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このトレードは選手の希望を叶えるため!? 交換相手も、同じ左打ちの外野手。2人の年齢は1歳違い

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィリー・カルフーン Apr 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月23日、テキサス・レンジャーズは、ウィリー・カルフーン(と金銭)をサンフランシスコ・ジャイアンツへ放出し、それと交換に、ジャイアンツからスティーブン・ダガーを獲得した。

 先月上旬に「マイナーリーグ降格の外野手がトレードを志願。かつてはプロスペクトと目され、年齢はまだ27歳」で書いたとおり、カルフーンはトレードを望んでいた。この記事では、レンジャーズはカルフーンを手放さないと予想したが、その読みは見事に外れた。

 カルフーンとダガーは、どちらも左打ちの外野手だ。年齢も、カルフーンが27歳、ダガーは28歳。1歳しか違わない。今シーズンのメジャーリーグ出場が、10試合以上20試合未満という点も、共通する。さらに言えば、どちらも、打率1割台と出塁率2割台だ。

 こうしたことからすると、レンジャーズは、カルフーンの望みを叶えるためにトレードを行ったようにも見える。けれども、少なくとも、それだけが理由ではないはずだ。

 6月12日、レンジャーズでは、センターを守っていたイーライ・ホワイトが、レフトのチャーリー・カルバーソンと交錯した。これにより、ホワイトは右手首を骨折し、手術を受けた。復帰は9月の見込みだ。カルフーンはレフトとライトが主な守備位置だが、ダガーはセンターを含む外野3ポジションを守る。端的に言うと、ダガーの守備はカルフーンより優れている。

 一方、ジャイアンツは、カルフーンが持つ打撃のポテンシャルを買ったと思われる。こちらも一言で言うなら、ダガーは守備の人だ。

 レンジャーズが金銭も支払ったのは、保有できる期間の違いだろう。ダガーがFAになるのは2025年のオフ、カルフーンは2024年のオフだ。ダガーを手放してカルフーンを得たジャイアンツからすると、保有期間は1年短くなる。その分を埋め合わせる金銭ではないだろうか。

 いずれにせよ、カルフーンはトレードに大喜び。サンフランシスコの近くで生まれ育っただけに、願ったり叶ったりといったところだ。カルフーンは、レンジャーズに対する感謝の言葉とともに、故郷に戻って大好きだったチームでスタートを切るのが待ちきれない、とツイートしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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