアス、ジャリクソン・プロファーの球団は、今も決まっていない。FAのまま、WBCに出場する。
シモンズは、守備だけをピックアップすれば、2010年代最高の遊撃手だったのではないか。例えば、メジャーデビューから7シーズン(2012~19年)に記録したDRSは+184だ。2010年代にDRS+80以上の遊撃手は、他に誰もいなかった。ゴールドグラブは、アトランタ・ブレーブス時代の2013~14年とロサンゼルス・エンジェルス時代の2017~18年に受賞。その間の2015~16年を含め、フィールディング・バイブル・アウォードには、6シーズン続けて選ばれた。
グレゴリアスは、2015年から2019年まで、ニューヨーク・ヤンキースの遊撃手だった。2014年まで、ヤンキースではデレク・ジーターが遊撃を守っていた。
プロファーは、球界最高のプロスペクトと目されていた。ベースボール・アメリカ、ベースボール・プロスペクタス、MLB.comのいずれも、10年前の開幕前のプロスペクト・ランキングにおいて、プロファーを全体1位に挙げた。
現在、シモンズとグレゴリアスは33歳だ。昨年も復調できず、夏に解雇され――それぞれ、シカゴ・カブスとフィラデルフィア・フィリーズから――そこから、ここまで動きがない点も共通する。
一方、プロファーは、先月下旬に30歳の誕生日を迎えたところだ。昨年の15本塁打と出塁率.331は、レフトのレギュラーだったことからすると物足りない気もするが、その前は内外野を守っていたので、汎用性は高い。打者としても、もう少しレベルアップするかもしれない。2018~19年はホームランを20本ずつ打っていて、2021~22年の四球率は11%台だ。
ヒューストン・アストロズ、レッドソックス、ヤンキースなどが興味を示しているという報道があったが、契約に至っていないのは、強気な姿勢が裏目に出たのだろうか。プロファー(と代理人のスコット・ボラス)は、年俸750万ドルの選手オプションを破棄し、パドレスからFAになった。それを上回る契約――年平均額の低い複数年契約も含め――を求めていたと思われる。