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ネットが育てる「家族代替産業」ーーレンタル家族、シェアハウス、妊娠支援サイトetc.---

上山信一慶應大学名誉教授、経営コンサルタント、大学院至善館特命教授
著者撮影画像(原画はバンクシー作)

 インターネットとAIが”仕事”の姿を変えつつある、というのは周知の事実だがインターネットは”家族”の姿も静かに変えつつある。

 昔は「大家族」や「三世代同居」が当たり前だった。やがて両親と子供二人の「四人家族」が標準となり、最近は「おひとり様」が増えている。単独世帯は1980 年には約20%だったが、2040 年には約40%となる見通しだ(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。

 「おひとり様」は厳密には家族ではない。生殖は一人では無理だし、育児・しつけや介護も一人では限界があろう。家族の機能にはこのほか経済的安定、心の安らぎなど多々ある。それでも「おひとり様」は今後、ますます増えていくだろう。背景にはもちろん少子化、都市化、女性の所得と地位の向上、終身雇用制度の崩壊、親戚づきあいの希薄化など様々な事情がある。だがそれを助長するのがネットである。ネットのおかげで一人で家でできる仕事が増えたのと同様に家族の機能もネット経由で調達できるようになった。ネットを前提に様々な「家族代替ビジネス」が誕生しつつある。

〇レンタル家族

 家族代替ビジネスの典型はレンタル家族(派遣業)だ。東京・江東区にあるファミリーロマンス社は父・母や夫・妻、子供、兄弟などとなる役者を依頼人のもとに派遣する。2004年に結婚式の代理出席サービスから始まったこのサービスは、現在では1か月に約300件の依頼があり、全国3,000名の代行スタッフがお客様毎のニーズにあったきめ細かい役作りからなる代行サービスを行い、国内・海外問わず200件以上のメディアに出演した(同社HPより)。祖父母代行では子どもの世話をし、子育ての悩みを聞いてもらう。高齢世帯では子どもや孫をレンタルし寂しさを紛らわせ生活の手伝いや介護を頼む。この会社は寂しさの解消、ストレス発散、将来の相談、家族の団らんなど、幅広い家族サービスを代行提供する。

〇精子提供のマッチングサイト

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慶應大学名誉教授、経営コンサルタント、大学院至善館特命教授

専門は戦略と改革。国交省(旧運輸省)、マッキンゼー(パートナー)を経て米ジョージタウン大学研究教授、慶應大学総合政策学部教授を歴任。アドバンテッジ・パートナーズ顧問のほかスターフライヤー、平和堂等の大手企業の社外取締役・監査役・顧問を兼務。東京都・大阪府市・愛知県の3都府県顧問を歴任。著書に『改革力』『大阪維新』等。京大法、米プリンストン大学院修士卒。これまでに世界119か国を旅した。オンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/。1957年大阪市生まれ。

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