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なぜ新聞雑誌はネットより紙で定期購読すべきか――ネットサーフィンよりペーパーサーフィンが効率的

上山信一慶應大学名誉教授、経営コンサルタント、大学院至善館特命教授
出典:ツールボックスエストニア

 インターネットのせいでなにごとも変化のスピードが速い。のんびりしてたら、瞬く間に時代から取り残されそうだ。そんな中で仕事のプロは、どうやって頭と感性をアップデートし続けるのか。今回は新聞・雑誌との付き合い方に関するマイルールを7つ紹介したい。

 情報収集はほとんどネットで済む時代だ。本も雑誌も新聞もどんどんペーパーレスになる。いや、もはやネットメディア(Yahoo Newsなど)だけで十分かもしれない。私も一時はデジタルシフトをした。だがニュース情報についてはあえてアナログを基軸に戻し、雑誌や新聞は紙版を定期購読している。大量に広く速く情報を集め、取捨選択するという意味では、そのほうが時間当たり効率が圧倒的に高いからだ。それを私は「ペーパーサーフィン」とよぶのだが、どういうことか?今回は私流の情報処理術を紹介してみたい。

〇「受け身のアップデート」はなるべく短時間で効率的に済ませたい

 

 時代の流れについていく手段として、我々は新聞、雑誌、テレビなど一般メディアに頼りがちだ。確かに「君は新聞も読んでないのか」なんて言われたくない。マスメディアがどこまで正しいのか?本当に大事なことを報道しているのかは疑わしい。しかし世の中の常識を知るには、マスメディアとは付き合わざるを得ない。マスメディアが世の中のトレンドや同調圧力を作っている。これを知らずにビジネスでも政治でも研究でも大きな成果は上げられない。これを私は「受け身のアップデート」とよんでいる。ちなみに仕事で必要なとっておき情報の収集は「攻めのアップデート」だ。これは専門知識を得たうえでヒアリングや調査をし、マスコミ経由では得られない情報を分析しながら自分で練り上げていく。仕事ではこっちが主体だが、その成果を世に出し流れを作り、現実を変えていくにはマスコミの力を借りる必要がある(広告宣伝を含む)。その意味では情報を使った「受け身のアップデート」も常に必要だ。このやり方について今日は考えたい。

●マイルール(1)新聞はネットではなく紙版を定期購読する

 新聞は政治経済からスポーツ文化まで幅広いニュースで紙面を構成する。だから全紙面をめくって見出しを見るだけで世の中の動きが分かる。あとは、見出しだ。「一面トップの大ニュース」という表現はだんだん死語になりつつあるが、それでも新聞がそのニュースをどう扱うかで今後のものごとの展開が変わる。ニュースが事件を作っていく要素もあるので無視できない。

 大事な事実は日本語は漢字に依存し、また漢字は表意文字だということだ。日本語の新聞の見出しは目に入りやすく、脳に直接訴えかける。見出しの大きさや打ち出し方などを見るだけで新聞社の方針やかなりのニュアンスが伝わる(もっとも単に「整理部」のおじさんの個人的センスで決めている場合もあるらしいが)。そのためには紙をめくるのがいい。ネットでは事件の重要性、ことの軽重がわからない。また好きな項目しか画面にでてこない。ぱっと開いて科学からスポーツまですべてのニュースが一瞬で目に入る新聞の効用は大きい。昔の人はえらい。そのためにあの巨大な紙面を用意した。一覧性はスマホやノートパソコンの画面では到底追いつかない。極端なことをいうと見出しだけにさっと目を通してたら捨ててもいい。それくらい大きな紙面の新聞は時間効率がいい。

●マイルール(2)新聞や雑誌は毎日、溜めずにすぐに目を通し、気になる記事は写真か切り抜き、あとは捨ててしまう

 

 新聞は毎日「さっと目を通す」ことに意味がある。ネットサーフィンのように読めばいい。そして読んだらとっておかず、すぐに捨てる。

新聞や雑誌は鮮度が大事だ。刺身とおなじで古いものは必ず劣化する。経済も政治もその後の展開で事実とは異なる記事になっている。また、溜めておくと「まだ読めていない」と気になり、最新号に目を通さなくなる。

 

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慶應大学名誉教授、経営コンサルタント、大学院至善館特命教授

専門は戦略と改革。国交省(旧運輸省)、マッキンゼー(パートナー)を経て米ジョージタウン大学研究教授、慶應大学総合政策学部教授を歴任。アドバンテッジ・パートナーズ顧問のほかスターフライヤー、平和堂等の大手企業の社外取締役・監査役・顧問を兼務。東京都・大阪府市・愛知県の3都府県顧問を歴任。著書に『改革力』『大阪維新』等。京大法、米プリンストン大学院修士卒。これまでに世界119か国を旅した。オンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/。1957年大阪市生まれ。

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