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完全試合を達成した投手は、通算何勝を挙げたのか。150勝以上は3人、佐々木朗希は5勝目

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、槙原寛己、小久保裕紀、前田智徳 MARCH 14, 2017(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 4月10日、佐々木朗希(千葉ロッテ・マリーンズ)は、完全試合を達成した。13者連続を含む19三振を奪い、それ以外は、5人を内野ゴロ、2人を外野フライ、1人を捕手へのファウル・フライに討ち取った。

 レギュラーシーズンにおける、9イニングの完全試合は、史上16度目だ。そのなかに、2007年の日本シリーズで山井大介岩瀬仁紀が記録したような、継投による完全試合はなく、16度とも先発投手が投げきった。

筆者作成
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 二桁奪三振の完全試合は3人目。1957年8月21日の金田正一は10三振、1968年9月14日の外木場義郎は16三振を奪った。一方、1971年8月21日の高橋善正は、1奪三振だった。

 ちなみに、完全試合の達成者には「佐々木」が3人いる。他の2人は、1966年5月1日の佐々木吉郎と1970年10月6日の佐々木宏一郎だ。

 佐々木宏一郎の完全試合は通算85勝目だが、佐々木吉郎は通算8勝目だった。佐々木朗希は通算5勝目だ。通算白星が二桁に達する前に完全試合を達成したのは、2人の「佐々木」の他には、1961年6月20日の森滝義巳しかいない。こちらも、完全試合で通算5勝目を挙げた。森滝と佐々木朗希は、一軍2年目に完全試合という点も共通する。1年目の達成者はいない。

 また、森滝の通算16勝は、現役投手の佐々木朗希以外の15人中、最も少ない。ただ、通算100勝に到達しなかった投手は、約半数の7人を数える。

 一方、通算150勝以上は3人だ。歴代最多の400勝を挙げた金田は、完全試合の前後とも、170勝以上を記録した。1950年6月28日に、最初の完全試合の達成者となった藤本英雄は、その前が135勝、その後は64勝。135勝+完全試合+64勝=200勝だ。槙原寛己は、1994年5月18日の完全試合が112勝目。通算では、159勝を挙げた。

 15人の通算白星を平均すると、114.0勝となる。そこから、通算白星の多い最も多い金田と最も少ない森滝を除くと、13人の平均は99.5勝。上下2人ずつ、金田と藤本、森滝と佐々木吉郎を除いた11人の平均は97.4勝。上下3人ずつを除いた9人の平均もほぼ変わらず、97.7勝だ。

 佐々木朗希の場合、白星は運などにも左右されるとはいえ、これらの平均を大きく上回っても驚きではない。もっとも、キャリアの途中からは、日本プロ野球ではなく、メジャーリーグのマウンドに上がるのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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